13 Okt-

23:50起床。

っていうか、日が回ってないってことで、二度寝。

次に目覚めたのは2:00。

相変わらず浅い眠りだ。

足の裏がまだしてる。

今日はあまり歩かない日だから、いたわってやりたい。

三度寝をして、5:40過ぎに起床。

しまった寝すぎた。

何の支度もしていなかったので、6:12発は諦める。

ま、7:53発でもギリで間に合いそうだから、今日はホテルで朝飯としようか。

1日ぐらいゆっくりしたスタートがあってもバチは当たるまい。

7:10、モーニングを食いに下りると、

めちゃんこ狭い空間に、テーブルが詰め込まれていた。

そしてそこに群がる日本人。

1つい空いていそうなテーブルを見つけた時、後からやってきたババアが叫んだ。

「ホラホラお父さんこっちこっち!」

出たよ。

我輩の大嫌いなあさましい自己中ババアが。

誰も取らねぇって・・・。

あまりに低俗な空気のせいで、一瞬にして一緒にメシを食う気が失せた。

群れて意気がっているツアー客とガチ合うと、本当に引く。

特に、下品さ丸出しのババアと、チーズがうまく取れなくていつまでも格闘しているオヤジ。

1枚ずつ取れないなら、

今つかんでる2枚を早く取れ!!

皿に果物をいくつか取り、立ったままでパクパクッと食べ、

コーヒーもその場で立ったまま飲み干す。

朝食を5分で済ませ、部屋でまた休む。

ヤバイな。

今日はいくらでも寝れそうだ。

気持ちを奮い立たせ、7:30、駅に向かう。

7:53発Koblenz(コブレンツ)行き。

やはり1等車に乗る。

通勤時間帯だけあって、リーマンの乗客多し。

そして1等車に乗ってくるのは、みな重役みたいなヤツばかりだ。

悪いね、オレみたいなガキが座ってて。

分かってるから、怪訝そうな顔で見ないでくれるかな?

一応ちゃんと払うものを払って乗っているんだから。

7:53、定刻に発車。

まずはRudesheim(リューデスハイム)に向かい、ライン川下りだ。

-そしてラインは流れる。

TBS世界遺産のライン川をもう何回観たことか。

旅の後半戦のメインとも言えるライン川下り。

しかし、あいにく空は曇り空。

スイスを乗り切ったら、後は晴れの予報だったから安心していたのに。

しかも間の抜けたことに、わざわざ日本から持ってきたポンチョは、

ホテルのリュックに入れたままだ。

・・・ガッデム!

Wieswadenを過ぎたら、本格的に降ってきやがった。

空は明るいのだが、この降りでは、そう簡単には晴れてくれそうにない。

これでは景色が・・・。

結局完璧な雨降りの中、9:05、リューデスハイム着。

ライン川下りのKD汽船は9:15発。

さっき車窓から確認したが、船着場は駅から少し離れているので、急がねばならない。

キオスクで残り1本だった折り畳み傘を買い、船着場へ走る。

何とか駆け込み、乗船することができた。

この観光船にはユーレイルセレクトパスを見せればオッケイ。

金を払わずに乗船できる。

船は日本人のツアー客でごった返していた。

雨降りではあっても、とにかく景色を見ることに情熱を燃やす我輩は、2階のデッキへ。

ここにもやはり日本人ツアー客が陣取っていたが、

燃えたぎる我輩の観光パワーの前に立ちはだかるものは

跳ね飛ばすのみ!

ガツンとベストポジションをキープしたところで出港した。

今日はこの船でコブレンツまで行き、その後ケルンへ行く予定だ。

我輩の太陽王パワーによって雨は次第に上がったが、依然として恐るべき曇天である。

頭の上がすごく重い感じだ。

ライン川下りといえば、川の両岸に建つ古城や塔を見て楽しむんだが、


とにかくもやがかかって見れないのと、風が強くて写真はブレるしめちゃんこ寒い。

我輩は燃えたぎる観光パワーで何とか大丈夫だが、

1人、また1人とツアー客は船内へ入っていった。

我輩はツアー客が退いていくごとに良い席へ移動。

根性でデッキに居続けた。

中にはきれいに見える城もあるのだが、もやがかかってあまり見えない城もある。

楽しみにしていたのに・・・。

そして「あの城は今はホテルです」「この城も今はホテルです」と

どの古城もほとんどホテルになってしまっているのが悲しい。

船はライン川をどんどん下っていき、ローレライの曲が流れた。

ハイネの詩にメロディをつけたこの曲は、我輩のお気に入りである。

ライン川下りのハイライトであるローレライの岩。

このあたりは急流のため水難事故が多く、

それはローレライの岩の上で妖精が歌を歌って船乗りを惑わせるからだと言われた。

某駄作映画「ローレライ」とは関係ないぞ。

さて、船でコブレンツまで行く予定をしていたが、

①景色がろくに見えないこと、

②あまりに寒いこと、

及び③ローレライさえ見れればもう良いことを勘案し、

ザンクトゴアールで下船することとした。

意気込んでいただけに、かなりガッカリなライン川下りととなってしまった。

国鉄の駅まで歩き、ホームで鬼神のごとく時刻表を調べる。

正直、ケルンの後どこへ行くか全く未定。

このままでは半日を無駄に過ごすことになる。

観光してフランクフルトに帰れる所を探す。

クソ、フランクフルトを連泊にしたのは失敗だった。

無理してでもリュックを持ってきていれば、ベルリンに壁を見に行ったり、

アムステルダムやロッテルダムという選択肢もあったというのに。

ベルリンか・・・。

片道約5時間、フランクフルトには23:30着。

1時間程度の滞在で、壁を見ることは可能なのだろうか。

ウーム。

決断しかねていると、日本人の女が声を掛けてきた。

「さっき船に乗ってましたよね?」

何でも、クリスマスフェアを見るために、今からドイツ入りしているのだとか。

ということは、3ヵ月以上も滞在するのか?

去年も2ヵ月いたと言う。

一体何をして食っている人なんですか??

その人が言うには、朝のライン川はもやがかかって見えないことが多いらしい。

それはもっと早く教えてくれよ。

役立たずめ。

2ヵ月もいるなら見所の1つや2つ教えてくれるのかと思ったら、

北ドイツはどこもイマイチと言われた。

「私はアムステルダムに行きますよ」

良いなぁ時間があって・・・。

話をしているうちに、コブレンツ行きの列車がやってきた。

彼女が2階建て車両の1階に入っていくのが見えた。

見た感じ、わざわざ奥の方の2つ空いている席に座ったように見えなくもない。

オレはどうすべきなんだ?

普通こういう場合、隣に座って引き続き話をするのだろうな。

気合いの入った男なら連絡先を聞いたりするのかもしれない。

しかしだ。

まだ今日の予定が決まっていないのだぞ?

ドイツの大切な半日を棒に振るというのか偽スナフキン。

・・・。

さようなら旅の出会い。

オレは旅に生きよう。
↑この間約20秒

2階の席に座り、再び時刻表を睨む。

もはや我輩の頭には旅のことしかない。

ベルリンか・・・。

1時間あれば、壁ぐらい見れるだろ。

とりあえずベルリンを候補とし、もしかしたら他に良い所があるかもしれないので、

地球の歩き方をしっかり読み込む。

なるほど、確かにさっき彼女が言っていたように、北ドイツは見所があまりない。

いや、なくはないのだが、インパクトに欠けるのだ。

結局あれこれ考えているうちにコブレンツに着いた。

ここから乗り継いでケルンへ。

ちなみにコブレンツは車の聖地ニュルブルクリンクの最寄り駅らしい。

ただ最寄り駅とはいえ相当遠いようなので、行くことはできない。

ICに乗り換え、また地球の歩き方と格闘しているうちにケルンに着いた。

ベルリン行きまではあまり時間が無い。

しかしここまで来て、世界遺産であるケルンの大聖堂を雑に見て去りたくはない。

自然体で見学して、列車に間に合うようならベルリンへ、

間に合わなければ世界遺産の大聖堂があるアーヘンへ行くことにした。

ケルンの大聖堂は、ケルン駅から約200メートルの所にある。

駅の真前にあるわけだが、近時ケルン駅周辺の開発が進み、

結果として景観が損なわれていることから、最近まで危機遺産に登録されていた。

で、その大聖堂。

そのでかさは異様である。

凄いものを造ったものだ。

世界三大聖堂と比べても負けないぐらい威風堂々としている。

中はというと、これまたがっしりした造りで、

さっきライン川下りで見たような古城を思い浮かばせる。

これは有名なステンドグラスで、上部には最後の晩餐がデザインされている。

ぐるりと見て回って写真を撮るべく引いていくのだけど、

全然フレームに入りきらないそのビッグサイズに思わず笑ってしまった。

重機もない時代に、よくぞこれだけのモノを造ったもんだ。

さて、写真も撮ったしあくまで自然体で行動した結果、

ベルリン行きには間に合わなかった。

で、当初の予定通り、アーヘンへ向かうことにする。

ホームに行ったものの、アーヘン行きの列車は遅れていたので、

チョコワッサンとダイエットコークを頬張りながらブラブラしていたら列車が入線してきた。

アーヘンは特急列車も通るのだが、時間が合わずローカルでの移動。

所要時間は約1時間。

意外に大きな街のようだ。

さっそく大聖堂があるハズの方向へ歩きだす。

・・・が、全く違う方へ歩いてしまい、かなりタイムロスして大聖堂にたどり着いだ。
↑実はこの時、まさかもはや自慢の方向感覚が崩壊してしまっていたことなど、
  当時の我輩が知る由もない。

今日2つ目の世界遺産、アーヘンの大聖堂はこれまた立派な建物。

中央祭壇と青のステンドグラスがとてもきれいだった。

ちなみに、写真を撮るには2ユーロを払わねばならない。

ドイツの見所は撮影禁止の所が多いので、注意が必要だ。

カメラに青い紐をつけてもらい、無許可でないことをアピールしながら写真を撮った。

さ、ここを見学したらアーヘンにもう用はない。

予定の列車に乗るため駅に歩く。

・・・が、またしても全く見当違いの所に着いてしまった。

何でやねん。

オレは方向感覚良いはずなのに。

せっせと走って駅に着くと、列車は今にも発車しようとしているではないか!

待て!

オレを待て!!

ドアを開けるボタンを押しても開かないぞ!

もうダメかと思ったその時、

駅員が「こっちだぁ!」と叫んでいるのが見えた。

高校時代地区対抗リレー京都代表で唸らせた豪脚で駆け込み、ギリギリセーフ。

ホームにデジカメの三脚を落としてたみたいで、

親切な駅員はそれを届けてくれてから、発車オーライのサインを送った。

ありがとう駅員さん。

1等車に座り汗を拭う。

危うく1時間待ちぼうけを逃れて息をついたのも束の間、

次なる試練が我輩を待ち受けていようとは。

検札に来た車掌が我輩のユーレイルパスを見て、「ん」と小さくうなった次の瞬間、

何かパスに書き込んでスタンプを押した。

!?

とっさに危機感を覚え、慌ててパスを見ると、

明日使うハズの空欄に今日の日付が書き込まれていた。

偽「お前コレ今日の日付はもう書いてあるやろ!!」

「オー、ソーリー。バット、ノープロブレム」

そう言うと、車掌はまたパスに何やら書き込んで我輩に手渡し、逃げるように去っていった。

残されたのは、何て書いてあるか分からない書き込みのされたチケットと、

途方に暮れる我輩約1名。

コレ明日どうやって使うんじゃ・・・?

っていうか、使えんのか??

何か一言ぐらい言っていけよ!

お前の字、何も読めねぇよ!!

(T_T)

真剣に悩んでいるうちにケルンに戻った。

フランクフルト行きの特急までは時間があったので、再び大聖堂へ。

所々柵が設置されて入れなくなってはいたが、時間ギリギリまで見学。

フランクフルトへ帰るべくホームをうろついていると、

昨日フランクフルトの駅で食べたような極太ソーセージサンドを売る店発見。

これは食うだろ。

見ろ、昨日と違って普通のソーセージが挟まっているぞ!

2種類も食えれば、もはや我輩も立派なソーセージマスターと言えよう。

腹がふくれたところで列車が入線してきた。

ICE927(インターシティエクスプレス。日本で言うところの新幹線)で

フランクフルトへ帰ることにする。

一度乗ってみたかったんだよねー。

ただ、まさかこんな乱れた心のまま乗るハメになろうとは・・・。

ドイツを代表する特急列車だけに、1等車の座席は実にゴージャス。

1つ1つの座席がゆったりとした空間に配置されている。

しかしさっきから明日のことが心配で、

せっかくの1等車なのに他事が頭に入らない我輩は、とりあえず車掌に聞いてみることにした。

とにかく「明日も使える」 とさえ聞ければ良い。

それだけで安心できるハズだ。

そして検札の時がやってきた。

女性車掌が新聞を配りに来たのだ。

あ、オレにも新聞くれるの?

ありがとう。

「ドイツ語読める?」

偽「ノー」

あ、没シュートですか?

ハイ、野々村くんは没シュートです。

てーれってーれってーん。

あー。

新聞ぐらいくれても良いだろ!!

意外に冷たい車掌かもしれないぞ。

脳ミソをフル回転させて会話に挑む。

いつものように、よく分かりもしないのに分かったフリをしても何の益もないからな。

偽「さっき車掌が間違って同じ日付を書いてしまいました。

彼の書いた文字が全く読めないし、私は明日、コレをどうやって使ったら良いのか分かりません。

明日の日付はどこに書いたら良いんですか?」

・・・。(パスをじっと見る車掌)

「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラリーノここに書いてある車掌に見せろペラリーノ」

 

は?

 

「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラリーノここに書いてある車掌に見せろペラリーノ」

・・・すごくゆっくり丁寧に教えてくれているのに、

最後の車掌に見せろ以外ろくに分からない。

使えるのか使えないのか

一体どっちなんじゃい!

結局三度も言わせるのは申し訳なくて、

やっぱり分かりもしないのにセンキューと言ってしまった。

歩み去る車掌に話し掛けるババア。

苦笑いする車掌。

人間の言葉が分からないイエローマンキーの相手をするのは大変ねとでも言ってんのか!?

テメェチキショー!!

悪いのはさっきのボンクラ車掌なんじゃ!

余計な気を揉ませやがって!!

ムッキーーーー!!!!

ノープロブレムと違うんじゃタコ!!

タコタコタコ!!!!

ぐぬぬぬ・・・。

オンリーショウってことは見せれば使えるんだろうか。

スペースに明日の日付を記入しようと思っていたのだけど、

日付は書くなっぽいことを言っていた。

やはり軽率に行動すべきではないな。

にしても、聞きたいことが聞けなくて、余計不安になった。

そうか。

聞き方を変えれば良いのだ。

使えるか使えないかを聞けば良かったのだ。

イエス、ノーで答えられるように聞けば良いのか!!

さすがにあの車掌にまた聞くのは本物のイエローマンキーだと思われかねないので、

フランクフルトで聞くことにしよう。

少し気を持ち直し車窓に目を移すと、すでに日は落ち、

せっかくのライン川の景色は何も見えなかった。

さらばローレライ。

晴れて欲しかった。

今もモヤがかかっている。

今度来ることがあったら、暖かい日にゆるりと訪れたいものだ。

ローレライを過ぎてから爆睡。

目が覚めたらフランクフルト空港駅だった。

20:18フランクフルト着。

さっそくサービスカウンターへ行き、パスを見せる。

偽「かくかくしかじかで、さっき車掌が見せれば良いって言ってたけど、

コレ明日使えるんだよね?」

「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラリーノイエス」

偽「オンリーショウ?」

「イエス、オーケー」

何を言ってるのかはやはり全く理解できないが、

イエスらしいから気にしないことにしよう。

だってイエスなんだもん。

ホテルに荷物を置き、街歩きに出掛ける。

と言っても、昨日書いた通り、フランクフルトはただの都会なので、そんなに見所は無い。

とりあえずフラフラと歩いて行くと教会があって、その近くのカフェが随分にぎやかだ。

晩飯はココにしよう。

またしてもパスタとラテ。

カフェでパスタとラテですぜ。

こんなシャレたメシが普通に食えるようになっただけでも、

この旅でいかに我輩が大きく成長したか分かろうというもの。

パスタはトマトとバジリコののった、クリーミーなものだった。

そしてラテは激熱。

かなり時間をかけて飲んだ。

ところで、外国のレストランにこれからチャレンジしようとする方にアドバイス。

あちらではテーブル毎に担当者がいるらしく、

金を払う時にはその人を呼んでもらわねばならない。

吉野家の客のように

「お勘定が遅い!!」と言って怒ったりしないように。

お腹を満たし、のんびりした気分で街を散策。

何だかかわいらしい広場から見える大聖堂まで歩き、

橋から夜景なんかを見てホテルに帰った。

シャワーを浴び、パスを見せる時の言い訳分を紙に書く。

検札の度にイチイチ説明するのはめんどくさいからな。

 

 

「昨日車掌が間違って同じ日付を書きこんでしまいました。

彼は私に、このチケットを見せるだけで良いんだ。

ノープロブレムだと言いました。

残念ながら、私は彼の書いたことが読めません」

 

 

クックック・・・。

まるでいじめられっ子が切実に書いたかのような、

悲壮感漂う文面に仕上がったぞ。

 

・・・何でこんなこと書いてるんだオレは。

全てはあのクソ車掌のせいか?

あいつのせいかっ!?

ぐぬぬぬ・・・。

あぁイカン。

これは癒しの旅。

般若の面は封印しなければ。

人間だもの。

少しぐらい間違うよね。

アハハ。

明日はいよいよ最後の観光日。

パスに不安はあるものの、最後を美しく締めてこそ旅。

荷物の整理を万全にして眠りについたのであった。

まさかいまだかつて無い神の厳しい試練が待ち受けていることなど知りもせず・・・。

Zzz・・・

本日立ち寄った世界遺産
ライン渓谷上流中部
ケルン大聖堂
アーヘン大聖堂

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