23 Aug-

4:45起床。

マサイ・マラ最終日。

今朝のゲーム・ドライブが最後だ。

チェックアウトの支度をしてからロビーへ。

今日は2人でのゲーム・ドライブ。

昨日まで一緒だった4人のうち、

2人はツアーに今朝のゲーム・ドライブが組み込まれておらず、

2人はバルーンサファリ。

一緒の人は、昨日マサイ村訪問で一緒だった婆さんの娘さん。

「偽スナフキンはこれがラストサファリだな!」

偽「うむ。サイとヒョウが見たいぞ」

「よしじゃあ行くか!」

マサイ・マラ最後の朝日を眺めながら、公園内に突入。

助手席のバルーンドライバーとともに最後のチャンスに賭け、

シャドラックも一生懸命探してくれたが、今朝はそんなに珍しい発見はなかった。

しかし我輩とは現金な生き物で、

3日前まではシマウマの群れでもバシバシ写真を撮っていたのに、

今ではゾウが現われても、そんなに盛り上がることなく、

むしろ「お前はもう良い」的な目で見てしまう。

本当は、ゾウの群れに出会うだけでも、

人生の中では、そうないであろうことなのにね。

悲しいことよ。

「偽スナフキン、残念だがサイは難しい。
 トランシーバーから連絡を待っているんだがな。
 しかし心配するな。ナクルにはサイがメニーメニーだ」

偽「そうか。しかし頑張って探してくれてありがとう」

「サワサワ~。偽スナフキン、次はいつ来るんだ?来年だな?
 嫁さんを連れて」

偽「そいつぁサイを見つけるより難しいな」

「そんなことはないだろ!」

それから、子供は何人欲しいだだの、日本の育児は金が掛かるだの、

シャドラックの子供は何してるんだだのという話をした。

今日一緒だった御婦人は英語がベラッベラで、4人で仲良く話ができた。

・・・オレって意外に話せてるな。

余談だが、サファリガイドになるには、

専門の学校に2~4年通わねばならないそうだ。

で、今日の動物たちはこれ。

ライオン

ゾウとバルーン

ホテルに戻って昼メシを食い、チェックアウトをして最後に記念写真を撮り、

シャドラックに飛行場まで送ってもらった。

今日ムパタ・サファリ・クラブを後にするのは、ゲーム・ドライブを共にした4人と、

バルーンサファリで一緒だった一家4人。

ついにマサイ・マラともオサラバか。

いつものゲーム・ドライブに行く道を逸れ、飛行場への道を走る四駆。

心なしか、景色を見る目も潤みがちである。

「一生懸命仕事して、来年またアフリカに来いよ」

偽「そうだね。頑張ってみよう」

四駆を降り、一同は草原の中にぽつんと建てられた、

待合室ならぬ待合小屋で飛行機を待つ。

広大なマサイ・マラの景色を目に焼き付けていると、飛行機がやってきた。

偽「アサンテ(サンキュー)シャドラック!」

「グッドラック!!」

ガシッと握手して飛行機に乗り込む。

連れのいない我輩は、一人で外人の横に座り、

ナイロビまではまたしても爆睡。

ナイロビ・ウィルソン国内線空港に着いたのは、12:36。

出迎えに来てくれた現地係員は、大阪に留学経験があって、

少し日本語が話せる女性だった。

「お疲れ様でしTA。エライですNE。一人でケニアに来ましたKA?」

偽「まぁ英語すらほとんど話せないのは難儀スけどね」

「そんなことな~いYO~。だって、どうやって話すNO?」

偽「いや・・・頑張って」

そう。

諸君、勘違いしてくれるなYO。

我輩はホントに英語がろくに話せないのだから。

シャドラックと話せたのは、自分が話そうとする内容だから。

突発的な会話や事態には全く対応できないのだ。

その様子は、クライマックスで

たっっっぷりお楽しみいただく予定である。

刮目して待て。

で、我輩は一番心配していたことを確認する。

偽「ナクル湖は蚊が多いと聞きましたが、マラリアは大丈夫なんでしょうか?」

「ん~大丈夫と思いますけど・・・薬は飲んできましたKA?」

偽「No」

「ん~キスムの方は危ないけど、ナクルは大丈夫と思いまSU・・・」

・・・歯切れの悪い回答だな。

一番に運ばれてきたリュックを受け取り、車に案内される。

昔のランクルの改造車だ。

要はまたゴツイ四駆ですよ。

「こちらのペラリーノが3日間ご案内します」

「ジャンボ!」

偽「ジャンボ」

・・・何と不覚にも名前を聞きそびれ、

我輩は3日間、名前も分からないドライバーと旅をすることとなった。

聞けよって?

タイミングを見いだせなかったんだよ!!

現地係員の女性はナイロビ市内で降り、

いよいよドライバーと2人でナクル湖に向かうこととなった。

ナクル湖までは4時間だという。

・・・結構かかるな。

とりあえず、沈黙を打破すべく、先手を取って話す。

単語の細かい使い方は絶対間違っているが、

話すことこそ肝要である。

幸いシャドラックと話をしたせいか、思っていたよりはスムースな滑り出しだ。

「偽スナフキンは何をしてるんだ?バンクマン?へー。
 未婚?彼女は?両方ともいない?何で?」

またその話か。

どこの国へ行っても、それだけは変わらないんだな。

四駆は市街地を離れ、割に広い幹線道路を北へ走る。

すると、いきなり道の両側にスラムが広がった。

「ここはスラムのマーケットなんだ」

見渡す限りのトタン屋根と、道一杯の

すごい活気だ。

ナイロビはホントに色んな顔を持っているんだなぁ・・・としみじみ思った。

しかし、やはり危ない所なんだろうか。

ここを通過する時だけは、追越車線を結構なスピードで走った。

ここ以外では、どんなに道が良かろうとも、常に走行車線を走っていたのに。

ツアー会社にも色々な決まりがあるのかもしれないな。

四駆はさらに走りに走る。

思ったより道も良い。

「これからグレートリフトバレーに行くぞ」

偽「マジか!それは楽しみだ!ちなみに日本語では大地溝帯と言うんだよ」

「ほう」

なんて話しているうちに、いきなり左側の景色が開けて、大地溝帯が現れた。

思わず感嘆の声を上げてしまったぞ。

写真を撮りたいと言ったら、

崖に板を組んで作った展望台with土産屋のところで停まった。

土産屋の無いところで停めてくれよ。

案の定、物売りが寄ってきた。

「コニチワ。コニチワ」

偽「・・・」

無視して写真を撮りまくる。

逆光だから上手く写らなかったけど、遠くに写っているのは山ではなく、

大地である。

スゴイもんだねぇ。

しかしひと雨降ったら崩れ落ちそうな展望台だな・・・。

「コニチワ」

え~いじゃかしいわッ!!

「Where are you from?」

偽「China」

「上海?」

偽「北京!」

「べ・・・?」

無視。

「O.K.O.K.とりあえず見てよ。これはね、スワヒリの・・・」

偽「いや、いらないから」

ガチャッバタム。
↑四駆に乗り込んだ音

さぁ行こうぜ。

四駆はどんどん坂を下り、大地溝帯の底を走る。

大地溝帯って、もっと崖で岩しかないようなのを想像していたんだが、

ちゃんと町や緑がある。

湖も見えてきた。

「ナイバシャ湖。
 あそこでは、カバが泳いでるすぐそばをボートでゲーム・ドライブするんだ」

へー。

ナイバシャの町を過ぎると、

ハイウェイっぽい広い道

実に快適なんだが、所々警官が立っていて、

我々以外のマタツやトラックが停められるので、軽く渋滞気味になる。

偽「彼らは何をしてるんだ?」

「ポリスチェック。盗難車じゃないかとか、人が乗り過ぎてないかをチェックするんだ」

まぁ・・・小遣い稼ぎが多いようだが・・・。

料金所のようなゲートを過ぎて小さな町に入ると、いきなり道が悪くなった。

「ここからはベリーベリーバッドなんだ」

舗装されてない土の道は乾き切っていて、砂埃がすごい。


↑これは結構見えてるけど、ホントに前が見えなくなる。

しかしトレーラーが走っていると抜きたくなるのは全世界共通らしく、

何も見えない土煙の中に、ドライバーは何度も突っ込んでいった。

そこまで頑張らなくても良いんだが・・・。

ガタガタガタガタッガタガタガタガタッ

「チッ。この車、ドアが有問題」

ドライバーはそうつぶやくと、後ろを振り向いた。

ぐをっ!

ドア開いてるやんけ!!

一体いつから開いてたんやろコレ・・・。

この後、ドアは何度も何度も開きやがって、ドライブを邪魔するのだった。

1時間以上土煙の中を走って、いい加減ウンザリしたところで、

また湖が見えてきた

やっと着いたんじゃねぇかという我輩の視線に気付いたドライバーが言った。

「あれはエレメンタイタ湖だ」

まだか・・・。さらにガタガタ道を走っていくと、ようやく普通の道に出た。

「ペラペラペラペラ休憩、土産もあるぞ、
 ゲーム・ドライブ、ホテルペラリーノ。O.K.?」

偽「・・・O.K.」

うーむ、やはりたまに分からない時があるなぁ。

まぁ休憩したいって事だな。

入ったのは、土産屋のあるドライブイン。

何やら混んでいて、

欧州の人々や中東の人々が土産を買うべく値段交渉をしていた。

ありがたいことに、店の人間は彼らの相手に夢中で、

我輩ごときイエローマンキーには見向きもしない。

おかげでゆっくり拝見できるというものだ。

石でできた皿や動物の置物、ペンキで描いたような絵などが値札もなく置いてある。

好きなだけ選んで、まとめてさぁハウマッチ?というのが彼らの売り方。

絵は結構気に入った柄もあるのだけど、

ペンキでかなり厚く描いてあるので、

折り曲げたらバリッとイッてまいそうである。

というわけで何も買わず、四駆でドライバーが帰ってくるのを待ちながら、

虫除けウェットティッシュで顔や首をむらなく拭き上げた。

偽「何してるかって?こいつはモスキート伯爵から我輩を守ってくれるのさ」

「おぉ!ナクルに着いたら1枚くれないか?
 あそこは蚊がすごいんだ」

・・・え?

そこから、ナクル湖までは5分ぐらいだった。

ナクル湖国立公園と書かれたゲートをくぐる。

ゲートには誇らしげにサイのプレートが下げられている。

「ナクルにはサイがメニーメニー・・・」

シャドラックの言葉を思い出していたら、

助手席から後ろの席に移るように促された。

「ここからはゲーム・ドライブだからね」

ウーム・・・我輩は独り旅が大好きで、

だからこそケニアにも独りで来たのだけど・・・

5人はたっぷり乗れる後部座席に

ポツンと座りながらゲーム・ドライブをするのは・・・

何だか寂しいもんだな。(ボソリ)

ヒヒの群れる坂を下っていくと、湖が見えてきた。

やたらとバッファローやウォーターバックがいる。

しかしこの国立公園は車道を外れて走ることはできないため、

そんなに近くには寄れない。

マサイ・マラの大接近に慣れてしまった我輩には、実に物足りない。

まるでサファリパークを走っている程度の感じがしてしまうのだ。

この旅で唯一後悔したのは、行程である。

先にナクル湖やアンボセリに行くべきであったと。

まぁ宿の関係で、贅沢は言えなかったんだけどね・・・。

「偽スナフキン、あそこにお前の見たがっていたサイがいるぞ」

うぉ。

あっさりいやがった。

こいつはシロサイだ。

雑学を披露しておくと、別に白いからシロサイではない。

口が横に広いからね、本当は「ワイド」だったんだけど、

間違って「ホワイト」になっちゃって、そこからシロサイになった。

クロサイは、シロの反対ということで、クロサイになってしまったらしい。

悲しすぎるとは思わんかね。

ちなみに、クロサイはここにはいないんだそうな。

まぁその話は置いといて。

とにかく結構な数のサイがウロウロしてる。

マサイ・マラではぜんぜん見つからなかったのに。

さすがにメニーメニーだけある。

しかし・・・遠い・・・。

何だか動物園に見に来た感が否めない。

何となく物足りない感が拭いきれないまま、何枚か写真を撮り、

ドライバーにO.K.サインを出す。

彼はサービス満点のシャドラックと違って、止まってくれと言わないと、

止まってはくれないようだ。

そう言われると止まってくれとは言いづらくなるというか

若干めんどくさい感もあるが、せっかくやってきたのだ。

バンバン止まってもらうことにする。

「湖に行こうか。ナクルはサイよりフラミンゴで有名なんだ」

そう。

そうなんです。

一度は見たことあるでしょ?

湖がピンク色に染まる映像を。

あれがナクル湖なんですな。

湖に向かう途中、車道脇にいたサイをまた撮って、湖畔に到着。

いやー、メッチャおる。

すごいね。

これで天気が良ければさらに映えるんだろうけどなぁ。

またしてもガシガシ写真を撮って、今日はもうホテルに行こうということになった。

湖畔にいたサイ

もういっちょサイ

ペリカン

ナクル湖は小さな国立公園だし、明日の朝もゲーム・ドライブが入ってたから、

余裕のハズなのである。

で、今夜のお宿はライオンヒルロッジ。

来た道を戻りながら、丘を上っていく。

蚊がすごいと聞いては来たが、さっきは全然いなかったし、

丘の上にあるならきっと心配なかろう。

な~んて窓の外を見ていたら、窓の内側に張りつく虫が一匹・・・。

コレは何だか見覚えがあるよ。

顔馴染みだもの。

・・・早くも出やがったかモスキート伯爵ッ!!

出ていけ!

早く出ていけッ!!

ギギッ ふっふーー!!
↑窓を開けて息を吹き掛けた音

「モスキート?」

偽「イエスイエス!」

「O.K.O.K.」

O.K.じゃねぇだろッ!!

臨戦態勢も整わぬ内に攻め込まれ、浮き足立つ偽スナフキン。

しかしこんなものはまだまだ序の口であることを、

我輩は知る由もなかったのである。

四駆を降り、フロントにてチェックイン。

いや~何だか虫多いなココ。

・・・。

もうみなまで書かずともお分かりだろう。

そう、この飛びかう虫は、

全てモスキート伯爵なのだ!

一瞬にして鳥肌が立った。

全身総毛立つとはこのことかッ!!

確かに我輩はモン・サン・ミシェルにおいて、

厳しい神の試練に耐えた男だ。

しかし、だがしかし。

ここの蚊は破壊力が違う。

いくら大丈夫と言われているとはいえ、

名著「地球の歩き方」にも、低地に行く時には注意とある。

ここは大地溝帯の底である。

こいつらの中に、

マラリア原虫を宿したハマダラカがいるかもしれないと考えてみたまえ。

常人なら
正気ではおれんよ君達。

もう早く動きたい一心で、適当にチェックインのカードを書くものだから、

ココも書けココも書けと突き返され、

余計に時間が掛かってしまった。

メシやショーの案内なんてどうでも良いから早く解放してッ!!

「じゃあ明日は7:00に出発。ここで待ってるから」

偽「分かった分かった。
  あ、君にもモスキートガードのウェットティッシュをあげよう。じゃあね!」

さぁポーターッ!

早くオレを早く部屋に案内してくれ!

走れッ!

走れよオラッ!!

「ここは蚊が多くてね~」

手でスキンヘッドを払いながらのんきに歩くポーターに、

MG5(マジギレ寸前5秒前)

と、その時!

我輩の右手人差し指に熱い感覚が!!

あんぎゃーっ

刺ーさーれーたー!!

ブンブンッ
↑蚊を振り払う音

マラリア原虫を持つ蚊の特徴は、刺す時に尻を上げることだという。

しかしそんなもん確認できるか!!

見てるうちに感染してまうわッ!!

17号ロッジは随分遠かった。

道を照らすライトに群がる蚊を見て吐きそうになりながら、

ようやくロッジに着いた。

さぁ鍵を開けてくれと促され、ドアを開けてポーターが中に入った瞬間に、

3匹のモスキート伯爵が侵入するのが見えた。

もう発狂寸前である。

さっさとチップをやってポーターを追い出すと、

ただちにリュックを開けてノーマットを2機起動。

ロッジ中の窓という窓を全て閉め、蚊帳の破れを安全ピンでとめる。

いち早く結界を張らなければ!!

そして蚊帳の周囲といわず、部屋中に虫除けスプレーを噴射。

封を開けてイキナリ半分がなくなるという大盤振る舞い。

ムホッムホッ。

これはむせてしまう。

しかし命には代えられぬ。

寝まきやギャツビーボディウォッシュペーパーやらをベッドに放り投げ、

蚊帳を閉じて結界に逃げ込み、結界内にモスキート伯爵がいないことを確認して、

ようやくひと息ついた。

じょじょじょ・・・

冗談やないぞマジで!!

この蚊の湧き様はナニ!!

ダーッ

何でいきなり電気が点いたり消えたりするんスか!?

・・・帰りたい。

サイとフラミンゴを見たらもうナクル湖に用はない。

一刻も早くここを立ち去りたい。

・・・メシはどうしよう。

今日はナイロビ郊外の店でM&M’sを食っただけだから、

さすがに腹が減っている。

しかしメシを食うには、あのモスキート伯爵が飛び交う中を行かねばならない。

まさかこんなところに人生最大の難関が待ち受けていようとは・・・。

どうするか頭を痛めていると、ノックがした。

何ですか一体。

ガチャッ。

「コレ。ノーマット。蚊を殺すんだ」

なるほど、これが効き目が弱くて有名な現地の蚊取り線香か。

っていうより、開けた瞬間にまた蚊が1匹入った。

もうダメだ・・・。

とりあえずメシを食おう。

虫除けティッシュを塗り直し、手袋をし、襟を立て、露出部を極力減らした上で、

モスキート伯爵の待つ外へ突撃ッ。

ゆっくり歩くとやられそうなので、走る。

バーの前ではショーをやっていた。

見ている人の多くは半袖半パン。

つ・・・強い人々だ。

せっかくだから我輩も見てしまった。

ガサゴソと落ち着きなく。

当たり前じゃい!!

そしてビュッフェ形式の晩飯。

テーブルクロスには、蚊が3匹死んでいた。

・・・。

(T_T)

もはや食欲など大してありもしない。

一気にがっついて、またロッジまで全力で走った。

こんな状況の中で素っ裸になってシャワーを浴びることなどできるハズもなく、

ギャツビーで髪も体も拭き上げて、さっさと寝ちまうことにした。

こんなことを先読みして、ギャツビーを持ってきたオレってすごくない?

Zzz・・・

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