21 Aug-
3:30起床。 しかしホテルは23:00以降電気が止まるので真っ暗。 目が覚めたのか覚めてないのかは、 無言で我輩を守ってくれていたノーマットの電源ランプが教えてくれた。 22:00前には寝たから、結構寝たなぁ。 あぁそういえば、赤道に近いとはいえ、我輩は南半球にいるわけだから、 波照間島以来の南十字星が見えるハズなのである。 部屋の窓から空が晴れていることを確認していると、電気が点いた。 星を撮るには都合が悪いが、道が明るくなったので外に出る。 寒ッ。 これは日本でいう2月ぐらいの寒さだ。 草むらに行く勇気はなく、小道で空を見上げる。 チキショウッ もっとしっかりした星座早見表を持ってくれば良かった!! ぐぬ~・・・。 すると、本館から、モーニングコールに行くのであろう従業員が歩いてきた。 偽「あ~・・・サザンクロスがどこか分かる?」 「う~ん・・・サーザンクロース・・・サーザンクロース・・・。ちょっと待ってて」 彼はまずモーニングコールを済ませて、帰ってきて、 「あっちの方が暗くて良いぞ」 と、少し裏手に連れていってくれた。 暗くなるとすっげぇたくさんの星が見える。 そして流れ星もすげぇ。 とりあえず彼は南十字星のことを知らないっぽかったので、チップをあげて解散。 写ってりゃラッキー程度に、手当たり次第に写真を撮りまくり、 部屋に帰ったら5:00少し前。 すぐにモーニングコールがやってきたので、 長袖にさらに一枚着たりと支度をして、5:45ロビーへ。 早くも結構な人が待っていた。 「では偽スナフキン様のグループ、出発しま~す」 「ジャンボ!」 シャドラックもしっかりフリースを着込んでいる。 「今日はロングドライブだからな!朝ご飯もしっかり持ったし、じゃあ行くか!」 昨日と同じように丘を下り、日が昇るのを見ながらゲーム・ドライブ開始。 昨日の約束通り、ヌーの渡河を見せてくれるのだろうかと思うと、 柄にもなくワクワクしてしまうぜぃ。 しばらく走って、ライオンが朝メシを喰っているところに遭遇。 うを~喰ってますよ喰ってますよ。 ゴリゴリいってますよ。 すげぇ迫力だ。 コレは動物園では見れねぇYO。 我々一同阿呆丸出しで大興奮であった。 で、少し走ってオスライオンを見て、 さらに走ってハゲワシやブチハイエナも朝メシを喰ってるところに遭遇。 みんな喰ってるなぁ。 殺気立ちながら喰ってるYO。 食物連鎖って・・・怖いんだNE。 ブチハイエナの食事から少しだけ南に走ると、見渡す限りのヌーの群れ。 どこを見ても四方八方ヌーだらけ。 ホントにヌーヌー鳴いてる。 こりゃすげぇ。 でも・・・河は? 「見ろ偽スナフキン、ヌーだぞ!」 偽「うん・・・?あぁありがとう。でね、河を渡ってるのが見たいんだよ」 「そりゃあ難しいな。河からは離れ過ぎてる」 何でココに来たのYO!! 我輩はすっかりテンションダウンしたが、周りはヌーの群れにテンションアップ。 シャドラックもご機嫌に四駆を走らせる。 どんどん南に走って、ついにタンザニアとの国境に到着した。 「このブロックの向こうがタンザニアのセレンゲティ国立公園だ」 何ともフリーな国境。 かつては、マサイ・マラからセレンゲティに入り、 隣のンゴロンゴロ国立公園(世界遺産)に行って、ナイロビに帰る というのが最高のサファリツアーコースだったらしいが、 今はマサイ・マラからセレンゲティに入るのは禁止されている。 何とも残念だが、まぁ同じような草原を真っ二つにして、 ケニア側をマサイ・マラ、タンザニア側をセレンゲティとしてるだけだから、 大して差はないのではないかと思われる。 というか、セレンゲティは車道から外れてゲーム・ドライブをしてはいけないらしいので、 動物に大接近できるマサイ・マラの方が当たりだったかなぁと思ったのは、また後の話。 それにしても、点々とするブロックを延長すると 微妙にタンザニアに入っている気がするのは気のせいか? ・・・タンザニアにも行ったことにしよう。 を。 シャドラックが走りだしたぞ。 大体彼が何も言わずに一目散に車を走らせる時は、 我々に何かを見せようとする時だ。 「あそこにチーターがいる」 見えねえってシャドラック。 相変わらずすげぇ目だな。 やっと見えたわ。 すると、シャドラックは四駆を走らせ、木のそばに停めた。 「あの木に来るから」 ・・・ホントに来た。 来ましたね・・・チーターが。 チーターは見えたらラッキーな方らしい。 しなやかそうな体だなぁ。 動物を見て美しいと思ったのは初めてだな。 遠くでは、インパラやシマウマがチーターをじっと見ている。 「彼女達は狩りはしない。昨日狩りをしてお腹が一杯みたいだから」 何でそんなことが分かるんだよシャドラック。 すごいもんだな。 しばしチーターを観察。
「さ、そろそろ行くか。偽スナフキン腹が減ったか? チーターを見るために朝メシを遅らせたからな。10分くれ」 そう言うと、シャドラックは「これはソーセージツリーだ」とかしっかりガイドをしつつ、 また四駆を走らせて、丘の上で停めた。 ちゃんと石のテーブルがある。 マサイカラーのテーブルクロスやらを広げて昼メシ。 夫婦は夫婦で、親子連れは親子連れでそれぞれメシを食うとなれば、 我輩がシャドラックと食うことになるのは必然。 どのみち、彼と多少でも会話できるのは我輩しかいないのだ。 彼がここに来たのは3年前。 それまではナイロビでツアーガイドをしていたらしく、 この道15年のベテランガイドだ。 「何歳なんだ?28?未婚だろ?彼女は? いないのか!?ホントに?何で?」 ジャクソンにも聞かれたし、いつも聞かれるが、何でと聞かれてもな。 いないもんはいないのだ。 そんな深刻な目でオレを見ないでくれよシャドラック。 何だか悲しくなるじゃないか。 「頑張れよ」 偽「まぁおいおいね」 こちらは気になっていた視力を聞いてみると、 彼いわく100キロ先まで見えるらしいが、2キロは向こうの山を指して、 「あそこにライオンが歩いていたらそれが見える」 と言った。 一体どんな風に見えているのだろう。 全てがずっとクリアに見えるのだろうか。 我輩の顔なんかは、シワだらけに見えているのかもな。 「街は夜でもライトやネオンで明るいから、目がやられる。 暗い家ならそうはならない。 ところで偽スナフキン、何が見たい?」 偽「う~ん。マラ河」 「何でマラ河なんだ?」 偽「やっぱりヌーの渡河を見たい。ベストシーズンと聞いてきたんだ」 「確かに。でも毎日渡るわけじゃないんだ。今日は多分もういない。 でも行ってみよう」 偽「ありがとう。カバも見たいね」 「サワサワ」 偽「サイは?」 「サイは難しいな。奴らは茂みにいて、 出てきたとしてもまたすぐ茂みに入ってしまうんだ。でも頑張って探してみよう」 ハッキリ言って、希望は言ったモン勝ちである。 日本人は思慮深くて希望を言わない人が多いけど、 外国では絶対に言わねばダメだ。 こうして、我輩はマラ河に行ってもらえることになった。 ヌーの骨にまたしても食物連鎖の厳しさを感じながら走ることしばらく。 向こうに川が見えた。 「見えるか偽スナフキン!あれがマラリバーだ。 見ての通りヌーはもう渡ってしまった。さっき見た奴らだ」 見た感じ、なるほど渡ったような形跡がある。 後ですれ違った他社ツアーの人達によると、昨日はかなりの数が渡ったらしい。 ウーム・・・実に残念極まる。 まぁ相手は生き物だからな。 仕方ない。 マラ河沿いを走っていく。 一ヶ所対岸にシマウマが集まっているところがあったけど、 今日は渡河しないと判断したのか、シャドラックは止まることなく走る。 少しして、カバの群れが。 口の大きさを競うのは、群れの中におけるポジションを決める重要な儀式。 そして、すぐ脇の茂みには、 メスをめぐる争いに破れたらしきかなり大きなカバが横たわっていた。 写真を見て気付いたが、傷だらけだ。 偽「死にかけているのか?」 「そうだな。そしてハゲタカやライオン、ハイエナのディナーになるんだ。 グッドラック」 ウーム・・・。 至る所で食物連鎖を見せ付けられているな。 さらにカバの群れから少し離れるとワニの群れ。 緑がオスで、黄色がメス。 この時少しだけ、四駆から降ろしてくれた。 「あまり河のそばに行くな。落ちたらフィニッシュだ。 もう見たか?なら戻るぞ。茂みからカバが出てくるかもしれない。 カバはチョー危ないんだ」 アフリカで一番人を殺すのは、実はカバらしい。 どうやるんだろう。 ・・・噛むのかな。 おぉ怖ッ。 相当速いスピードで泳ぐし、走らせるともっと速いそうだ。 意外な面が多い動物であるな。 水辺の近くにはやはり動物が多い。 これはインパラだ。 角のある1匹のオスが、メニーメニーのメスを従えている。 一番後ろで、「さぁ行け」という感じでいるのがオスだ。 インパラはこのようにハーレムを作り、争いに破れたオスは、 傷を舐めあうように、オスだけで小さな群れを作る。 勝ち組に負け組・・・。 自然界では笑えない生存競争なのだな。 最後にゾウの水飲み場を見て、12:15ホテルに帰ってきた。 ロングドライブ、やはりオススメだった。 帰ってすぐにメシ。 ろくに腹も減ってないのに、結構な量だった。 ・・・太る。 部屋に戻って横になったら爆睡。 起きたらマサイ村訪問まであと30分。 慌てて支度をしてロビーへ。 マサイ村に行くのは、我輩と初老の婆さん。 またしてもシャドラックの運転で、丘の麓のマサイ村に向かう。 「村では英語を話すマサイが案内する。 偽スナフキンは英語が話せるから、通訳するんだ。ママと息子だな!」 ・・・めんどくせぇ。 村の入口で、我々はマサイガイドに引き渡された。 「ジャンボ!ようこそマサイ村へ。 ここは、村の裏にある岩にちなんで、ハードロックという村だ」 偽「・・・ということです」 「村には4つのゲートがある。何でか分かるか?」 偽「・・・ということですが分かりますか?」 「村には4家族が住んでいる。 1家族は3つの家に別れて住んでいて、 パパとママと小さな子供の家、ママと子供の家、子供の家。 つまり、マサイはイプタサイ」 偽「・・・ということで、一夫多妻なんです」 「ではこれから中に入ってもらって、女達が歓迎の歌と挨拶の歌を歌います。 で、最後にはオミヤゲを買って、 マサイコミュニティに貢献して下さい」 偽「・・・」 「訳して訳して」 偽「・・・というわけで土産を買ってやって下さい」 ・・・オレに通訳料を払え。 「ところでオミヤゲって英語で何て言うんだっけ?」 偽「スーベニアか?」 「あぁセンキュー」 教育料も払え。 中で歌を2曲聞き、 村を案内される。 「夜には放牧している牛を集めて、ゲートを閉める。19:00ぐらいかな。 ライオンがやってきて牛を襲うからね。どれぐらい遠くまで行くかって? (豆粒のような牛を指して)あんなの近い。50キロは行くんだ。 ゲートを閉めるのは、男の仕事だ。 何でって? 昔は女の仕事だったけど、ある夜締め忘れてしまって、ライオンに襲われた。 以来男の仕事になった。 家のデコレーションもママの仕事だ。 これから火を起こすのを見てもらおう。これは男の仕事だ。力がいるからね」 偽「・・・だそうです」 お~点いた点いた。 「では家の中を案内しましょう」 ・・・そのハエだらけの家をかい? のぞむところだ。 入ったところが居間。 子牛が寝る。 仕切りの奥では子羊が寝る。 「ライオンが来るからね」 ・・・ライオンはそんなに頻繁にいらっしゃるのでしょうか? 居間の隣が台所。 台所を挟んで、パパと小さな子供の部屋と、ママと小さな子供の部屋がある。 枕元の袋に何が入ってるのか見せてもらったら、 鉛筆と紙を束ねたノートだった。 「スクールバッグ」 ふーん・・・。 これでマサイ村訪問は終了。 「ではこちらへ」 村の裏には円形の台が置かれ、土産物が置いてある。 「ぐるっと回って欲しい物を選んでくれ。グッドプライスにするから」 偽「・・・だそうです」 どれも別にさして欲しくはないが、婆さんはキーホルダー2コを選び、 我輩は、やむなくキーホルダー1コと牛の角で作ったネックレスを選んだ。 さて、こちらでは、ホテルのお土産屋とか、 ちゃんとしたところでないお土産屋(例えばドライブインとか)には、値札がない。 基本的に交渉で決まるのだ。 我輩は平気だったけど、 交渉できない人は、入らないことをオススメしますよ。 でだ。 キーホルダー3つとネックレスをガイドマサイに渡す。 すると彼は言った。 「60」 ・・・。 偽「60シリング?」 「ノー、60ダラーズ」 ・・・。 アホか!! 誰が金七千円也も払うか!! この瞬間に、婆さんはキーホルダーを1つ返しに行った。 「あー、いやいや、これは私達の値段。君達の値段を言ってくれ。 さぁ!さぁさぁ!!」 ・・・どれぐらいだ。 キーホルダーはまぁ500円ぐらいとして、ネックレスは・・・まぁ1000円ぐらいか? 買ったことないから分かんねぇ。 偽「20ダラーズ」 「20!?ビーズ一杯使ってるでしょ? これは自分達では作れないから、マーケットに買いに行くんだ。ちょっと待ってくれ」 ガイドマサイは、脇にいた脇マサイと相談開始。 「30ダラ・・・」偽「25」 「・・・。ビーズ一杯使ってるでしょ? これは自分達では作れないから、マーケットに買いに行く・・・」 偽「25がイヤなら、キーホルダー2つで10だ。それもイヤならもう買わない」 「・・・。ヌマネタパチュワムマナモジャ?」 「ナムニカパチュチナミ」 売り子に値段を確認し、かなり渋々ながら25ドルでO.K.となった。 ガイド料+交渉料+土産代として婆さんは10ドルもくれたので、 持ち出しは15ドルで済んだ。 これがお買い得かどうかは個人の感覚だな。 我輩としてはまぁまぁだと思った。 最後に訪問の署名をしてマサイ村を退散。 「グッバイはオリセリと言うんだ」 偽「分かった分かった。オリセリ~」 こうして我々はまたシャドラックに引き渡され、マサイ村を後にした。 「偽スナフキンは何を買ったんだ?ネックレスか?良い物を買ったな。 それはグッドラックを意味するんだ」 何だかんだで2時間のマサイ村訪問を終え、ホテルに帰ったのは17:00。 疲れてしまって、すぐに爆睡。 19:30に目が覚めたが、 寝てばかりで別に腹も減らないので、晩メシは抜き。 係員が明日のモーニングコールの時間を聞きに来たので、 ドア越しに4:00にお願いし、また寝た。 寝過ぎだな・・・。 Zzz・・・ |