18 Aug-
長い雌伏の時を経て、また新たな旅立ちの時がやってきた。 毎年5月の次は10月だったローテーションからいくと、今年は少し早めの旅立ちだ。 さて。例のごとく、行き先選定の話から始めようか。 当初、旅の目的地は南米はペルーの世界遺産「マチュピチュ」だった。 空中都市マチュピチュ。 究極に魅力的な行き先ではないか。 諸々のことを調べ上げ、いざ申し込もうという段になった時。 部屋の本棚にある名著「地球の歩き方・東アフリカ編」が目に入った。 昨年、予防接種が間に合わず、断念したアフリカ。
・・・ハッ。 そうじゃ。 我輩には守るべきものや人はない。 だからこそアフリカに行くんじゃ~!! ってなわけで、行き先は土壇場で変更。 個人的には、どうせ行くならタンザニアの世界遺産ンゴロンゴロ国立公園か セレンゲティ国立公園に行きたかったのだが、 タンザニアはケニアより15~20万円ぐらい余分にかかるので、断念。 まぁそれ以外にもケニアを選んだのには理由があるのだが、 それはまた機会があったら書こう。 運良く飛行機には空きがあり、宿のキャンセル待ちということで すんなりケニア行きが決まった。 そうと決まれば、次は予防接種だ。 去年はここでつまづいたからな。 同じ轍を踏んでなるものか。 今回の旅で義務付けられている予防接種は黄熱病。 予防接種を受けられる診療所は数えるほどしかなく、 土日に射ってくれるのは関東の2ヵ所だけ。 東京の診療所はワクチン切れだったが、横浜の診療所には残りがあったので、即予約。 幸い仕事で東京に行く機会があり、横浜で射ってもらってイエローカードを取得。 まさか野口英世先生が開発した黄熱病ワクチンをこの身に宿すことになろうとはな・・・。 何はともあれ、黄熱病バリアは完璧。 キャンセル待ちのまま一向に話が進まなかった旅の予約も、 多少ヤキモキし始めた1ヵ月を切ったところで無事宿がとれたという連絡があった。 ヨッシャー!と喜んだのは良いものの、そこで全ての気が抜けてしまい、 やはり最後の最後まで準備に追われることとなってしまった。 今回ほど準備に時間が掛かったことはない。 ちなみに主要な持ち物を列挙すると、長袖シャツ4枚、フリース、寝まき、蚊取り線香、 電池式虫除け機、虫除けスプレー、ウナコーワ、日焼け止め、トイレットペーパー、 バファリン、ラッパのマークの正露丸、軍手、マスクエトセトラエトセトラ。 こいつをリュックに詰め込む。 というのも、ハードスーツケースは「不可」とパンフに書いてあるのだ。 圧縮袋を駆使して全てを詰め込むと、早くも我がリュックはパンパンになってくれた。 ウーム・・・相変わらず何とも荷造りの下手なことよ・・・。 とても旅好きな人間の荷物には見えぬ。 っていうか、いつもネックなのは寝まき。 かさばること極まりない。 しかし普段着のまま寝ることができない我輩は、 捨てる覚悟でユニクロのスウェットを押し込むのであった。 そしてようやく全ての詰め込みが終わった水曜日。 虫除けスプレーとライターは機内預かりでも不可ということが判明。 一旦全て出して詰め直し、最終的に完了したのはやはり旅立ちの前日だった。 天気予報によると、台風8号が台湾に接近しているらしい。 明日の香港に支障がないか若干不安になったが、 何せ我輩は太陽王。 台風ごとき と、インターネットで台風の進路を何度も確認して、眠りに就いた。 出発当日、4:00起床。 ・・・のハズだったが、寝坊して4:30に目覚めた。 髪を整え髭を剃り、いつになくゆったりと出発の時を待つ。 リストまで作って入念に荷物を積めたのだ。 いつもはバタついて荷物を確かめたりするのだが、もはや確かめる必要性が見当たらない。 っていうか、出したら忘れていきそうだ。 最後の最後に地球の歩き方が入っていることだけを確認して、我が城を後にした。 ウーム、万全過ぎる。 こんなにゆったり出発するのはいつぶりだろう。 予定通り電車に乗り、途中駅で特急に乗り換える。
・・・。 来ない。 特急が来ない。 何と事故ですか!? マジで!? 相当焦ったが、幸い予定より10分遅れの7:58、関空に到着。 10:00発だから、丁度良いといえば丁度良いか。 団体カウンターで、ビザ取得のために預けてあったパスポートと搭乗券を受け取る。 前に並んでいた人は台湾ツアーに行くようで、 飛行機は引き返す可能性があると説明を受けていた。 香港は大丈夫なんだろうか。 まぁ今さら心配しても仕方ない。 行きますか。 今日の目的地はインドのムンバイ(ボンベイ)。 ムンバイからナイロビの便は明日付けだ。 遠いな・・・。 早速キャセイパシフィックのカウンターでチェックイン。 荷物はナイロビまで直送だというのを何度も何度も確認して出国手続き。 生命線を握るアイテム満載のあのリュックが届かなかったらキツイな・・・。 ふとよぎる不安を振り払って、いつものようにスタバで出陣式。 ♪人間五十年~ 行くぜナイロビ! まずはムンバイだ!! こうして空元気の我輩を乗せて、CX503便は一路香港へ。 前から読もう読もうと思って読まずにいた本を読み終えて、 ふとキャセイパシフィックのカウンターでとってきた時刻表を見て驚いた。 我輩が香港で次に乗り継ぐCX751便は、ドバイ行き。 途中バンコクとムンバイに停まるらしい。 各駅停車かい!! これって・・・バンコクでは乗りっ放しで良いんだろうか、と思っていたらメシが出てきた。 チキンヌードル。 ハッキリいって最悪。 これは厳しい。 全く茹で上がっていない、激硬ブツ切れ麺にウンザリしてしまった我輩は、 ほとんど手付かずのままメシを終了。 台風のせいかやたらにガタつきながら、予定より30分早く香港に到着。 心配していた1時間のトランジットも余裕を持ってできそうだ。 免税店をぶらついて、それでも余裕があったのだが、この空港には時計がなかったので、 念のため早めにゲート前で待機。 そしたら今度は放送の声が小さすぎて、気付いたら搭乗が始まっていた。 機内にはインドっぽい人が盛り沢山。 色黒でクリッとした目に口ひげを生やし、服はポロにチノパン。 我輩の隣の隣は美人な白人だが、隣はいかにもインドっぽい男だ。 落ち着きのなさがムカつく。 離陸してすぐにまたメシ。 「フィッシュオアペラリーノ?」 偽「・・・フィッシュ」 明らかに腹がゆるんでいるので、少しずつちょっとだけ食べた。 絶対さっきの機内で食ったアイスのせいだな。 胃がヒクヒクする。 しかし我輩は腹がゆるい時こそ食う。 足が痛い時にはあえて歩く。 そうして生きてきたのだ。 思いっきりオーバーリアクションなインドのコメディを観ながらメシを食い、 のんびりしてたらもうバンコクだ。 「ペラペラペラペラペラリーノ、ムンバイ、ドバイペラリーノ。 ペラリーノチェック、クリーントイレペラリーノ」 乗ってりゃ良いのか?降りるのか? 全てが謎だ。 毎回毎回勉強になるぜ。 16:58バンコク着。 東洋人ぽい人がいなくなって、機内は一層中東色が強くなった。 どうやら我輩は降りなくても良いらしい。 荷物点検(棚の1つ1つの荷物が誰の物か確認される)と機内清掃が行われる。 ・・・おや。 何かモメてますね。 随分怒ってますけど。 「オレはソルジャーだぞ!」 と言ってるのか? あ。 責任者っぽい女性が来た。 「ペラリーノペラリーノ」 全く分からんが、あなたは乗れません的なことを言ってる気がする。 あんなゴツイ兵隊もどきに毅然とした態度で話す女性。 あんたカッコイイぞ。 あ。 降りていった。 あ。 戻ってきた。 モメてますモメてます。 あ。 降りていった。 そして兵隊もどきが降りていったら、バンコクからの客が乗ってきた。 乗ってくる人乗ってくる人、これはもうインド人でしょ。 インド人密度は我が人生で最大になっております。 を。 白い服に白いターバン。 これはドバイっぽい。 ムー、すごい空間だ。 ヨーロッパ人の体臭とは違って、スパイシーな香りが充満してきた。 17:30離陸。 離陸してからすぐに眠気が爆発し、気付いたらいつの間にもらったのか、 食事のメニューと入国カード、アップルジュースがテーブルに乗っていた。 メシを断ったのは覚えているのだが・・・。 そして早くも19:35、ムンバイに到着。 次のナイロビ行きは翌3:10発。 何と8時間近くもある。 途方に暮れてしまうが、とりあえずチェックインして搭乗券をもらわねば。 何となく飛行機を降り、バスに乗って着いたのは入国審査場。 ・・・。 どうすんの? 迷ったあげく係員に聞くと、入国カードを書いて並べと言う。 ・・・。 オレ入国ビザ持ってないけど。 とりあえず書いて並ぶと、やっぱり通れなかった。 何やかんやしている内にキャセイパシフィックの人がやってきて、色々説明をしてくれた。 何だかよく分からんが、彼はパスポートとチケット控えを持って去り、 空港の人が彼に言われた通り、我輩を案内してくれる。 しかしパスポートをとられるとかなり焦るな。 さらに空港には軍関係らしい人が要所要所に立っていて、横を通るたびに、 案内役の人が細々と説明している。 ウーム、この怖さは何なんだ。 案内された先は、一応ファーストフード店のある広い待合ロビー。 「メシを食えるし、どこで休んでもいい」 だから何だ。 これはちゃんと聞いておかねば。 偽「ケニア航空のオフィスは?」 「ない。だから我々がチェックインをする。乗る前にパスポートと搭乗券を渡す。 偽「ここにいれば2:00に呼びに来てくれるんだね?」 「そうだ」 そういうことらしい。 簡易ベッドみたいなソファに座って待機。 おや。 何かモメていますね。怒号が飛びかっていますが。 ウーム・・・。 案内書にも一旦パスポートと搭乗券控えを預かると書いてはあるけど、 ツアー会社の担当は、航空会社の人は何もしてくれないから トランジットはテメェでやれと言っていたからな。 っていうか、 舌っ足らずな説明ばっかりなんだよあの野郎!!金払ってもパスポート送っても届いたとも言ってよこさないし!!ナメてんのか!!(怒) と、若干遠慮していたイライラを爆発させながら2:00を待つ。 さて、我輩は1人離れた簡易ベッドにいるわけで、 ここはかなり快適なポジションなわけだが、目の前にはペプシを売ってる売店がある。 今立つと、増えだしたフロアの人にこのベッドを明け渡すことになるとしても、 ここはペプシを取る。 偽「ダイエットペプシ」 「25ルピー」 偽「ドル?」 「ノー」 ・・・外貨獲得作戦か。 仕方なく両替屋で3ドルを79ルピーに両替し、リベンジ。 次々抜かされて段々腹が立ってきたので、オッサンを弾き飛ばして買った。 何睨んどんねんオッサン。 お前後から来て先に買えると思うなハゲ!! そしてペプシヌルイんじゃクソタワケ!!(T_T) どうせならもう少し両替して、チャイを買えば良かった・・・。 ベッドも奪われ、ヌルイコーラを片手にさすらいのジプシーとなった我輩は、 やむなく普通のベンチシートに座ることにした。 DSを置いてきたことを激しく後悔しながら、 何の自信もなく2:00を待つことになったのである。 |
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