21 Shaw- 7:00起床。
支度は整っているので、ゆっくり顔を洗ってブレックファーストへ。
マリオットの朝食もこれが最後か。
正直美味い。
特にブルーベリーヨーグルトが。
しっかり食ってからチェックアウト。
・・・。
緊張するぞ。
イスラエルの入国審査は厳しいと聞いている。
やましいことなど何もないが、
何か引っ掛かるんじゃないかと思うと、キリキリする。
そう、偽スナフキンは臆病者なのだ。
ヨルダン~イスラエル間の国境は3つあり、
我輩は、最もメジャーなキングフセインブリッジ(アレンビーブリッジ)を通る。
アンマン市内からキングフセインブリッジまでは、約40分。
市街地を抜けると、長いこと坂を下っていく。
野菜畑などがあって、普通の田舎だなぁと眺めているうちに、
ヨルダン側の国境に到着した。
100ドルで出国までの代行手続きをしてくれるらしいが、どう考えても高い。
いくら安全は金で買う我輩でも、これは出せん。
車を降り、足取り重く、建物に入っていく。
・・・いよいよか。
まずはスーツケースの保安検査。
空港と同じくX線検査を受ける。
続いて出国手続き。
図のように窓口があり、①が受け付け。
そこから、壁に開いた小窓を通してパスポートが②の係員に渡される。
っていうか、②にいる人が①へ入って、
パスポートを受け取って②に残った人に渡す。
それだけのことなんだが、絶対に②ではパスポートを受け取ってはくれなかった。
ここでスタンプをもらうのだが、5ディナールの印紙が必要。
③の窓口がけだるそうに売ってくれるので、
こちらも負けじとけだるそうに買って、②に渡す。
これで手続き終了・・・か?
イスに座って待つように指示された。
何でパスポート返してくれないんだ?
係員の英語が聞こえづらくてよく分からん。
インザバス?
バスで返してくれるってか?
地球の歩き方には、ホールにあるイスに座って待つように言われたら、
別室検査で数時間待機覚悟と書いてある。
オイオイ別室か?
マジかオイ。
わざわざいつ返してくれるか聞きに行ったら心象を害すのか?
いやいや、このままでは、心のドキドキが収まらん。
意を決して、手続きの波が途切れたところで、
係員にパスポートを返してくれないか聞いてみる。
「バスの中だ!」
ひぃぃっ怒らないで!
イスに座って待つように言われたので、
同じことを言われたと困っている人たちと一緒に
しばらくおとなしく待っていると、
他の人々と一緒に、
係員が大型のバスに連れていってくれた。
このバスが、唯一キングフセインブリッジの国境を通行できるのだ。
地球の歩き方には黄色いワゴンと書いてあったが、
全て青い大型バスだった。
中で乗車券を買う。
スーツケースなどをトランクに入れた場合は追加料金が必要だ。
で、しばらく待つ。
・・・パスポートは?
あれ、このチケット・・・Jordan‐Anmanって書いてある。
アンマン行き!?
いやいや待て待て。
ヨルダンのアンマンにある会社って意味だろ。
落ち着け偽スナフキンッ!!
テイキットイーズィ!
大丈夫、お前は上手くやれている!
しばらくして、係員がパスポートの束を持ってやってきた。
「○○は?どこなんだ!?」
と、半分怒りながらパスポートを返してくれるので、
こちらも「ここだっつってんだろ!」 と、怒りながら返してもらおう。
パスポートには、同じスタンプを押した紙が挟まっている。
何だこれ。
バスは出発し、キングフセインブリッジを渡る。
といっても、100メートルぐらいの短い橋で、
日本が提供したらしく、エンブレムがはめ込まれていた。
この緩衝地域を越えるとイスラエル側の入国審査場に着く。
割とでかい建物だ。
まず手荷物とパスポートを預け、パスポートが返ってきたら、
手荷物検査の後、入国審査に進む。
やる気のないヤンキーのようなネエちゃんだった。
となりのゲートでは、ドイツ人男性が引っ掛かって、
手続きが長引いている。
正直あれは避けたい。
本気で。
「目的は?何日いるの?どこへ行くの?イスラエルに知り合いは?」
ハキハキ喋らんかドアホッ!!
聞き取りにくくてスムースに答えられず、手間取った。
そして、バンバンッと、
パスポートと、挟まっていた紙の裏にスタンプを押された。
あぁっ!?
いきなり押すなよオイーッ!!
イスラエルの入国スタンプがあると、
一部のアラブ諸国は入国出来なくなってしまうのだ。
まぁ正直そんなに行きたい国があるわけじゃないし、
無理に交渉するよりは入国するのが優先かなぁとは思っていたが、
やはり聞いては欲しかった!
クソ~。
写真と指紋を撮られ、さらに進んでいく。
よく分からんチェックポイントでまたパスポートチェックと、入国目的を聞かれる。
サイトシーイングってのは通じなかったな。
ツーリズムが正しいのか?
チェックの後、マンツーマンで別室に連れていかれ、
何やら青い棒で全ての手荷物をチェックされる。
これが終わってようやく放置してあるスーツケースとご対面。
最後にスーツケースのX線検査を受けてようやく入国完了。
ここに到着してから2時間。
思い出してみれば、ひとつひとつの検査は決して厳しくなく、
普通入国する時にはこなすものばかり。
しかしあれだけ集中してやられると、負担感があるな。
実に疲れた入国審査であった。
そして、見事にケータイのローミングが切り替わった。
やっとイスラエルに入ったのだな。
出口ではガイドが待っていた。
杖をついた爺さんだが、大丈夫か?
オレ様のハードな旅をナビれるのか?
少々心配だ。
さっそくエルサレムに向かうのかと思ったら、
クムランというところへ行って、ランチのようだ。
ちなみに、旅行社からもらった行程表の今日の予定は、
アンマン→エルサレムのみ。
今日も実にアバウトなのであった。
何の予習もなかったので、ガイドに色々聞きながらの道のりとなったが、
これはこれで良かったかもしれん。
クムランは、昨日アンマンの考古学博物館で見た、
死海文書が発見されたところだそうだ。
このあたりには洞窟が沢山あって、かつて人々の住居だったそうだ。
で、犬を探していたベドウィンが、
たまたま洞窟内に保管された死海文書を発見したらしい。
キブツの集落を見ながら、死海の畔を行くと、クムランに到着。
とりあえずランチ。
またビュッフェか。
「もっと食いなさい」 と言われつつも、さっさとランチを済ませ、
ちょっとだけショッピング。
死海グッズは、こちらの方が少々お買い得だった。
エルサレムのイラスト地図を買い、クムランを一回り。
一面砂漠と岩山なんだが、
反対側には死海が広がっており、
何だか変な感じがした。
以上クムラン終わり。
いよいよエルサレムに向かう。
死海の周辺は、昨日も書いたが、海抜マイナス400メートルという低所にあり、
エルサレムは海抜600メートルにあるので、随分と峠のような道を走っていく。
沿道にはベドウィンの家、連なる山、丘があり、ヨルダンとはまた違った景色だ。
む、前の車が遅いな。
抜くのかな~・・・よしよし、遅い車は抜かなきゃね。
なるほど重機積んでるトレーラーか。
それはしゃあない。
・・・いや、重機じゃねぇ。
戦車か!
小型じゃなくて、プラモでよく見るゴッツイ戦車を積んだトレーラーだった。
大砲の先には袋がついている。
破れたら大変な問題になる、封印用の袋なのであろう。
偽「リアル戦車を初めて見たよ」
「ハハハ、初めてなのか」
呆れたような笑みを浮かべるガイド。
そうか。
ここでは戦車が道路にいることなんて珍しくないのか。
しばらくすると、丘の上に、砂漠に似付かわしくない、
綺麗な建物が沢山見えてきた。
エルサレムだ。
我輩はてっきり小さな旧い町だと思っていた。
高層ビルこそないが、かなり大きな、綺麗な都会だ。
「あれがホテルだ。
明日は8:30に迎えに来てくれるらしい。
荷物を置いて、さっそく一休み・・・じゃない、旧市街へ行こう。
イカンイカン、最近の旅は気合いが入ってなくてイカン。
足の裏が痛くなろうとも、歯を食いしばって歩くのだ!
言われた通りに歩いていくと、ダマスカス門に着いた。 エルサレムの旧市街は壁で囲まれていて、いくつかの門から入ることができる。
ダマスカス門は、一番立派だったな。
明日は旧市街をガイドしてもらえるハズなので、
今日は、明日連れていってもらえない所を攻めておくつもりだ。
まだ時間もたっぷりあるしな。
あ、ホテルで両替してない。
仕方ない、両替屋を探しつつ、
まずは適当にヤッフォ門の方へ向かって旧市街を歩いてみよう。
バザールが広がる狭い路地を、適当に歩いていく。
地図も見ずに。
我輩にとっては異例なことだが、何となくまずは歩いてみたくなったのだ。
飴屋、鶏屋、服屋、オモチャ屋。
とにかく店が続く狭い路地を、どんどんと進んでいく。
これがエルサレムか。
観光客だらけやんけ。
我輩はてっきり静かな神殿やら教会しかないのかと思っていたよ。
思い込みは悪である。
賑やかな通りを右に折れると、沢山の人がいる広場に着いた。
む。
これは見た感じ聖墳墓教会だな。
ここは明日の楽しみにとっておきたいから、あえて入らずに行こう。
物事には順序がある。
説明も明日だ。
そこからもう少し行くと、ヤッフォ門に出た。
近くにあった両替所でイスラエルシェケルにマネーチェンジ。
随分カラフルなお札なんだな。
じゃ、現地通貨をしっかり入手したところで、ダビデの塔に入る。
ダビデは、今まで何度となく彫刻を見てきた、巨人ゴリアテを倒した、
あのダビデである。
あのダビデと言われてもなーという人もいるかもしれないが、あえて言おう。
あのダビデである。
そう、イスラエルには、
あまりにも有名な聖人(特にキリスト教関連)に縁のある建物や場所が、
山ほどある。
正直、その真偽のほどはよく分からんが、
富良野の黒板五郎の家じゃなくて、
聖人に縁があるあたり、無宗教な我輩にとっても全てが注目すべきものである。
たっぷりご紹介するので、楽しみにしておくが良い。
ちなみに、ダビデの塔の中は、簡単な展示と庭園があるぐらい。
←誇らしげにひるがえる国旗と市旗と.・・・何??
←どっかの首相によく似たダビデ。このテーマの彫像は好きだ。
ここからはエルサレムの市街を見渡すとよろしい。
今日は逆光というのもあるけど、ちょっとガスがかかっているので、
見晴らしはよろしくないけど、丘の下に向かって広がるエルサレムの街はキレイそうだ。
今夜は音と光のショーが見られるらしいが、
何となく興味がわかなかったので、スルー。
そこからしばらく壁沿いに歩き、大ヤコブ聖堂へ。
閉館ギリギリに飛び込み、聖堂内をチラ見。
後で知ったが、毎日15:00~15:30しか見られないらしい。
危ない危ない。
さて、では、嘆きの壁に行ってみるとしよう。
細い路地をあちこち歩いていくと、「WALL」の文字が。
壁。
うーむ、何だか趣深いぞ。
と思っていたら、迷ってしまった。
ウームムム・・・道が入り組みすぎておる・・・。
キョロキョロウロウロ・・・。
ハッ!
うを~ッ!!
マジか・・・。
夕日に染まる壁に金色のドーム。
これぞまさに我輩の思い描いていたエルサレムだ。
ヤバイ、これは鳥肌が立つ。
何枚も写真を撮ってから、広場に下りてみる。
手荷物検査を受けて、階段を下りていく。
黒い帽子に黒いスーツ、そして長いモミアゲ。
正統派のユダヤ教徒が壁に向かって歩いていくのを見て、
イスラエルに来たんだなぁという思いを強くした。
紙の帽子(キッパ)を借りて、壁のそばへ。
上下に揺れたり、前後に何度もお辞儀しながら
聖書を読み上げる人がいれば、泣きながら祈ってる人もいる。
ここはマジで祈りの場なのだ。
我輩も右手をあて、祈っておいた。
しばらく、離れた場所から壁に祈るユダヤ教の人々見て、
今日の旧市街観光はこんなもんにしておこうという気になった。
また散歩しながらヤッフォ門に向かい、そこから新市街へ。
適当にウインドーショッピングして帰ろうかな~。
・・・お、歩行者天国発見!
ここを歩いてから帰ろう。
おや、これはキッパか。
何だか見たことある絵柄だが・・・ロイヤリティ払ってんのか?
丁度良い。
明日からはマイキッパで行こう。
ってなわけで、コレを購入。
バルサッバルサッバールサッ!!(笑)
さらに歩いて、世界のMも発見!
よし、今夜はホテルのディナーがあるらしいが、
我輩が食いたいのはホテルのディナーじゃない。
世界のMだ!
ビッグマックを購入。
イスラエルの世界のMには、
ポテトが2種類あるので要注意だ。
満腹になって再び歩行者天国を歩いていると、女の子達が歌っていた。
国歌か?
民謡か?
何にしても、あまりに楽しそうに歌っていたので、
我輩と同じく足を止めた人々と一緒にしばらく聞いて、
気持ちばかりのチップを払ってホテルに帰ることにした。
新市街から我輩が泊まっているホテルにかけてのエリアは、
正統派ユダヤ教徒の住居エリアのようだ。
みんな同じような服を着て、同じ髪型をしている。
男の子なら、七五三のようなスーツに長いモミアゲ、女の子は後ろで編んだ髪。
成人男性は黒い帽子に黒いスーツ、長いモミアゲ、
女性は頭にスカーフを巻いている。
すれ違う人が全て同じ格好というのは、なかなか奇妙だった。
こういう宗教色の強いところは、写真を撮りまくるとたいがい怒られる。
コッソリと街灯に照らされた路地の写真を撮り、ホテルまで歩いた。
さぁまだ22:00だけどもう疲れた。
明日に備えて早く寝るべ。
Zzz・・・ |