13 Oct-
今朝も何度も寝ては起きを繰り返し、5:00起床。 音楽番組を聞きながらこれを書き、シャワーを浴びて6:40に出発。 今日はこの旅のメインイベント、モン・サン・ミッシェル訪問である。 自力で行くことも可能らしいが、時間的なことを考え、 シティラマ社のオプショナルツアーに申し込んだ。 地下鉄でPiramides(ピラミッド)駅まで行き、ジャンヌダルク像前のシティラマ社へ。 7:15集合の10分前に着いた。 カウンターでクーポンを受け付けてもらい、二階建てバスに乗り込む。 日本語を話せるガイド付きだ。 「~デスケド、~デスネ」が口癖の、 セルジオ越後とスティーブンセガールを足して2で割ったような男である。 モン・サン・ミッシェルまでは350キロ。 東京~名古屋をバスで移動するようなものだ。 途中で飯を食うって言ってたから、「ちょっと静岡で食事」みたいな感じかな。 到着は13:00らしいから、5時間半の行程だ(うちメシは1時間)。 シャンゼリゼ大通りを走って環状線から高速に乗り、西へ西へ。 車中は寝ては起きの繰り返しで、9:30Aigle (アイグル)で朝飯。 不人気ツアーなのかと思ったら、二階には結構乗っていた。 目についたのは、極めてブサイお局OL4人組。 おそらく会社では幅を利かせているのだろう。 幅を利かせるのはナイスバディだけにしていただきたいところだ。 で、朝メシはバイキング。 非常にクセのあるスクランブルエッグが印象的。 果物を主体に食った。 対して向かいのOLどもはモリモリ食いまくり。 「ケーキありましたよぉ。感動しましたぁ~」の会話に食欲も失せた。 食後時間が余ったので、街中をぶらり。 立派な教会があって、それまでの田舎の景色から勘案して結構大きめの街だった。 流し方の分かりにくいトイレを済ませ、再び出発。 街を抜けると、また田舎の景色。 モン・サン・ミッシェルがあるノルマンディ地方の話が終わると、 車窓には馬が見えるようになってきて、馬のベルサイユとかいう厩舎の前を通った。 ここドーヴィルは馬産地として世界的に有名で、 今年の仔馬のオークションの最高額は四千万円だったそうだ。 そこからの景色はあまり覚えてない。 目が覚めると、小さな町の中を走っていた。 もうすぐ着くらしく、モン・サン・ミッシェルの歴史について話があった。 現在のモン・サン・ミッシェルがある岩山の対岸、 アヴランシュという街の司教だったオベールの夢に大天使ミカエルが現れ、 「かの岩山に聖堂を建てよ」と命じた。 だがオベールは聖堂を建てようとはしなかった。 ミカエルは3度目に現れたとき、オベールの額に触れ、三度命じた。 そこでようやくオベールは聖堂を建てた。 以後修道院が建てられ、その後も増改築を繰り替えし、 モン・サン・ミシェルは現在の姿となった。 今では80人ほどが暮らしているらしい。 しばらく走っていくと、右手にうっすらとモン・サン・ミッシェルが見えてきた! ついに来たぞモン・サン・ミッシェル!! しかしてっぺんに雲がかかってんじゃないかアレ・・・。 そして13:24、我々はついにモン・サン・ミッシェルに到着したのである。 うをーっ来たぞーッ!! これから始まる地獄のことなど知りもせず気分は盛り上がったのであった・・・。 バスを降り、入場券を受け取る。 城壁を歩いて、堂内へ向かうとのこと。 すると城壁の道には、 おびただしい数の羽虫が。 むをっ。 何じゃコレは。 海の近くにいる羽虫か? しかし、そう思っているうちは良かったのだ・・・。 しばらくして、おでこが異様に痒くなってきた。 何か痒いな・・・。 と、ふとガイドを見ると、首筋に何かに刺されたような跡が・・・。 まさか・・・。 嫌な予感がしておでこを触ってみたら、よく知っている触り心地が・・・。 蚊か!? まさかこの羽虫は みんなモスキート伯爵かっ!? そう思った瞬間、全身鳥肌が立った。 我輩は、いまだかつてこれほどの蚊の大群を見たことがない。 どこのガイドブックにも載ってないし、ツアー会社すら教えてくれなかったが、 実はここはモスキート大魔王の 拠城だったのである!! 何で誰も教えてくれなかったんだ!? こんな大事なことを!! オイ旅行雑誌! くだらん情報でなく、本当に重要なことを載せろ!! 誰も教えないならオレが教えてやる! 虫除けスプレーとムヒを 持ってこいと!! それからいくら暑くても半袖に短パンは自殺行為だ! ミニスカートをはいてきたアホデブが死ぬほど刺されていたが、 さすがに可哀相になったわい。 かくいう我輩も手とおでこに致命傷を負った。 おでこはデコッパチのように腫れ上がり、 掌には1ヵ月たった今でも、跡が残っている。 やはり向こうの蚊はパワーが違うのだろうな。 とにかく、みんな気を付けて来いよ!! さて、話を戻す。 城壁をぐるーっと歩いて、いよいよ堂内へ入る。 さすがはツアー。 ガイドの顔パスで入場券待ちの人間をぶっこ抜いて入れた。 昔はこの辺の高さまでしかなかったらしいが、 増築に増築を重ねて今の姿となったらしい。 しかしそんな解説の間にもモスキート大魔王の刺客が我々に襲い掛かってくるので、 ろくに話を聞く余裕もない。 イライラしながら展望台から聖堂へ。 展望台には司祭の墓がある。 司祭はそれぞれ自分の杖を持っていたので、墓にもその杖の絵が刻まれていた。 そしてその周囲には、数字やアルファベットの刻まれた石畳。 修復の時にどこに埋め込めばいいのかが分かるようになっているのだとか。 そして聖堂は半分ロマネスク洋式、半分ゴシック洋式。 ゴチャゴチャした飾りはなく、思っていたより「堅牢」という感じがした。 そして聖堂から、ラ・メルヴェイユ(奇跡)と呼ばれる中庭に出る。 モン・サン・ミッシェルの中でも有名な見ドコロだ。 が、それは同時にモスキート伯爵の巣窟でもあった。 ここが一番ひどかった。 ゆっくり見たいのに、とてもそんなこと出来はしない。 解説すらろくに聞けやしないじゃねぇかチキショウ!! かつて破壊された時に船大工が修復したため、 回廊の天井は船のようになっている。 またこの回廊では、エライ人が弟子の足を洗うのだそうだ。 これは、キリストが最後の晩餐の後に、 弟子の足を洗ったことに由来しているのだそうだ。 ラ・メルヴェイユの後、聖職者の食堂を始めとして三層からなる聖堂を下りていく。 壁面には、最初の方で書いた通り、モン・サン・ミッシェル建築の起源となった オベールの奇跡の彫刻があった。 奇跡を現在に伝える頭蓋骨に丸い穴の開いたオベールの頭蓋骨があるらしいが、 最近の調査で、その骨はオベールのものではないことが分かって みんなガッカリしたそうだ。 何じゃそりゃと思いながら騎士の間へ下り、聖職者の葬儀の間を見学。 聖堂のてっぺんにある大天使ミカエルのレプリカを見てから外に出て墓地へ。 そしてその脇の細い路地を抜けて、 モン・サン・ミシェルのメインストリート、「グランド・リュ」に出て 土産屋に入り、ツアー終了。 店で「虫刺され兼虫除け用」の酢のようなものをもらい、おでこや掌につけた。 そしたら不思議なことに見事なほど痒みは引いた。 感心していたら、店の人が我輩のおでこを指差して何か話し掛けてくる。 もちろん英語ではなく、フランス語なのかどうかすら分かるハズもない。 適当に答えていたら、先程の酢を手に取り、 びったんびったんと塗ってくれた。 イキナリだったので、少々驚いたぞ。 さて自由時間だ。 さっそく名物の巨大オムレツを食いに行く。 ラ・メール・プラール。 かつてプラールという夫人が巡礼者のために開いたお店で、 ずっと同じ調理法で作られているそうだ。
独特のリズムで作られるどデカオムレツ。 世界遺産の緒方直人いわく7000円と聞いていたが、 コーラとセットで31ユーロだった。 大きくても、ふわふわしているので量は多く感じなかった。 ちょっと塩味のする、誠にふわふわした魔可不思議なオムレツだった。 さぁて、自由時間は1時間しか設定されていなかったのだが、 あらかた案内してくれたので、もうあまり見るところはない。 天気が良くなってきたので、外から写真を撮った。 微妙に曇っていたが、最後の最後で晴れてくれた。 途中の雨降りの天気を思えば、良かったと思わねばなるまい。 ま、やはり太陽王の力かな。 さて、モスキート伯爵の思い出ばかりが残ってしまったけど、 我輩が以前から一度は来てみたかったところ。 去るのはやはり忍びないが、それもまた運命。 ありがとう。 モスキート大魔王の試練を乗り越えて、また猛虎の魂を取り戻せたよ。 さらばモン・サン・ミッシェル! こうして我々は16:20、モン・サン・ミッシェルを後にしたのであった。 バスは高速を走り、カーンという街へ。 第二次大戦で8割の建物が破壊されたらしいが、 今では南ノルマンディ地方の中心都市であるそうだ。 ここの戦争記念館のレストランで晩飯。 何でわざわざ戦争記念館のレストランにスポットを当てちゃったのか サッパリ分からん。 しかも記念館自体は、17:00に閉館していた。 別にここじゃなくても良いだろうに・・・。 18:30とはいえ、巨大オムレツを食べたばかりなので、非常に重かった。 腹八分目程度に食って晩飯終了。 再びバスは高速を走り、21:20シティラマ社前に帰ってきた。 いやぁ・・・おでこと掌が死ぬほど痒い。 掌はいつの間に刺されたのか、4ヵ所が腫れあがっている。 いずれもアリエナイ程熱をもっていた。 そして、触ると強烈な痒みが襲ってくる。 気にしないように気にしないようにして、地下鉄でホテルへ帰還。 22:20だった。 今日はあまり歩いてはいないが、モスキートの神の試練に疲れ果てた。 シャワーを浴びてこれを書き、1:20就寝。 Zzz。 |