3 Aug-

特に観たい映画があるでもなく、

座って飯を食ってから、気持ちよく爆睡。

目を覚ました時には、あと3時間だった。

眼下には、夜明けに染まりつつあるアフリカ大陸が見える。

再びやって来たぞアフリカ!

今日は着いてすぐに観光が始まるので、しっかり機内食を食った。

ヨハネスブルクには、定刻から遅れて、7:00着。

日本では、出発時から換算して、土曜日の38:00。

20時間を要したのか・・・。

遠いわ。

パスポートコントロールを抜けて、出口に向かうと、ポリスに呼び止められた。

むむ。

パスポートを念入りに見られ、スーツケースまで開けろと言う。

他の客は素通りなのに、明らかに何か狙われている気がしてならない。

「今日はどこへ行くの。明日は?」

質問しながらも、スーツケースの中身を、ポケットも全て開けて見ている。

我輩はというと、何かスられるんじゃないかと、彼の手元をじっと見る。

「今日はどこへ行くの。明日は?」

何だこの同じ質問は。

イスラエルのテルアビブを思い出す展開だな。

日本円を全部持ち歩くのはリスクかと、

一部スーツケースに入れようとして止めたのだが、実に正解だったな。

金を見られたら何をされるか分かったもんじゃない。

どうやら諦めたようで、何もなく検査は終わった。

入国出口を出ると、目の前には大量のお迎えガイドたち。

この中から見つけんのかよ!

と思って見ていたら、「ようこそ偽スナフキン」の文字が目に飛び込んできた。

日本語は偉大やな!

ガイドはアゴヒゲをヒョロリと伸ばしたロレンツ。

年は分かりづらい。

初老に見える。

まずはホテルへ。

ヨハネスブルクからは少し離れたサントンという町にある。

ヨハネスブルクの中心街は、世界で一番治安が悪いと有名で、

その中心街から機能移転した形でショッピングセンターやらが建ち並んでいるのがサントンである。

偽「我輩は写真を撮るのが趣味なんだ。
    もしここは危ない!とか、カメラを隠せ!という時には教えて」

「何も心配はないよ。どんどん撮って」

・・・そうなの?

道々、南アフリカの話を色々と教えてくれる。

ゆっくり大きな声で話してくれるので、我輩でもきちんと理解できる。

ここヨハネスブルクは、ホニャララ年に金が見つかって、

世界中から人が集まってできた、金鉱の町だそうな。

なので、あちこちには金鉱山を掘った時に出た土を盛った、

マインダンプという丘がある。

筑豊にあるボタ山のイメージだな。

かつては丘の上からポリスが見張り、

黒人の集会などは解散させられたりしたそうだ。

思いの外、非常に整備されたハイウェイを走っていく。

「ここは、アパルトヘイトの時に作られた黒人のための古い町、アレクサンドラだ」

フムフム・・・。

正直なところ、キレイな町である。

黒人居住区だから汚いとかではないんだな。

そこからさらに走ってサントンへ。

一旦荷物を置いて、今日の午前中は、「ソウェト」という旧黒人居住区観光である。
↑アパルトヘイトは廃止されているので、当然「旧」という記載になる。


↑いよいよヨハネスブルグの中心街へ。

ホテルを出て少し走ると、ひときわ閑静な住宅街に入った。

「この辺りはとても金持ちの住む所で、彼らの家にはプールやテニスコートまであるんだ」

へー。

「これはネルソン・マンデラの家で、今でも奥さんが一人で住んでる」

なるほど納得だ。

秋にはジャカランダの花が満開になる、素晴らしい住宅街だった。

そこからもう少し走ると、ネルソン・マンデラブリッジを渡り、

左手には中心部とおぼしき高層ビルが建ち並ぶ。

「左側には沢山ビルがあるけど、右にはないだろ?
  なぜなら、右側の地下は古い鉱山の跡で穴だらけなんだ」

偽「ポンテタワーというのを遠くからでも見れるだろうか?」

「カールトンセンターかい?」

偽「よく知らないけど、見れるならイエス!」

ヨハネスブルクのポンテタワーといえば、

アパルトヘイト時代に建てられた高層マンション。

だが、治安の悪化とともに放棄され、今やギャングなどが住むと言われ、

旅行者の間では「リアルスパルタンXの塔」とも呼ばれている。
↑実際は再開発もされていると言うが
   本当のところを知る人はいないんじゃないか?

さて、我輩は世間的に会社の課長職でもあり、

別に怖いもの見たさに足元まで行きたいとは思わない。

しかし、世界を股にかける旅人の端くれとして、

ヨハネスブルクに来て、ポンテタワーを見ないなんて残念だと思ったわけだ。

ハイウェイを下りて、いかにも中心部という感じのストリートを行く。

ここでも丁寧に、これは鉱山の管理事務所だとか

色々と教えてくれるのはありがたい。

「ヨハネスの中心街では襲われる恐れがあるので、赤信号でも止まらない」

という都市伝説とは違って、みんなきちんと赤信号は止まる。

もっとも、夜遅くの時間帯は知らんがね。

見た目はマンハッタンのようだ。

車はくるくると走り、地下駐車場へ。

案内板にカールトンセンターとある。

ここか。

っていうか、結構危ないトコじゃね?

エレベーターの近くに停める。

小さな町歩き用のカバンとカメラバッグをどうしたものかと思い、

とりあえず出したら、カメラバッグはいらないなら置いていけ、とのこと。

そりゃあそうだよね。

そう言って欲しかったの。

案内板によると、ここには展望台があるらしい。

その名もトップオブアフリカ。

これが有名な展望台か。

エレベーターは展望台まで直通しておらず、ショッピングフロアで乗り換える。

まだ9:00過ぎだというのに、結構人がいる。

世界のもあるし、普通のショッピングセンターに見えても、

全く油断できない。

どうやら乗り換えるエレベーターが見つからないらしく、ぐるりとショッピングセンターを歩く。

こ・・・怖いんスけど。

2階の奥にあった別のエレベーターで上へ。

ようやく一息。

偽「ここはチョーアブネーって読んだことがあるんだ」

「ハハハ」

否定してくれ怖いから。

頂上からは、ヨハネスブルクの街が一望できる。

他にも数人観光客がいる。

もちろん全員ガイド付き。

あれは何だこれは何だと教えてくれたが、

マンデラスクウェアと、メインストリートのコミッショナーストリート以外は忘れてしまった。

そしてあれがポンテタワーだ。

逆光で見にくいとはいえ、ヨハネスを見下ろすあの佇まいには、

なかなかの威圧感がある。

夜景の写真が飾ってあるけども、

これを見に来るにはなかなか勇気がいりそうだ。

↑閉館時間がすごく早いので、今の夜景鑑賞は現実的に無理かもしれん。

見終わったら下りる。

やはり少々緊張しながら地下駐車場へ。

いやー、緊張したわ。

駐車場を出て、メインストリートを走っていく。

偽「ここはショッピングエリアなの?」

「そうだよ。日曜日は店が閉まってるけどね」

↑日曜日でガラガラ。こういう日に繰り出すと危険。

偽「でもとても危ないエリアなんでしょ?」

「ここは危なくないよ。ごらん、カメラがあるだろう?
 もしかっぱらいなどがあったら、2分以内にポリスが駆け付けるんだ。
 ヨハネスブルクで危ないのは、ヒルブロウとイェオビルだね。
 あそこは危ない」

そうなのか。

来てみないと分からないものだな。

「唯一の問題は、日曜日はほとんどの店が閉まってて、
   人が少ないってことかな」

偽「みんなはいつ買い物をするの?」

「土曜日。土曜日はこの辺は人だらけだよ」

偽「日曜日は何をしてるの?」

「多くは教会に行くのさ。
 あとショッピングモールは日曜日にも空いてるから、
 みんなはそこで買い物をするね」

ふーん。

緊張の中心街を離れ、次はソウェトへ。

少し立ち寄ってお金を渡したいというので、

可愛らしい建物が並ぶ 住宅街に入っていく。

「ここはハイクラスの人が住むソウェト」

え、そうなの?

ソウェトといったらスラムかと思っていたよ。

何のための金なのかはよく分からんかった。

で、すぐそばには2010年ワールドカップの開会式と決勝戦が行われたスタジアムが。

元々半分まで造ってあったスタジアムがあったけど、

全部ぶっ壊して建てたそうな。

スタジアムの地下を通り抜けると近道だったようだけど、

今日は試合があって通り抜けができないようだ。

少し行くと、「Welcome to Soweto」の看板が。

↑道路沿いにはブブゼラのモニュメントが並ぶ。

「Sowetoとは、ヨハネスブルクのSouth West Townshipという意味なんだ」

タウンシップというのは、

名著地球の歩き方南アフリカ編によると、「人工的な町」という意味らしい。

ソウェト、とはひとつの町ではなく、政府が指定した黒人居住区エリアを言い、

とにかく広大なエリアの中に、ハイクラス、ミドルクラス、ロークラスのエリアがある。

アパルトヘイトが廃止されて久しく、

当時のことは当然知るよしもないが、

少なくとも今のソウェトとは、極貧な人々だけが住むスラムというわけではないのだな。

「ここはミドルクラスの人が住む。
 
 あそこはホステルと呼ばれるロークラスの人が住む所で、
 
 彼らは主に鉱山で働いている。
 下水もなく、水はみんな共用の井戸にバケツを持ってきたりして使うんだ。
 ほら、彼らも今そうしているだろ?」

ふむ。

と、おもむろにガイドは車の窓を開けて言った。

「撮って良いよ。君は好きな時に好きな物を撮って良いんだ。
 言ってくれたら止まるから」

どうやらそれまでバチバチ撮っていたのに、

住宅街に入ったとたんに撮らなくなったので、気を利かせてくれたようだ。

しかし・・・。

撮ったけども、これが我輩の撮りたい本当の被写体なのかというとそうではないし、

何だか記念にするために撮るには何とも・・・と思ったのが本音だ。

これは皆さんが想像するスラム。

窓を開けた途端、すえた臭いが鼻につく。

ここに住む人は仕事をしていない人が大半で、

道路で車のガラスを洗って小銭を稼いだりしているらしい。

もっとも、外国から流れてきた人が多いということだ。

そこからさらに走り、ネルソン・マンデラが住んでいたという家を見学。

ガイドの女性が付いてくれたのだが、

何だか覚えたマンデラ人生の年表をズバーッと言いまくった感じで、

はっきりいって頭には残らなかった。
↑こじんまりとした家だ。

この辺りはB&Bもあって、宿泊もできるらしい。

続いて、6/16広場。

アフリカーンス(オランダ語の派生語)の教育に反発した学生が蜂起。

ソウェトでも暴動が起こった。

それに対し、ポリスが発砲。

その時に亡くなった少年を忘れないようにと作られた広場だそうだ。

今でも記念日には多くの人が集まるということだ。

脇にはミュージアムがあり、中を見学。

例によって展示内容は読めなくて分からないのであるが、

映像を見てるだけでも悲しい歴史は伝わってきた。

偽「なぜ学生たちはアフリカーンスを勉強したくなかったの?」

「アフリカーンスはとても難しく、南アフリカとナミビアでしか使われていない。
 一生懸命勉強しても、将来使えないからだ」

それは日本の古文漢文と同じだな・・・。

あれは無駄だと言って学生が蜂起したら、あの先生は職を失うのか・・・とふと思った。

まぁいいや。

午前中の観光はこれで終了。

午後は、ライオン&ライノ自然保護区へ行く。

旅行社のオプショナルツアーには載ってなかったけど、

行きたいと言ったらアレンジしてくれたのだ。

感謝感謝。

少々高くても、昼からホテルで寝てるぐらいなら行くでしょ。

ライオン&ライノ自然保護区は、ヨハネスブルク市街地から約1時間。

そんな近くに自然保護区があるってのが驚きだな。

ここの売りは、ホワイトライオンの保護区だってこと。

写真雑誌だったと思うが、ここのホワイトライオンの写真を見たことがあって、

南アフリカに行くなら絶対に寄ろうと決めていたのだ。

私営の自然保護区で、広大な敷地で動物が生きている。

規模のチョーデカイサファリパークみたいなもんか。

ダチョウ等には目もくれず、ガイドは突き進む。

「ライオンのフィード時間だ。先に見に行こう」

ん、フィード?

餌付けしてんの?

さて、これがライオン。

おー、食ってまんな~。

・・・あれ、ここって何、餌をやってるの?

ライオンとかは広いとはいえ柵の中だし、これはちょっと予定外やな~。

普通に放し飼いかと思ったわ。

これじゃあホントにサファリパークじゃねぇか。

予定外!

チキショウめ。

しかも、ホワイトライオンのエリアはクローズ。

ガイドも何故かは分からんと言う。

だったら来た意味すら無いじゃねぇか!

こちとらアパルトヘイトミュージアムを蹴って来てんだぞオイ!!

(# ゚Д゚) くわっ

ライオンを触りたいか?と言われ、子供ライオンにタッチした程度で、

ホントにただの動物園訪問になっちまった。

ナイロビで行った動物園に近い失敗だな。

結局、ホワイトライオンは見れず、サイもいなかった。

フムムー・・・。

残念極まる。

偽「ホワイトライオンが見たかったよ。
 そのためにここに来たのに」

「何、そうだったのか!
 んー、次にヨハネスブルクに来るのは?帰りはトランジットのみ?
 オー、シット!
 よし、君、金は持ってるか?
 自分で払うなら、もうひとつライオンパークに寄ってあげよう。
 あそこでもホワイトライオンは見れる」

言ってみるもんだな!

30分ほど走ってライオンパークへ。

やはりここもライオンは柵の中で飼われている。

しかし、もはや文句は言ってられない。

ホワイトライオンは寝ていたが、何枚かは撮れた。

↑瞳が青いのがホワイトライオンの特徴。
   アルビノのようにたまたま白いのではなく、白い種なのだ。

見れない撮れないよりはマシだわ。

ガイドに感謝してホテルへ戻る。

偽「もしディナーを食べるなら、どこなら安全?」

「ネルソン・マンデラスクウェアというショッピングモールがある。
 ただ、絶対に歩いて行かないように。タクシーで行くんだ」

ふむ。

ホテルの中にもレストランはある。

しかし、行ってみたい。

ということで、タクシーで行く。

片道80ランド。

約800円。

5分もかからないのに、ずいぶん吹っ掛けていやがるな。

帰りも迎えに来るように言い、まずはショッピングモールを歩く。

中は日本のイオンと変わらない。

立派なもんだ。

で、ディナーは、スクウェアの中にあるチョッパーアンドビーフ。

ビールとサーロインステーキを食ったら腹がはち切れそうになった。

美味かったけど、最後の最後にステーキソースが出てきたのにはガッカリした。

最初から出してくれれば、もっと美味かったろうに。

とにかく腹一杯になって、南アフリカ最初の夜は終わったのだった。

Zzz・・・。

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第三話 ヴィックフォールズは美しかった!!  第四話 ディスイズ、チョベ!

第五話 喜望峰へ向かえ!  第六話 クジラかワインか!?

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