-1 Mayo

目が覚め、シャワーを浴びようと思ったら、温水が出ない。

まさか昨日読んでからサインしろと言われた注意書きにこのことが・・・。

仕方なく体を拭いて荷仕度。

朝の景色も美しいのう。

ニイチャンにはきちんと言葉が通じていたようで、タクシードライバーが待っていた。

バスのチケットを見せたら行き場所が分かったらしい。

グァナファトにはセントラルとノルトのバスターミナルがあるようなので要注意。

8:00発のメキシコシティノルトバスターミナル行き。

グァナファトは観光地のくせに便が悪く、

メキシコシティへの直通は、これ以外見つけられなかった。
↑基本はレオンという町で乗り換えが必要。

非常に高級感漂うバスで、朝食用のパンとジュースをくれたので、ありがたく食った。

ようやく腹が落ち着いてきてくれたのでね。

メキシコシティには13:05着と、これまた長い道のりだ。

何度も寝たり起きたりを繰り返し、時間ぴったりにメキシコシティへ到着。

さて、一旦ホテルへ荷物を預けに行くつもりでいたが、

バスターミナル内に荷物預かりがある。

これは使わない手はない。

最初見つけた店に預けようとしたら、

よく分からないことを言うので、向かいのお店に預けた。
↑3つほど預けられる店がある。

1回30ペソスと良心的である。

さ、ではチケット売り場へと急ぐ。

メキシコシティ観光は今日の半日しかない。

ずいぶん迷ったが、テオティワカン遺跡のみと割り切った。

国立美術館も行きたくて相当迷ったが、

写真として使える方をチョイスしたのだ。

一切割引のない往復切符を買い、13:15のバスに飛び乗る!

ふぅっ!効率的だぜ!

テオティワカンまでは1時間。

ゲート3で降りて、チケット購入。

まずは近くのジャガー神殿等を見る。

ふむ・・・。

続いて、月の神殿。

急な階段を上がると、死者の道がまっすぐに伸び、

左手に大きな太陽の神殿が見える。

ほほーう。

これはなかなかやな。

少々侮っていたよ。

振り返るとこんな感じ。

しばらく景色を堪能し、今度は太陽の神殿に上る。

月の神殿がミニチュアのように見える。

思ったよりも壮大な遺跡なんだが・・・、

見晴らしが良すぎて、遺跡感が足らんな。

こうした方が良い感じ?

ふむー、何とか太陽と月の神殿を一緒に撮りたいな。

単独ではイマイチ良さが伝わらん気がする。

少し歩いて美術館を見学。

いつもは大して興味の湧かない美術館ではあるが、

ここの展示物は何となく惹かれるところがあって、ちゃんと見学した。


↑奥には太陽の神殿。ミニチュアを見ると、この遺跡のデカさが分かる?

その後ウロウロしていると、

ゲート1の近くにケツアルコアトルの神殿があり、

そこから狙えるのではないかと目星をつけた。

てくてくと行ってみますと・・・。

ここやー!

これが太陽の神殿と月の神殿です。

いやー、まるで、ロマンシング・サガでゲッコ。

重機もなしにこんなもんを造るんだから、人間というのは凄いもんだよ。

思った以上に満足し、ゲート1からバスに乗る。

最初停まっていたのは混んでいたので、

1台待ったのに、やはり立つハメになった。

もっとも最後は座れて、寝てるところを起こされたのだがね。

荷物を受け取り、タクシーでホテルへ。

すでに19:00前。

少し気になる被写体があるので、それを撮ってから、

荷物を置いてルチャ・リブレというプロレスを見に行くことにする。

メキシコシティの夜景にはあまり興味が湧かなくてね。

で、気になる被写体ってのはこちらのベジャス・アルテス宮殿。

劇場らしい。

なかなか綺麗な造りやね。

さ、あとはカメラとかを置いてルチャ・リブレ。
↑一眼レフの持ち込みはできないらしい。

20:30開幕で帰りが遅くなるのが気にかかるので、札束やクレジットカードを出し、

財布の中身を相当に軽くして、地球の歩き方とiPhoneのみを鞄に入れて持っていく。

ルチャ・リブレが行われるアレナ・メヒコは、ホテルから歩ける距離だった。

ただ、歩きながら、帰りは歩きたくないなと思い、

メトロブスというトロリーバスのチケットを買った。
↑カード式になっている。

観戦チケットは200ペソス

どのへんの場所かは全然分からなかったので、適当に買った。

入る前に、土産物にマスクの小物入れを7つ購入。

課員への土産はこれだな。

さて、荷物検査を受けて入場。

まるでかつての藤井寺球場に来たみたいで、懐かしい感じがある。

席はメチャンコ正面だった。

我輩、正直プロレスに興味がなくてよく分かんないのだけども、

何だか盛り上がって終わった3時間であった。

さて、帰りはメトロブスに乗ろうと思っていたのに、すでに運行終了か?

しかし周りの人も歩いて帰るようなので、

流れに乗って歩いていると、結局独りになってしまった。

まー、ホテルも近いし仕方ない。

というか、流しのタクシーに乗る方が怖い。
↑メキシコシティでは、タクシー強盗がいるという。

空港にいるような広告のついたタクシーではなく、

無地の白いタクシーが流しているので、少々乗りづらい。

実はスタジアムの周りにタクシーがいるにはいたのだが、

あまりに声をかけてくるので、逆に警戒して乗れなかったのだ。

とりあえず歩くしかない。

ふとズボンのポケットに手を入れると、左手の先にVSの鍵が当たった。

これはホテルに置いてくるべきだったな・・・と、なぜあの時ふと思ったのかは謎だ。

で、交差点を渡るときに悲劇が起こった。

「チーノ」

はいはい、チーノじゃありませんよ、と無視していたら

「ちいのぅ」

いきなり首に腕がかかって、ヘッドロックしてきた。

明らかにねじ伏せにきている。

え、これはヤバイんじゃないの?

慌てて振り払い、振り向くと、

中学生ぐらいの赤と白の服を着たガキがファイティングポーズをとっていた。

!?と思った瞬間、

ヤツの左拳が右目に直撃。

メガネが飛んで、我輩は終わった。

亀のようになりうずくまると、右から蹴ってくるヤツもいる。

顔を蹴られて痛いが、不思議と頭は冷静だった。

荷物は置いてきた!盗られても問題はない!
       ・・・でもこれ親には報告したくねぇなぁ。

とりあえず顔面をかばってうずくまることしばらく、

すると、道路の方から、パトカーらしきサイレンが短く鳴った。

これで助かったか!?

右側に立っているらしいヤツがゴニョゴニョ何かを言った。

我輩には「そろそろ逃げた方が良いんじゃないか」という感じに聞こえた。

そうしたら、最初に殴ってきたヤツが何か言った。

我輩には「まだ何か持ってるぜ」というように聞こえた。

どうやらパトカーが近づく気配はない。
↑メガネ越しに殴られたので、「つる」が鼻にぶち当たり、痛くて目が明けられなかった。

「ちいのう」

胸ぐらを掴まれ、引き起こされた時、

大人が4人やって来て、ヤツらは逃げていった。

土産と地球の歩き方が入ったカバン、

ズボンの左のポケットに入っていたカメラのリモコン、そして腕時計を盗られて終わった。
↑正直腕時計はいつの間に盗られたのかすら気付かなかった。

ケツのポケットに入ってた財布とケータイが無事だったこと、

なによりメガネが割れてなかったことが救いか・・・。

「とりあえず大丈夫なのか?」

偽「オーケー、サンキュー」

目の前はコンビニだったのか。

店の入口から5、6人がこちらを見ていた。

振り払った時に逃げれば良かった・・・が、そんなことを考える間もなかったわ。

停まってくれたタクシーに乗せてもらっても、ホテルの場所が上手く伝えられず、

クルクルと走ってもらってしまった。

もう目と鼻の先だったのに。

ホテルでバンソーコーのようなテープをもらって貼り、

隣のセブンイレブンでジュースを買ってきて、ようやく一息ついた。

明らかに我輩の油断であった。

自分だけは何となく大丈夫だと。

あんな時間にフラフラと歩いていた方が悪い。

ホテルで往復のタクシーを手配して行くべきだったのだ。

とりあえず保険会社に事故の発生報告をメールし、シャワーを浴びる。

iPhoneは良いとして、時計は痛いなー。

もう売ってないけど保険はどうやってきくんだろうか。

まぁ・・・良いか。

たまたま出発前に本棚の整理のため、

古い地球の歩き方をPDFファイルにしてケータイに入れてきたこと、

そのケータイは盗られなかったこと、

カメラを置いていったこと、

何よりなぜか財布は盗られなかったことは、本当に幸いだった。

最低限の授業料で済んだと思うしかない。

にしても、この旅は一難去ってまた一難だ。

旅に来て初めて、帰りたくなった。

もうウンザリ気味である。

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第一話 メキシコ最速インの法則  第二話 バスの旅

第三話 目当ての町  第四話 ついに出遭った悲劇・・・。

第五話 50ヶ国目の入国  第六話 試練は続く

第七話 我に七難八苦を与えないで下さい

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