9 Aug -

翌朝、6:00過ぎに起きた。

8:00に到着と言っていたから、まだまだだ。

髭だけ剃って二度寝。

途中遅れたらしく、ギザ駅に着いたのは9:00だった。

しっかり寝れたが、だんだん疲れてきたのか、

トランクを持っての階段の上り下りがツライ。

ガイドはどんどん歩いて行ってしまうので、写真を撮ったりしていると、

置いていかれてしまう。

ま、良いけど。

その代わり、チップが減額されていくだけだ。

チップ無くなっちゃうよ?

今日は実質的には観光最終日。

ギザ近辺のピラミッドを回ることになっている。

まずは、サッカラーの屈折ピラミッド。

なるほど屈折している

まるで我輩の性根のように。

作り始めた時の傾斜がキツ過ぎて、途中から傾斜を緩めたのだそうな。

そして、すぐ近くにはキレイな三角錐の形をしたピラミッド。

ここは中に入ることができる。

どんなかな~と入ってみたら、空洞があるだけ。

壁画も何もない。

しかも穴が小さいので、中腰で昇り降り。

キツイ割には何もないんだな、ピラミッドって。

かなりガッカリした。

ところで、ピラミッドって、奴隷が作ったんじゃなくて、

農閑期に農民が集められて造ったんだってさ。

いわゆる公共事業のハコモノだったらしい。

しかしまぁこんなデカイのをよくも造ったね。

このピラミッドは、何千年も前からここにあるんだよな?

着いた初日にも書いたけど、昔の人が見ていたピラミッドを、今、同じように見ているわけだ。

何ともなぁ・・・。

続いて、メンフィスの博物館。

でけぇラムセスの像が横たわっている。

ナニナニ、写真を撮れって?


パチリ。

・・・ナニよ。

金払えって?

オレ様が撮ってやったんだぞ!

お前こそ金を払え!

超スルーした。

他には、キレイな形のスフィンクスなどがあった。

お次は階段型ピラミッド。

あちこち修理中のようだ

ただ、元々中に入るような空洞は無いとのこと。

あまり惹かれるモノがなかったので、早々に退散。

「では、カーペット屋さんに寄ります」

ちっ。

中に入り、子供がカーペット作りの勉強をしているのを見せられた後、ショップへ。

当然買うわけがないので、紅茶だけいただいて一瞬で退出。

時間の無駄だ。

続いてギザのピラミッド群へ行く。

最後の最後に大物登場かと思いきや、思いのほかピンとくるモノがない。

クフ王のピラミッドにも入場したが、棺がある部屋までの通路があるだけ。

通路もただの通路で、きらびやかな装飾があるでもなく、

ルクソールやアブ・シンベルを楽しんできた身には、かなり物足りない。

フムー・・・。

クフ、カフラー、メンカウラーの3つのピラミッドが見える展望台に連れて行ってくれたが、

何だか間延びしていて画にもならない。

チケットの柄になっているポイントが一番かっこ良く見えると思われる。

3つのピラミッドと、小さな3つのピラミッドが形良く収まっている。

ただ、ラクダに揺られて少し行かないと、そのポイントには行けないようだ。

これは撮っておきたい。

しかし・・・。

少し車を停めさせて、走っていくか・・・。

う~~~~~~~~~~~~~~む・・・。

行ってみたくて悩んだ結果、所詮パクリのアングルにしかならないので却下とした。

こいつは勇気のいる決断であった。

決めた。

我輩のピラミッドの写真は、ホテルの屋上からにしよう。

スフィンクスへ向かう前に、

クイズ不思議発見でおなじみの(最近はおなじみじゃないのか?笑)、

吉村作治先生が組み立てに携わったらしい「太陽の船」の展示を見に行かせてもらう。
↑旅程にはないが、自腹ということでリクエストした。

ガイドをバンに待たせてテクテク行くと、ガキが歩み寄ってきた。

早速かよ。

そして、いらねぇというのに、よく分からんアイテムを押し付けてくる。

何度も突っ返したところ、ガキは自ら袋を開けて中身を取り出し、

アラビアンの帽子だといって被せてきやがった。

殺すぞガキがッ!!

最終的にラマダンのプレゼントだと押し付けに押し付けてくるので、

とりあえず受け取り、来るべき決戦に備えることにする。

ただ、コイツは「自分で」袋を開けるという墓穴を掘っているので、

打ち負かすのは容易であろう。

そしてこのガキが去ると、次のガキがチケット屋の前に立ちはだかった。

我輩がチケット屋に50エジプトパウンドを支払うと、

勝手にチケットを受け取り、「中に入るにはもう50必要だ」 とのこと。

何が50じゃ。

シュパッと奪い取り中に入ると、入口でずーーーっと睨んでいたので、

一瞥をくれて展示室へ入った。

少し歩いただけでコレですか。

どうしようもないな。

太陽の船は思ったよりデカくて、広角レンズを置いてきたことを後悔。

組み立てに何年もかかったというが、納得だ。

見に来て良かった。

と、ふと外を見ると、さっきの帽子のガキとウソつき坊主が話をしている。

やはりもう一戦やるのか・・・。

ヤレヤレ。

ずっと探していた考古学博物館のガイドブックを購入し、外に出ると、帽子君がやってきた。

「やぁどうだった?ところで何かくれ」

じゃあ帽子をあげよう!

アラビアンの帽子だよ!

どうだ嬉しいだろう!

「これはいらない!何かくれ!」

やっと笑顔が消えましたな。

しかし怒ってもムダです。

さぁやるかっ!!

ガキには灸を据えてやる!

偽「くれてやるものは何もない。何もやらん。絶対に」

「No!?何でNo!?この帽子は袋を開けたからもうお前のだ!」

偽「お前が開けたんだろ」

「・・・だ、誰かが開けたんだ!」

と言って、再び袋を開ける少年。

あぁ何て詰めの弱い少年。

といっても10代後半だろうけどな。

偽「ホレまたお前が今開けたろ。
  お前が今開けたろッ!!」

と大きい声を出したら万事休したようだ。

「もが~っ!!」

パスッ
↑袋を投げつけてきた音。

踏みつけてやろうかと思ったが、それはそれで付け入る隙を与えるので、

これまた一瞥をくれて歩み去ることにする。

「Go away~ッ」

ハイハイ、サヨウナラ。

こんなことやってる間に勉強しないと、入口で物売りやってるオッサンになるだけだぞ少年。

そんな人生で良いのか君は?

お説教をしてやりたいよ、オジサンは。

それにしても。

ずっと不思議なんだ。

これまで何度も見てきた。

子供が、売れるはずもない色褪せたポストカード片手に、

ワンダラーワンダラーと寄ってくるのを。

観光地の入口で、これは売れないだろうという低クォリティな土産を

店先に並べてだらんとしてるオッサンを。

今のヤツにしてもそうだ。

どうやって生きているんだ?

ああやって旅行者にたかって生きているのか?

それだけで食っていけるのか?

日本にはいなくて、海外の観光地にはいるのはなぜだろう。

貧困か?

発想が違うのか?

悪質なラクダ引きにしてもそうだ。

ああいうのを、金を払わないと中に入れないような観光地に入れるあたり、

観光でメシを食ってる国のやることとは思えない。

自らの首を締めるだけだと思うんだがなぁ・・・。

ま、良いや。

再びバンに乗り、最後にスフィンクス。

来るのが遅くて、顔が逆光になっちまった。

ただ、あまりの人の多さと、そこまで画になる姿でもないので、

俯瞰で何枚かだけ撮ってオシマイ。

前足が無駄に長いのはなぜだ?

思った以上に格好悪い。

あまりにも適当に撮ってしまったので、帰ってきて見てみたら、

ピラミッドを背負っていた

さすがにもう少し考えて撮ってあげるべきだったかな?

さてと。

「じゃあ最後にパピルスの店に行きます」

偽「どうせ買わないんだから1分だけね」

「説明があるからダメです」

ちっ。

パピルスは、さとうきびのような長い植物の茎を薄く伸ばし、縦横に重ねた後、

重さをかけて紙にする、という工程の説明を受けた。

パピルスがちゃんとしたものか、バナナの皮かを見分ける方法は、

すかした時に、縦横に重ねた跡が、格子柄に見えるかどうか、だそうな。

参考にしてみて下さい。

ソッコーで店を出るつもりでサクッと店内を見て歩くと、1枚の絵が目に入った。

むしろ、それだけが浮き上がって見えた、といっても良い。

それは、考古学博物館のトゥトアンクアムンの展示室で見た、

トゥトアンクアムンと王妃のハネムーンの柄。

こんな彫刻が掘れるのかと大変感動したわけだが、

構図的にも物凄く惹かれていたのだ。

・・・べ、別に羨ましいとか言ってるんじゃないぞ!!

む、200エジプトパウンド。
↑6で割ると米ドル。

両替した通貨が余っているから買っても良いのだが、店員をからかうことにしよう。

偽「150にして」

「社長は値段に厳しいから・・・」

偽「じゃあ社長呼んできてよ」

うわー最低な客です。

最低ですNE!

偽「この金利でも良いですかね?」

客「もっと安くならないの?」

偽「いやちょっとねぇ・・・」

客「じゃあ支店長にお願いして良い?」

まだ言われたことはないけど、こんなん言われたらガックリくるぜ。

まぁ直接お願いしてもらっても良いんだけどさ・・・。

偽「150なら買うよ」

「160、160でお願い」

じゃあそれで良いか。

まずまずなお買い物であった。

初日と同じく、スフィンクスの向かいにあるホテルに着いたのは15:30少し前。

同じ部屋にしてもらおうと思ったら、今日は他に客がいるらしい。

ピラミッドエリアは16:00で閉館。

他へ行くにも、日没前には写真が撮りたいので時間がない。

というわけで、しばらく部屋で休んでから、テラスで写真を撮ることに。


↑HDRで。ここからのピラミッドが、「我輩の」ピラミッドの写真。

バチバチやっていると、ボストンからの親子連れがやってきて、

しばらく我輩のプアイングリッシュでトーク。

Facebookで写真を送ってくれとのこと。

そりゃ喜んで。

日暮れまで存分に撮り倒す。

↑これはね、感動しますよ。何せ何千年変わらない夕日なのだから。


↑沈んだ。我ながら美しいね。

その他の客とエジプト人の客引きの質の悪さで盛り上がった後、

音と光のショーまでの間にケンタッキーフライドチキンへ行くと、

先ほどの親子連れもいたので、一緒に帰って食った。

英語はある程度聞ける。

聞けるのに、話せない。

話がしたいのに話せない。

いや、話しているのだけど、キチンと伝わってない気がする。

英会話学校に行こうと決めた瞬間であった。

さ、ショーの時間だ。

ピラミッドの音と光のショーは、観覧席用に金を払い込んでいたのだが、

ホテルのテラスからの方がよく見えそうなので、キャンセルしたのだ。

で、そのショー。

ショボイと思う。

イシス神殿やカルナック神殿のように特に見た目が良いわけでもなく、

ただピラミッドが光るだけの印象だ。

ホテルの上から見たのは正解だったと思うけどね。

さ、明日は最後の朝だ。

早起きしないといけないので、メアドを交換したら早々に休むことにしましょう。

Zzz・・・

















 10 Aug -

3:30少し前に起床。

しばらくすると、ホテルの前にあるスピーカーから、アザーンが流れた。

「アッラーフアクバルッ」
(アラーは偉大なり)

こうしてまた1日が明けていくというのも、割と味があるのである。

今日の日の出は5:19なので、1時間ほど前からテラスで待機。

空が群青からキレイに明けていくまで、ぼけーっと見ておった。


↑絶景のためなら何時間でも待てるぜ。


↑我が部屋。ピラミッドとスフィンクスが見える。しかしドミトリーなので格安。ココはオススメ。


↑8:00の開場に合わせて、ピラミッドに雪崩れ込んで行く物売り・・・
                      ならまだマシだが、ドロボウ坊主たち。

ヤレヤレ。

8:00に来るハズだったお迎えは、8:35過ぎにやってきた。

今日は、バザールに寄ってから空港に行くという予定を

コプト教会(エジプトのキリスト教教会)と、

地球の歩き方に書いてある「死者の町」に寄って空港に行くルートに変えてもらったのだ。

もちろん別料金で、40ドル。

なので、遅刻などとは万死に値することを知ってもらいたい。

当然チップは減額である。

ただ、あまりに我輩が怒っているのを見てガイドがヘコんでしまったので、

大人な対応に切り替える。

チップ減額以上にやり過ぎてはお互いにとってマイナスでしかないからな。

いくつかある世界遺産に指定されているコプト教会の中で、我輩が選んだのは、

以前の旅行記にも何回か登場したことがある、

竜退治のゲオルギウスを祀る、聖ジョージ(George)教会。

聖堂が工事中なのは予定外だったが、とりあえずコプト教会に立ち寄れたので良しとしよう。

で、最後に立ち寄るのは死者の町。

何やら物騒な名前だ。

地球の歩き方曰く、「通りの歩道橋から見る眺めは、他では見られない」とある。

そんなん書かれたら行きたいがな。

ムハンマド・アリ・モスクから少し走ると、件の通りに差し掛かった。

「はい、じゃあ車の中からなら撮って良いですYO」

いや、そこの歩道橋から見たいのだよ。

それは譲れない。

「・・・歩道橋に行くのは良いけど、絶対町には入らないで。
 写真を撮るなら、サッと撮って帰ってきて」

ヒョウキンなガイドの目が笑っていないので、変だなと。

で、テクテクと歩いていき、

歩道橋までの間にある路地を覗いてみると、確かに少し変な感じだ。

この一画だけ壁に囲まれているし、

何かこう、路地に入るのを、躊躇われる空気がある。

海外旅行を何度も繰り返してくると、こういう能力が研ぎ澄まされていくのだ。

歩道橋からの眺めは、別に普通の眺めだった。

ただ、歩道橋へ上がる時にすれ違った男が、

ずっと我輩を見ていたのが気になったぐらい。

さて、その死者の町の実態とは、要はスラムだ。

お墓の中に人が住んでいるのだよ。

ただ、お墓といっても、墓石や十字架が山と並んでいるわけではないから、

言われないと分からない。

まるで家のように立派なお墓。

だから人が住むようになったのか。

まぁどうあれ、気軽に観光する場所ではない、かもしれない。

少なくとも、地球の歩き方に載せるような所なのかどうかは疑問だな。

どういう所なのか、キッチリ書かないと、トラブルになる危険がある所なのは間違いない。

なぜなら、ただでさえスラムなのに、ムスリムの人は写真が大嫌い。

墓の写真なんてもってのほか。

来たい人は、それを理解の上で来るとよろしかろう。

13:20の便に合わせ、3時間前に空港に到着。


↑今回のガイド。ドライバー・ブルースウィルスと、たまにいい加減だが陽気なガイド・元ブラジル代表FWアドリアーノ。

若干心配だったが、まともなツアー会社だったわい。

また、楽チン過ぎて、あんまり冒険な感じがしなかったのはちょっと・・・かな。

ま、それは贅沢か。

無事に飛行機も時間通りに飛んで、きちんと帰ってきた。

↑UAEのどこか。この後、ドバイのビルや湾岸の夜景を楽しんだが、写真は撮れなかった。

こうして偽スナフキン40ヶ国目訪問のメモリアル旅行は無事終わったのであった。

果たして次の行き先は。

それは我輩のみぞ知るのである。

<完>

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第一話 モッタイナイ1日目  第二話 ルクソールへ

第三話 気球の上で、偽スナフキンは考えた  第四話 今回の旅のメイン

第五話 ピラミッドは予定外に・・・

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