5 Mayo-

5:55起床。

眠い・・・。

今日はサンティアゴ・デ・コンポステラまで飛行機で移動し、観光する。

サンティアゴ・デ・コンポステラというのは、

エルサレム、ヴァチカンと並んでキリスト教世界三大聖地のひとつ。

巡礼者がフランスなどから何百キロ何千キロも歩いてここを目指したという

本気の巡礼地なのだ。

飛行機とは軟弱な手段だが、

一気に徳が高まってしまうに違いない。

まずは空港バスのバス停を目視にて確認に行かねば。

自分の目で確認しなければ安心出来ない。

これが海外においては重要であることは、既に各国で十分に学ばせていただいた。

とりあえず着替えて、まだ薄暗い中を駅前のバス停まで歩く。

あったあった。

日本のようなバス停を示すポールが立ち並ぶ中に、空港行きのものがあった。

しかし・・・ここで安心して帰るようでは三流。

バスが来るまで待って二流。

乗って目的地まで行けば一流の旅人だ。

我輩は二流で十分なので、来るまで待つ。

幸いバスはすぐにやってきた。

青地に黄色の文字で「Aerobus」と書かれている。

これなら間違いはあるまい。

10:25発の飛行機だから、7:41発に乗ることにする。

7:20にチェックアウトすれば良かろう。

安全だとは思うが、あまり長い時間バス停で待ちたくはないから

絶妙のタイミングで乗り込みを図りたい。

ひと安心してホテルに戻り、最後の片付け。

そしてシャワーを浴び、7:00になると同時にレストランへ。

昨日同様、ガッツリ食う。

やはり美味い。

特にホットミルクが美味過ぎだ。

ガブガブ飲みまくった。

とにかくがっついて、7:20予定どおりチェックアウト・・・のハズが意外にてこずり、

ホテルを出たのは7:30過ぎだった。

バス停に行くと、良いタイミングでバスが来た。

さっさと乗り込み、席を確保。

バスはスルスルと走り出した。

いやぁ市内から空港までをバスで移動出来るというのは、

資金的に非常に大きい。

空港までは3.75ユーロ。

タクシーの4分の1ぐらいの出費で済むからな。

我ながら英断であった。

空港のターミナルBまでは40分ぐらいだった。

IB1570便サンティアゴ・デ・コンポステラ行きは10:25発だから、

すぐにチェックイン出来るハズ。

そういえば今日の飛行機、当初は10:55発だったのだ。

時刻が変更になっても何の連絡もないとは・・・。

イベリア航空、油断ならない相手だ。

気を引き締めて空港に入ると、

すぐにイベリア航空のチェックインカウンターが見えた。

思わず予約時にプリントアウトした紙をマジマジと眺めてしまった。

ちゃんと乗れるんだよな?

お前さえカウンターに持って行けば、
乗れるんだよな!?

ウンと言ってくれオイ!!

かなりドキドキしながら並ぶ。

大体そうなんだが、こういう時、前の人は時間が掛かる。

はよせいよ・・・。

かなり待って、我輩の順番になった。

「オラ」

偽「Hello...」

紙とパスポートを渡す。

何も言うな・・・何も言わずに搭乗券をよこせ・・・。

「荷物はひとつ?」

偽「あ・・・あ、あぁうんうん」

「自分で詰めたよね?」

偽「うんうん。あ、窓側が良い」

「オッケイ」

・・・ドキドキ。

「どうぞ」

ヨッシャ!!

無事乗れるでマジで!!

良かったぁ・・・。

これでサンティアゴ・デ・コンポステラまでは安心だ。

と思ったら脱力感で一気に気が緩んでいった。

バルセロナ最後の買い物をしようと思い、眠い体を引きずって歩く。

まだ靴に未練のある我輩は、靴屋で色々と物色。

悲しいかな、目に止まったのは日本でも売ってるTIMBERLANDだった。

ここで買う必要はないな。

お菓子も機内食が出るだろうから我慢しよう。

結局何も買うこと無く、ゲート10前のベンチに座ったら、

一気に眠りの世界に引きずり込まれた。

しかしここは外国。

眠ったらいかれる。

そう思って頑張ったのだけど、搭乗まで寝たり起きたりをずっと繰り返した。

座席は12A。

バッチリ窓側だ。

たいして期待をせずに機内を進むと、これまたバッチリ羽根の上だった。

しかもまたしてもど真ん中。

もう何ていうか、青春ど真ん中である。

もはやたいして落胆もせず、ウトウトと眠りに落ちた。

それからどれぐらい経ったろうか、

乗客の「エ~ッ」 っていう声で目が覚めた。

何だ。

何が起こっているんだ。

えぇーい完璧な作戦とはならんとは!と言ったかどうかは定かではないが、

これは何事か?

みんな明らかに困った顔をしているぞ。

後ろの席の人に偽「何があったの?」と聞いても首を振るばかり。

チィィッ

英語が通じないのが
こんな場面でぇぇっ!?

ぬぅ~・・・一体何なんだ。

ストか?

天候悪化による着陸地の変更か??

サッパリ分からん。

マジで進退極まりながらも、眠気も究極にピーク。

誰も降りようとはしてないから、飛ぶことは飛ぶんだろう・・・。

もはや考える気力さえない我輩は、そう思いながらウトウトしていた。

しばらくして、飛行機が動き出して目が覚めた。

時刻は10:55。

変更前の出発時刻だ。

結局11:09離陸。

どこへ行くともよく分からないIB1570便は、バルセロナの空に飛び立った。

行かなかったオリンピックスタジアムが見える。

通信塔が実に変わったデザインだ。

アディオスバルセロナ!!

すっげ~素敵な街だったよ!

次はサグラダ・ファミリアが完成したらな!!

天候は微妙に曇り。

視界いっぱいに広がる羽根の脇から、雲が見える。

果たしてこの雲の下はどこなんだ。

ちゃんとサンティアゴ・デ・コンポステラに向かっているのだろうか。

不安は尽きないし、緊迫感から喉が渇いてきた。

しばらくして、ワゴンが来た。

よっ待ってました!

さっそくメニューらしきものを受け取る。

あれ・・・値段書いてますけど。

あれーっ!?

もしや車内販売スかコレ!?

やむなくコーラを購入。

2.5ユーロ。

高い・・・。(T_T)

料金が安いだけあって、サービスは良くなかった。

しみじみコーラを飲んでいたら、アナウンスが入った。

「ペラペラペラペラペラリーノ、サンティアゴペラリーノ」

どうやらちゃんとサンティアゴ・デ・コンポステラに向かってはいるようだ。

徐々に高度が下がり、12:33着陸。

予定より30分押している。

早く観光し始めなければ。

荷物を受け取り空港を出る。

サンティアゴ・デ・コンポステラの街へはバスが走っているハズ。

目の前には3台のバスが停まっている。

しかしどれも観光バスっぽい。

そういえばどんなバスに乗れば良いのかも分からない。

運ちゃんらしき男に聞いてみる。

偽「街へ行くバスなの?」

「ペラペラペラペラペラリーノペラリーノ」

ダメだ。

まったく分かりゃしない。

困っていると、バスの時刻表らしきモノが視界に入った。

調べてみるが、どのバスが街へ行くかサッパリ分からん。

こいつぁ参った。

目の前のバスがそうかもしれないし、14:00まで来ないバスがそうかもしれない。

っていうか、14:00までなんて待てない。

ここは腹を括ってタクるしかねぇ!
↑空港を出てからここまで約5分

街までいくらか、タクシー乗り場で聞いてみる。

偽「いくら?街まで」

「16ユーロ」

偽「オッケイプリーズ」

こいつが白タクかどうかなんて分かるわけがない。

白タクだった時に考えよう。

タクシーは、かなりのスピードでハイウェイを走る。

車窓にはガリシア地方の牧歌的な景色が広がっていた。

料金のメーターが動いていないのが気になるが、

多分固定料金なんだろうと信じ込むことにする。

20分ほど走ってインターを降りると、いきなり市街地だった。

「着いたぞ。Husa Universalホテルだ」

偽「サンキュー」

料金は本当に16ユーロだった。

さっそくチェックイン。

ついでに、明日の朝は6:30発の飛行機なので、

空港までのタクシーを呼んでもらうことにする。

偽「6:30の飛行機に間に合うように、4:00にタクシーを呼んでもらえます?」

「4:00に呼ぶんじゃなくて、4:00にフロントってことだね?
空港までは15分だから、2時間待つことになるよ?」

偽「承知の上だ」

「オッケイ、無問題」

偽「あぁ、タクシーって夜も空港まで16ユーロなの?」

「ペラペラペラペラ同じペラリーノ」

よし、なら大丈夫だ。

部屋は狭い。

木張りなので、歩くとキュッと鳴いて、非常に趣がある。

さて、早く観光に行くぞ。

このホテルは見ドコロである旧市街にかなり近いハズなんだが・・・。

というのも、タクで来たのでイマイチ現在地が掴めないのだ。

地球の歩き方もここは扱いが小さいので、情報も少ない。

まずは広めの道に沿って歩いてみる。

あ、バーガーキングだ。

バルセロナで「MAXIMUS」というハンバーガーのポスターを見て、

気になっていたのだ。

腹も減ったし、観光前に腹ごしらえといこう。

偽「(ビッグキングセットを指差し)ナンバーワンプリーズ」

「ミディアムとラージともっと大きいのがあるけど?」

偽「ミディアム」

ビッグキングはかつてのダブルバーガーだった。

そしてケチャップは「ケトチャップ」というのが正しいのか?

あまりに分からなくて、女の子も困っていた。

罪深きは和製英語なり。

時間も押しているので、モリモリ食って店を出る。

はて・・・どっちに行ったもんだか・・・と、思いながら道標を見ていると、

「←アラメダ公園」というのがあった。

これなら地球の歩き方に載っている。

まずは自分の位置を把握すべく、アラメダ公園へ向かう。

ここから、今日のメインである大聖堂が見えるハズ。

公園に入って、とりあえず右に歩いていくと、その大聖堂がババァーンと姿を現した。

をぉっ・・・。

思わずビリッときた。

もうちょっと寄ってみましょうか。

すげぇ。
↑しばし眺める鉄仮面。

サンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂。

世界遺産である。

威風堂々とした見てくれだ。

一刻も早くお膝元に参上したいところだけど、楽しみは取っておきたいタチでね。

ゆっくり公園内を散歩。

近くに学校があって、シエスタの時間なのか、ガキどもが遊んでいる。

天気も良いし、何とものどかな時間だ。

今日は太陽王のおかげで快晴であるが、

このガリシア地方はとても雨が多く、公園の木々にも苔が生えている。

それすら趣き深く見えるから旅は不思議である。

ぐるっとひと回りして、いよいよ大聖堂が待つ旧市街へ。

石畳が雰囲気を盛り上げてくれるじゃないの。

路地を5分ほど歩くと、大聖堂正面のオブラドイロ広場に着いた。

でけぇ・・・。

威風堂々というか、何だかオーラを放っているようだぞ。

ファサードのてっぺんには、巡礼者の姿をした聖ヤコブの像がある。

この聖ヤコブというのはキリスト12使徒の一人。

かつてこの地で聖ヤコブの墓が見つかり、ここは聖地となったのだ。

すぐ中に入ってしまうのも何だかもったいない気がしたので、

しばし広場で聖堂を眺め、写真を撮り、雰囲気を味わった。

これが建てられたのは12世紀というから、日本では良い国作ろう鎌倉幕府だ。

スケールが違いすぎるね。

辺りには、巡礼の道を歩いてきたのだろう、リュックを背負っている旅人もチラホラいる。

時間があれば我輩も挑戦してみたいなぁ。

ちなみにサンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路も世界遺産である。

さぁいよいよ中だ。

栄光の門の横にある小さな扉から入る。

中はひんやり涼しく、静かで教会独特の空気に満ちていた。

栄光の門の裏には聖ヤコブの彫られた柱がある。

その柱の真ん中は、何十万何千万という人々が手を当てたため、すり減っている。

そこに手を当て、柱の付け根にある頭の彫刻におでこを当てるのが慣習のようだ。

もっとも、正式には柱の裏側にある頭の彫刻におでこを当てるというのが正しいようだが。

我輩も例にならい、表裏両方の頭におでこを当て、ぶつぶつと祈ってみた。

オレに幸あれ。

オーオーオーアレアレアレー。

大聖堂のあちこちにあるホタテの彫刻は、ヤコブの象徴だそうだ。

人々はかつて、首からホタテ貝を下げてここを目指したらしい。

奥の祭壇にはやはり聖ヤコブが鎮座しており、

その像に抱きつくことで、長い巡礼の旅は終わるわけだ。

その祭壇の地下では、ヤコブの棺を見ることが出来る。

像に触れられるのは16:00かららしいので、しばらくブラブラすることにした。

大聖堂周辺はいかにも古い街並みで、

そこかしこのオープンカフェでは人々が昼のひとときを楽しんでいる。

我輩も是非参戦したいところだが、いかんせんCASHが心許ない。

そしてメニューに書かれているのはスペイン語か?

これではコーラすら飲めん。

さすがに閉口した。

さらにブラブラと土産物屋などを歩く。

ホタテの貝殻を買おうかとも思ったが、パンパンに膨れたリュックを思い出した。

どうせ粉々になるなと思い、小さい木彫りの貝殻を買った。

さらにブラブラブラブラ歩き回っていると16:00になった。

ヤコブ像と熱い抱擁をするため、祭壇に向かう。

既に数人が並んでいた。

やがて通路が開き、我輩はヤコブ像の背中に立った。

雑念を捨て、像に抱きつく。

信者の人々は抱きついてマントにキスをすると本で読んだが、

誰もチューしてなかったのでやめておく。

後ろの僧侶に怒られても困るし。

かつてない尊い経験が出来たぞ。

どくどくゾンビより毒々しいオーラをまとった我輩の身体も、

かなり・・・いや、めっちゃんこ清まった気がする。

これで今日の昼間の目的は完遂した。

後は夜のライトアップを見れば全て完了だ。

聖堂内の博物館などを見て外に出ると、

のんびり屋さんの太陽が、ようやく傾きだしていた。

するとどうですか。

西日を浴びたファサードの美しいこと!

すんばらすぃ天気だ。

太陽王バンザイ!!

オブラドイロ広場には寝っころがって聖堂を眺めている旅人多数。

我輩はやらなかったが、そうしたくなる気持ちは分かる気がした。

旧市街は円形なので、ひと回りしてみることにする。

しかし石畳ってのは足首にくるなぁ。

かなりクッションの良い靴のハズなんだけど・・・。

北側は観光客向けというよりは市民向けの店が軒を連ねていて、

我輩としてはこういう所を歩く方が好きだ。

ぐる~りと一周したらさすがに疲れてきたので、夕食までホテルで休むことにした。

ホテルに帰る前に、新市街もぶらついてみる。

こちらはカジュアルな店があり、いかにも若者向けといった店が多い。

ズンズン歩いていくとスーパーマーケットがあったので、

明日の朝食用お菓子と飲み物を買うことにする。

というか、トイザらスのような造りになっていて、

何か買わないと店を出づらいのだ。

まるで毒キノコのような「きのこの山」と

大容量のミネラルウォーター(シトラス風味)、今すぐ飲む用にファンタオレンジを買った。

こうしてスーパーで買い物をしてるとジモッティになった気分だ。

ホテルまでの帰り道もウィンドーショッピング。

PUMAフェラーリモデルのパチもんシューズが何と20ユーロだったので

思わず買おうか迷ったが、見た目が明らかにパチもんなのでやめておいた。

部屋に戻ったのは18:40。

レストランは19:00ぐらいから開き出すようなので、少し休むか。

今夜の晩飯は、今回の旅で唯一まともなメシ。

この地方はタコが名物らしいので、茹でダコ料理を楽しむ予定なのだ。

タコのことを「プルポ」と言うのも予習済み。

後は行くのみだ。

とりあえず服を寝まき用に着替える。

どうも足の裏の皮がめくれまくっている気がするので、

靴下はあまりいじらないようにしなければ・・・。

テレビをつけてチャンネルを変えていたら、「Oliver y Benji」がやっていた。

オリベルとベンジ、いわゆる日本名キャプテン翼だ。

ちょうど小学校の全国大会で武蔵FCと対決、

三杉君のテクにオリベルが戦意を喪失しているとこだった。

岬「オリベル」

オリベル「スィ~」

あぁ・・・翼君までスィ~言うてまんがな・・・。

衝撃を受けながら観た。

エンディングはスペインオリジナルでかなりヘボかった。

♪ベンジ オリベル

 オリベル ベンジ

 ベンジ オリベル

 オリベル ベンジ・・・♪

この繰り返し。

ところで、前述の通り、オリベルは翼君。

ではベンジは誰だと思うかね??

我輩はてっきり岬君だと思っていたのだが、

帰国後の調査で

SGGKいわゆるスーパーグレートゴールキーパー若林源三であることが判明した。

日向君ならまだしも、なぜ若林・・・。

実力はありながらほとんど試合に出ないで終わった彼も、

スペインの地ではタイトルに名を連ねることを許されたようだ。

不遇のヒーロー、若林に思わず十字を切ってしまった。

CMが始まり、タコをかぶった男が「プルポ」と言ってる。

ヨシヨシ完璧・・・と思ってるうちに寝てしまった。

起きたら23:00。

ノーゥ。

全く完璧ちゃうやんけ・・・。

晩飯はあきらめて、夜景だけでも見に行くか・・・。

こんなこともあろうかと、一応買ってきたカロリーメイトを食い、

己に失望しながらアラメダ公園へ歩く。

通り沿いのBARも閉店間際。

はぁぁ・・・。

公園には割に沢山の若者がウロウロしていた。

旧市街に歩いていく人も結構いる。

我輩は公園からの大聖堂のライトアップの遠景をカメラに収め、サクッとホテルに帰った。

本当は夜のオブラドイロ広場にも行ってみたかったけど、少し不安だったのでね。

ホテルに戻り、明日のために荷物をまとめる。

明日は6:30の飛行機でマドリードへ飛び、

ホテルに荷物を預けたのち、新幹線でセビージャへ行く。

新幹線の切符は、バルセロナでやっとこ買った例の切符だ。

ホテルでモタモタして新幹線に乗り遅れてはシャレにならない。

全ての荷物を今夜整理せねばならん。

しかし明日は4:00にタクを呼んでもらっている。

早く寝なければ・・・。

バタバタと荷物をまとめ、眠りについたのは1:00前だった。

Zzz。

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