3 May-
序章の通り、今回の行き先はスペインである。 GWにヨーロッパとくれば出費も相応。 しかし多少金のかかる時期ではあっても、休みが取れる時に行かねば。 行けなくなってからでは遅いのだ。 我らサラリーマンたるもの、休みは有効に使わねばならない。 さて、そのスペイン。 太陽と情熱の国と言われる一方で「危険な国」と言われていることを、 阪急交通社に申し込んだ翌日に知った。 懇意にしていただいている社長から、 「日本人か?と聞かれたらChineseと答えろ!」 と言われたので、我輩はこの旅の間、「郭泰源」を名乗ることとする。 郭泰源は台湾人じゃねぇか! という意見は、この際一切受け付けない。 さて今回の旅、出発前から受難のニオイがプンプンしやがる。 治安の面に加え、まず天気。 我輩が行く日だけ雨なのだ。 まぁひと度太陽王が入国すれば、晴れるに決まっているのだが・・・。 そして一番心配なのが、二日目・三日目に乗る予定の飛行機だ。 阪急交通社に申し込んだら金三万円のところを、 自力でオンライン予約したら金六千円という魅力に魅せられた我輩は、 カード情報入力まで三日、最終的な支払い入力まで三日、 合計六日を費やして予約したのであるが、その翌日。 予約をチェックしてみると、確かに入力したはずのカード期限「May/2009」が、 「06/2009」になっちゃってるでないの! しかもチェックインの際に、引き落としのクレジットカードを確認されるらしい。 どうせ雑な確認しかしないだろうと余裕ぶっこいていた我輩も、次第に不安が高まり、 かわいい後輩一号に作文してもらったメールをイベリア航空に送ってはみたのだが、 リアクション一切無し。 果たしてちゃんと旅が出来るのか。 全てが闇に包まれたまま、ついに出国の刻がおとずれたのであった。 今回は、再び関空からの出発。 5月2日、会社を定時退社し、いったん実家へ。 やはり最後の最後まで荷造りをしていなかった我輩は、深夜までかかってようやく荷物の準備完了。 リュック・手荷物ともに、すでに目一杯。 荷造りのヘタクソさも相変わらずである。 不要となった物から捨てるしかない。 風呂を出たら25:30。 出国前にしては珍しく、すんなりと眠りについた。 翌朝5:55、目覚ましが作動する5分前に起床。 うーむ、こちらも相変わらずの目覚めの良さである。 顔を洗い、ヒゲ剃りをリュックに入れて最終荷造り完了。 つい先日ネットで購入した電子辞書も持った。 何だかよく分からんが100冊登載とかいう数字のマジックに乗せられて買ったのだ。 ちなみに最近喋る機能がついた辞書もあるらしいが、その機能はない。 というか、現地の言葉で返されても分かんねぇだろ、と思うのだけど。 まぁそれはいい。 意気揚揚と最寄り駅へ向かうも、タグを忘れ、予定の電車には乗り遅れた。 まぁ30分早く着くはずだったから、時間的には丁度良いぐらいだろう。 近鉄→JRと乗り継ぎ、9:10関西空港着。 9:15集合だからバッチリだ。 まもなく日本語が一切通じない世界へ旅立つと思うと、 いやが上にも気分が高揚してくる。 この奥歯で物を噛むような感覚が好きだ。 そして、今日は奇しくも初海外旅行となったUK旅行から丁度一年。 この一年間の成長ぶりをみせてやる!! お、コンコースにはテレビ局が来てる。 我輩を取材してくれたら、オモロイことの1つや2つ言ってやるのに。 窓口でホテル予約の追加料金を支払い、バウチャーを受け取る。 このシステムは何とかならんのか。 バウチャーやら帰りの航空券の引換券を旅行中持って歩くのは極めて不安である。 さっそくチェックインして荷物を預け、保安検査から出国審査。 実にスムース。 おー、このうっとおしい程の香水のニオイ。 これこそ空港である。 そして出国前の儀式ともいうべき、スタバのホットココアとチョコスコーン。 盛り上がってきたところで、トイレでひと息。 正直なところ、出国審査を終えた後、 リラックス出来るのはホテルと便所である。 しばらくぶらぶらして、GATE12へ。 予備の南京錠を買い、搭乗を待つ。 今回の飛行機は、KLMオランダ航空である。 スペインへの直航便はないので、アムステルダムでのトランジットとなる。 10:55搭乗。 あれほど窓側をとってくれと旅行社に頼んだのに、通路側だった。 おぉっとこの機内独特のニオイもまた、我輩に気合いを注入してくれるやんけ! そしてテレビが付いてるぞ! やったね♪ 快適に過ごせそうである。 さぁいよいよ離陸だ。 まずはオランダはアムステルダムへ。 飛行時間は離陸後11時間35分とのこと。 やっぱり旅ってのは飛行機に長いこと乗って、 時差で昼夜が引っ繰り返るぐらいじゃないと! さぁ、ズィーッと行ってくれぃ!
ぐわおぉぉおぉん・・・
まだまだ気合いたっぷりな我輩を乗せて、11:24、 KL868便は大阪の空へ飛び立ったのであった。 離陸してすぐにアップルジュースをもらい、ヘッドホンが配られた。 どうせくだらん映画ばかりだろうと思いきや、スゲーよ! くさるほど選べるやん! こいつぁ退屈しないぜ。 よし、まずはポッター4だ。 しっかしエンドレスでやってるんじゃなくて自分で選べるなんて最高やなぁ。 周りにポッターを観てるのがバレたら何となく恥ずかしいなぁと思っていたら、 メシが出てきた。 「ビーフ?パスタ?」 偽「ん~、パスタ」 横のオバハンは聞かれてることが分からないようで、見せられたメモを指差していた。 メモには牛丼とあった。 ビーフは丼だったのか。 延々ポッターを観ながらメシを食う。 パスタじゃなくて、ペンネだな、これは。 今まで食った機内食の中では一番美味いぞ。 実に・・・実に快適。 これで外が見れたら文句ないのだけど。 メシが終わってポッターも終わった。 あと8時間35分。 まだまだモンゴル上空。 ロシアに入ったら外を見に行こう。 続いてレジェンドオブゾロを観る。 やー、退屈しないね。 ん、横の少年達は、せっせせっせと折り鶴を作っている。 何かに捧げるのだろうか、今どき珍しい清い姿だ。 やがて免税販売が始まり、それが終わると窓が閉められ始めた。 どわっ電気も消すのか? っていうか窓を閉めるなよ。 外を観たがる我輩がおこちゃまなのか? みんな外見たくないの? むー・・・たまりかねて見に行った。 すげぇ。 絶景やがな。 やっぱ外を見なきゃ! 16:30、ゾロ終了。 くどいほどのヒーロー活劇であった。 あと6時間15分。 また外を見に行ったら、今度は一面の雲だった。 次に期待。 ゾロに続いて、ポッター1。 よく考えたら、1と2は観てなかったのだ。 まさかポッター君があんな不幸な境遇の下で育ったなんて。 しかしまぁこんなに映画三昧になるなんて、キリスト様でもご存知なかったであろう。 素晴らしきかなKLM。 バンザイKLM。 ワッショイワッショイKLM。 さて、これも毎度のことなんだが、 機内では男のメンツをかけて必ず繰り広げられる熱い戦いがある。 肘置きの奪い合いである。 オバハンがオッサンと席を変わり、それが試合開始のゴングであった。 オッサンはオッサンのメンツにかけて、我輩は我輩のメンツにかけて、 譲れない戦いが始まった。 油断せず且つよほどのことがなければ、先制攻撃を仕掛けたものが絶対勝つ。 いったん奪ったものを奪い返せるほどの強者はなかなかいない。 この戦いは、置いた肘さえ動かさなければ我輩の圧勝に終わりそうである。 ま・・・両肘を置くのって微妙に疲れるから、しばらくしたら譲ってやるけどさ。 ありがたく思えよ。 前の席のテレビをチラ見したら、ようやくロシアの西側に入ってきたようだ。 サンクトペテルブルクは見逃せないぞ。 18:00になり、おやつが出てきた。 カップヌードルかアイスクリームというかなり微妙な選択肢。 ニッシンカップヌードルKYLLING CHICKENをチョイス。 これ3分待たなくていいのか? ん~何だか少し堅い気がするが、食えないほどでもないな。 バリバリ食ってしまう。 食い終わると、また機内は暗くなった。 食後の散歩を兼ねて、また景色を見に行き、あまりの快晴っぷりに20分ほど外を見ていた。 さて、暗くなると、周りがテレビで何を観てるか分かる。 斜め前の女はオセロをしている。 あぁそこじゃねぇだろ。 8対56で完敗。 ポッターを観終わったらやろう・・・と思っていたら20分ほど寝てしまった。 ラストを見逃したが、この映画、チャプターを呼び出したりは出来ない。 最初から早送りしなくてはならないので、ポッター1は帰りに観ることにして、オセロをやる。 レベルHARD。 ・・・。 弱い。 弱すぎる。 33-0、56-8、54-10・・・。 圧勝続きに飽きたので、5回ほどやってやめた。 飛行機はサンクトペテルブルクを通らないことが明らかになった。 スウェーデンの南を飛んで、あとは海の上。 残り時間を勘案し、ディズニーのアトランティスを観ることにする。 バルセロナの攻略法を考えながら観てたらまたメシが出てきた。 何だか食ってばかりだな。 焼そば、フルーツポンチ、クッキー。 しかしやはり美味い。 オランダ航空、侮れん。 食い終わると22:00。 まもなく着陸だ。 テレビに到着時刻、乗り換え案内が表示される。 KL1675便バルセロナ行きは17:20発だから、トランジットは約1時間。 急がねばならないな。 にしても、乗り換え案内が表示されるなんて、何から何まで至れり尽くせり。 素晴らしい! こうして、かつてないフライトに満足する中、KL868便は日本時間22:51、 現地時間15:51、オランダ・スキポール空港に着陸したのだっだ。 これでオランダにも足を踏み入れたわけだ。 ムヒヒッ♪ さっそくトランジットの方へ歩いていく。 オランダもスペインもシェンゲン協定加盟国なので、ここで入国審査。 シャルル・ド・ゴール空港のように迷うことなく、入国審査完了。 っていうか、他の国のパスポートは結構見てたのに、 我輩のパスポートは1秒も見なかった。 開いて閉じてそれで終わり。 日本人だからだろうか。 いつものように車雑誌を物色しながらGATE13へ向かう。 海外で車雑誌を買うのはUK旅行以来楽しみの一つ。 特に全車カタログなんてのはヨダレモノなのである。 が、それらしきものが見当たらなかったのと、 帰りのトランジットはかなり時間があるので、さっさとゲートへ行ってしまうことにした。 さすがに日本人の数はグンと減った。 もはや周りは外人ばかり。 んー、やはり海外旅行はこうでないと。 荷物を持つ手にも気合いが入る。 次の飛行機は席が18Aだから窓側なのだ。 ウキウキしてたら、ノリノリイタリアンに話し掛けられた。 「(この列は)バルセロナ行き?」 偽「おうよ」 「チャイナ?」 偽「No,Japanese.」 ぐわっ しまった。 我輩は郭泰源であった。 後悔していると、ノリノリイタリアンはどんどん話しだした。 「サムライ、カラテドー、ペラペラペラペラペラリーノ、21の時にやってたよ。 東京に住んでんの?」 偽「No,名○屋である.」 「北か?南か?」 偽「ど真ん中である」 「仏教徒?」 偽「No.」 「何にも信じてないの?」 偽「Yes.」 そう、我輩はあまりにキリスト教的建築物に関心が強いため勘違いされがちだが、 何の教徒でもない。 というか、我輩自身が太陽王であり、 神様仏様お釈迦様となる男である。 崇め奉れよ。 仏様とお釈迦様は一緒だと?? そんな小さな事でグダグダ言っていては、徳を高めることなど出来ませんぞ。 にしても、イキナリ疲れた。 早口だとわかんねーよ。 で、乗ってみると・・・やっぱり羽根の上かーっ!! しかも羽根のど真ん中! 何でやろか。 この羽根の上率たるや、相当のモンである。 さすがにガッカリして離陸を待つ。 外国の飛行機特有というか何というか、香水くせぇ。 すると、また別の男が話し掛けてきた。 「英語話せる?」 偽「少しだけなら」 「3人なんだけど席がバラバラで、良ければ変わってくれない?」 偽「・・・No,sorry.」 よく分かんねぇ申し出は受けないに越したこたぁない。 どんな爆弾が仕掛けられているか分からんからな。 そうこうしているうちに、17:29離陸。 バルセロナ・プラット空港に着くのは、現地時間で19:30。(つまり、日本時間で26:30) 日没は21:30(つまり、日本時間で28:30)過ぎらしいので、 街に出て夜景を見るのに良い時間のハズだ。 ただ、丸一日完徹することになるな・・・。 少し寝た方が良いのか・・・しかしせっかくの窓側だし・・・。 しばらく葛藤に苦しんでいると、メシと飲み物を配りにきた。 先ほど我輩に席のチェンジをお願いしてきた男は、 本を読み終えてから飲みたい、と缶のままコーラをもらっていた。 我輩もつられてコーラを頼む。 そしたらその男は自分のコーラを我輩にまわしてくれた。 心の狭い我輩に対して、彼の気配り心配りたるや、見上げた男である。 天晴れなりフレンチ。 「日本人?」 偽「うむ」 「オー、コニチワ」 偽「こんちわ」 まったく日本語といえば、サムライ、カラテにコニチワなのである。 ようやく外人の中でもフジヤマ・ハラキリは死語となってきたようだ。 げげっ そういえば、またまたしまった。 我輩は郭泰源であった。 またまた後悔しながらハムとトマトのサンドイッチを食べた。 しかし・・・中途半端にコーラを飲みかけたもんだから、 こぼれないか心配で眠れやしない。 あぁぁ眠い眠い眠い。 結局一睡もしないまま、バルセロナの街が見えてきた。 まぁ降りてしまえば眠気も飛ぶだろう。 あとは気合いだ。(炎) こうしてKLM1670便は現地時間19:27(つまり、日本時間で2:27)、 バルセロナ・プラット空港に到着した。 オッシャー来ましたでコレ! ブエナスタルデスバルセロナ!! 天気は曇りだ。 お。 随分早く荷物が出てきた。 だいたいターンテーブルでは最後の方まで待つのが常なだけに、これは吉兆か? ゲートを出ると、「nisesnufkin」と書いた紙を持った男が立っていた。 空港からホテルまでは案内付きだ。 「Welcome to Barcelona !」 がっしりと熱いシェイクハンズ。 「バルセロナは何回目だべ?」 偽「初めてである」 何だよ、日本語話せないよこの人。 「長いフライトで疲れてねだか?」 偽「日本では27時だよ。とても眠い」 「そう言う人が多いべさ。2時間前までは雨降りだったべよ」 うむ、それは太陽王が降臨したからである。 モンデオに乗り込み、ホテルへ。 「バルセロナには何日いる?」 と聞かれたのだが、なかなか聞き取れなくて困った。 発音はやっぱりなまりがあるね。 偽「2日である」 「そらぁベリーショートだべな。そげな人にゃあツーリストブスがオススメだべ。 一回金さ払えば、ガウディにゆかりの色んなトコさ回れるっぺや」 うむ、それは調査済みである。 しかしそれには頼らないぞ。 偽「今からサグラダファリミアのライトアップを見に行くつもりである」 「ライトアップってなぁ何だべ。ライトアップが分がんね」 何と、ライトアップってのは英語じゃないのか? UKのココア飲めない事件といい、和製英語には困ったものである。 地球の歩き方を見せる。 偽「これがライトアップである。地下鉄は危ないのであるか?」 「バルセロナの?ノーノー。バルセロナは安全だべさ。 ナイフやピストルを出されることもねっす。 ただ、問題はひったくりだべかなぁ」 う~む、ナイフやピストルなんて問題外なんだけど・・・。 このあたり、日本がいかに平和かというのを再認識する。 「ワシ的にゃグエル公園がオススメだべ」 偽「そこには明日行く予定である」 「楽しんでこいよだべさ」 この後、我輩はガイドがあれがオリンピック会場だべ! だの、 あれはスッゲー高いレストランだっぺ!だのと色々案内してるのを ほぅほぅと相づちを打ち続けた。 「あれがサンツ駅だっぺ。ホテルはメチャ近いトコにあるだよ」 どうやら着いたらしい。 「んだば、バーイ」 ホテルに着くと、ガイドは荷物を置いてさっさといなくなってしまった。 チェックインはテメェでやれ、と・・・。 バウチャーを渡してチェックインし、部屋に荷物を置きに行く。 一刻も早く観光したくてウズウズしているのだ! リュックを放り投げ、重過ぎた手荷物を整理し、身軽になる。 そして「パスポートはホテルのセーフティボックスに!」と決めていたので、探す。 おぉあったあった。 しかし鍵がないべさ。 探せど探せど鍵がない。 仕方なくフロントへ行くと、「一日3ユーロ」 とのこと。 金取るのかよ・・・。 しかし金で買える安全なら安いものだ。 仰々しい鍵を受け取り、 パスポート・航空券の控え・バウチャー・余分な金エトセトラエトセトラをぶち込んだ。 部屋の鍵は預かってもらえなかったので、持って出る。 まずはサンツ駅から地下鉄に乗り、サグラダ・ファリミアへ行く。 このホテル、観光地へのアクセスが非常に良くて、だいたい乗り換え無しで行ける。 地下鉄の料金は一回1.2ユーロ。 切符を買って改札口に投入・・・ってアレ? 通れませんがな。 回転棒を回して通るようなのだが、棒はピクリともしない。 何やこら。 切符をもう一度通したらエラーになった。 ??? 仕方なく、もう一度切符を買う。 ちょっと他の客の動きを観察。 オレと何が違うのだ? 切符を通す時に何か念じるのか? ・・・(観察中)。 ハッ! 分かった! 日本と改札が逆なのだ! 向かって左側に切符を通すのだ!! 発見に喜びつつも無駄な出費に腹立ちながらホームへ降りる。 こちらの地下鉄は、行き先ごとに階段がバラバラになっていた。 案の定、一回間違えてから正しいホームへ。 階段を下りたらすぐに電車が入ってきた。 構内、車内ともに明るく、最初は周囲に殺気を振りまいていたが、 実は極めて安全であった。 サグラダ・ファリミアまでは5駅。 その名もサグラダ・ファリミア駅。 階段を上がると、いきなり受難の門の目の前だった。 うををっ! これがサグラダ・ファリミア!? 心の準備ぐらいさせて欲しかったぜ! さっそく写真撮影。 続いて、誕生の門へ回る。 これ! これザマス!! すげーよコレ! ・・・でもライトアップはやってないな。 我輩の調査によれば、ライトアップ開催日は完全にランダム。 今日はやらない日なんだろう。 少し気を落しながら、ガウディ広場を歩く。 ここの池ごしから見るサグラダファリミアは誠に美しい。 ライトアップ無しということでかなり暗かったので、シャッタースピードを最高に長くして写真撮影。 ブレてたらイヤで何度も何度も撮ってたら、突然ライトアップが始まった。 これぞミラクル。 バシバシ写真を撮りつつ、しばらくぼけ~っと眺めた。 いやぁスペインだよここわぁ・・・。 ふとそんなことが頭に浮かんだ。 遠景をじっくり堪能したら、次は近づいて見上げるサグラダ・ファリミア。 うーむ、マーベラス・・・サンデー。 照らしだされた無数の彫刻にウットリしてたら、突然花火が上がるような音と、 サッカーのテレビ中継でよく聞くホーンの音があちこちから聞こえてきた。 バルセロナをホームとするサッカーチーム、FCバルセロナが優勝間近というのは スポーツニュースで知っていた。 試合に勝ったんかな~、ぐらいに思いながら、また地下鉄に乗る。 次はガウディが設計した集合住宅カサ・ミラとカサ・バトリョのライトアップを見に行く。 地下鉄の駅に下りると、 いかにも熱狂的なサッカーファンらしきヤツらが大声で歌いながら階段を下りてきた。 「ラーラーラー アレアレアレー」 絡まれたらイヤだなぁと思いながら、コソコソと地下鉄に乗り、ディアゴナル駅で降りる。 地上に出ると、そこは車とバイクのクラクションに満ちていた。 ビービービビビービビビビービビーッ フォーンフォーンフォフォフォーンフォフォフォフォーンフォフォーン パーンパーンパパパーンパパパパーンパパーン ラーラーラー アレアレアレー 旗を振りながら車やバイクを運転する者、歩きながら騒ぐ者。 すれ違う車が同志と見るや、クラクションを鳴らしあうので、通りはヤカマシイかぎり。 直観的に、FCバルセロナが優勝したんだろうなぁと思った。 優勝争いをするようなチームがイチイチ勝ったぐらいでこんなに騒いでたらキリがなかろう。 そんな喧騒の中を、地図を見ながら迷走する我輩。 地図を見ながら歩かない!とか色々防犯対策を考えていたが、 もはや何者も観光魂に火がついた我輩を止めることは出来ない。 しばらく歩いてカサ・ミラ、 続いてカサ・バトリョを見学。 このカサ・バトリョ、実に奇怪ナリ。 大きな窓はまるでエイリアンの口だな。 さて帰ろうかとカタルーニャ広場駅へ歩いていると、 BARから出てきた兄ちゃん3人組が声をかけてきた。 「スペイン語話せる?英語話せる?中国語話せる?」 「どこから来たん?」 偽「日本である」 あ、しまった。 我輩は郭泰源であった。 もういいや。 っていうか、我輩はそんなに中国人っぽく見えるのだろうか。 「カンピオーネって意味分かるか?チャンピオンなら分かるか? バルサ、カンピオーネ!!」 なるほど・ザ・ワールド。 偽「バルサ、チャンピオン?」 「オーイエーッ!チャンピオンカンピオーネ!!」 我輩に抱きつき、騒ぐ兄ちゃん達。 抱きつきついでに物をくすねるとかそういう類ではなさそうだが、 一緒に飲もうと誘われたので、写真を撮ってさっさと立ち去ることにする。 偽「Congratulations !!」 「Thank you very much !!
カンピオーネーカンピオーネー!!」 またしても熱いシェイクハンズ。 日西の友好の架け橋が架かった瞬間である。 こうやって一晩中騒ぐんだろうなぁ。 去り際、バーイって手を振ったら、手はこうするんだ、 というように、親指と小指をだけを立てて、顔の横で振った。 まるでエスパー魔美だかアメリカンホームダイレクトだな、 と思いながら我輩も同じようにすると、また兄ちゃん達は騒ぎだした。 「カンピオーネーカンピオーネー!!」 まだまだクラクションだらけの通りを後にして、カタルーニャ広場駅から地下鉄に乗る。 本当はスペイン広場の噴水ショーも見たかったのだけど、 思いがけず遅くなったので、おとなしく帰ることにする。 時間的にも終わってるかもしれないし。 すると、駅で「Chanpion」と書いたボードをアホほど持ったサラリーマンに遭遇。 記念に欲しいなぁと思い、偽「どこでGETしたの?」 と聞いたら1枚くれた。 2種類あって、さっきのエスパー魔美の手の形のボードが欲しかったんだけど、 まぁわがままは言うまい。 車内にも沢山のサポーターが乗っていた。 サンツ駅で降りると、乗った場所が見当たらない。 どこだここは。 散々迷って下町に迷い込み、さすがに焦って女の人に聞いたら、全然違うトコにいた。 というか、降りた駅もサンツ駅じゃなかった。 せっせと歩いて、ホテルに着いたのは23:30。 日本時間で6:30。 めでたく24時間完徹したわけだ。 テレビをつけたら、丁度FCバルセロナの特番がやっていた。 今夜は1-0で勝ったようだ。 決勝ゴールを決めたのは江藤とかいう選手。 この江藤って、すげぇ。 混戦になっても、倒されないで強烈なシュートをお見舞いしていた。 まるで漫画やな。 色んなインタビューや今年のダイジェストを観ながら ロナウジーニョはさすがに知ってるぞ!、と心の中でつぶやきつつ、 ベッドに横になったらトランクスのまま爆睡であった。 Zzz。 |