4 May-

ケチって自力でアーグラー日帰りツアーの日。

だってツアーに参加したら金伍萬六千円也で、

自分でチケット取ったら千円弱やで?

それはツアーなんかで行くわけないしょ。

まぁそのせいで親に迷惑を掛けたわけだが・・・。

4:45、モーニングコールで目が覚めた。

久々によく寝たわい。

ドライバーが5:15に来ると言っていたな。

では、ぐずぐずと支度するか。

昨日送迎の人が、タージマハルには、計算器やiPodは持って入れないと言っていたので、

荷物はとにかく最低限に、カメラとメモリー、地球の歩き方程度にして出発。

エントランスに行くと・・・既に時間は過ぎているのに、ドライバーの姿は見えない。

とりあえず鍵を預ける。

「今日はどこへ行くんだ?アーグラー?駅へはどうやって行くんだ?
 ドライバーが来るのか?じゃあ座って待ってな」

・・・。

待つのか?

既に5:30になろうというのに??

偽「ドライバーは来ないんだろ?」

「いや、来るさ。何時に来るんだ?5:15?・・・。
 金は払ったのか?誰に?クラークに?クラークはドライバーに払ったのか?
 いくら払ったんだ?500ルピー?・・・。」

偽「5:50には駅に着きたいんだ。歩きならもう出なきゃいけないだろ?
 クラークに金を返せと言っておけ!」

「・・・分かりました。歩いていくのか?ちょいと待ちな。
 ヘイ!リクシャーッ!!
 こいつに乗っていきな。20ルピーだ」

偽「今払うの?」

「今」

・・・。

始めからこうすりゃ良かったんじゃないか。

ニューデリーまでは、チャリンコリクシャーで約10分。

道々には人が寝そべり、野犬が徘徊している。

ここはホントに首都か?

さすがにこれは歩く自信が無いぞ。

人は別に怖くないんだが、犬。

犬はマジ怖い。

目が逝っちゃってますよ。

・・・。

帰りもリクシャーにしよう。

どうせあいつは来ないから、ちゃんとしたのを捕まえないとなぁ。

さて、ニューデリー駅に到着したようだ。

偽「サンキュー」

テクテクテク・・・。

「ヘーイ、ペラペラペラペラペラリーノ」

偽「は?」

「ペラペラペラペラペラリーノ金よこせ」

偽「払ったろ。じゃあね」

「ヘーイ」

無視。

これが噂の追い金か。

先が思いやられるわい。

ジャジャーン!
メイアイハブユアアテンションプリーズ・・・。
↑延々と列車の案内が放送されている。

なんちゅうヤカマシイ駅になんちゅう多さの人間だ。


溢れかえっておる。

ジャジャーン!

エェーイヤカマシイわ!!

そんなことより、我輩の列車は・・・一番ホームか。

一体何両目のどこに座ったら良いのか。

事前の調査によれば、駅のどこかに紙が貼ってあるとあったが。

あぁコレ?

って、インド文字じゃない。

どうすんのコレ。

男A「メイアイヘルプユー?あぁこのチケットはスタンプを押さなきゃいけないんだ。
 インターナショナルパッセンジャーの事務所が向こうの2階にあるから行ってきなさい」

偽「は?どこって?」

男A「オーケー、カモン!」

何だ何だ?

乗れば良いだけじゃなかったのか?

しかし、インターネットでは、座席を記入してもらわなければならないとも書いてあったしな・・・。

と、思いながら走っているうちに、何だかよく分からない建物の2階に走り込んでしまった。

インターナショナルビューローとある。

男A「彼がボスだ。グッドモーニングと言え」

偽「グッドモーニング・・・」

男A「コレがオレのライセンスだ。信用できるだろ?」

ボス「ではチケットを見せなさい。アーグラーからの帰りはどうするんだ?トレイン?
 チケットを見せなさい。・・・。君には席が無い」

来たなクソ野郎・・・。

偽「無問題。絶対大丈夫だ」

ボス「・・・きっと沢山の問題があるぞ。ホテルは?明日はどうするんだ?」

偽「明日はデリーだ。そして日本に帰る」

ボス「そうか・・・ブツブツ。では、26ドルだ

偽「はぁ!?何のフィー?金はクレジットで支払済だ!」

ボス「これはブッキングオンリーだ。見ろ、ここにも26ドルと書いてあるだろ」

と、何だか本を見せるボス。

確かに書いてあるけど・・・何なんだよこの展開は。

大体チケットが745ルピーで同じぐらいの金がまた掛かるわけねぇだろ!

偽「オイ、あんたのライセンスを見せな」

ボス「・・・オレのライセンスか?・・・これがボスので・・・これがオレだ」

ササッ。

偽「ちゃんと見せろよ!大体何の金なんだよ!」

ボス「君は飛行機でインドに来たのか?エキストラチャージを払ったろ?それと同じだ」

偽「電車にそんなもんかかるわけないやろ!!(大噴火)」

ボス「君の国の言葉は分からない」

偽「じゃあ駅へ一緒に来いよ。あんたが正しいなら払ってやる」

ボス「ここがオフィスなんだ。払いたくないならチケットをかせ。キャンセルにしてやる」

無視して出ようとしたら、連れ込んだ男が立ちふさがって出れない。

ぐぬぅ・・・。

この時、スタンプ・・・というか、座席番号を紙に書き込んでサインをしただけなんだが、

コレが本当に必要なのかどうなのかが分からない時点で、我輩の負けである。

じゃあ消してみろと強気には出られない自分が情けない。

そして既に6:00。

列車の発車まで15分しかない。

アーグラーに行けなくなっては元も子もない。

26ドルを投げてやる。

ボス「26は片道だ。あと26」

偽「貴様ぁ・・・」

ボス「これは私の収入ではない。政府の収入だ」

ムカついてムカついてはらわたが煮えくり返る思いだが、

阿呆に怒っている時間は無い。

52ドルを投げる。

偽「オイお前(男A)!早くオレを連れていけ!」

男A「カモン」

と、階段を下りたところで、男Aが言った。

男A「手数料をよこせ。そして駅へ急げ」






























ブチ。






























偽「一緒に来い!早く行け!!(大激怒)」

男A「チッ」

コイツさえいなければと思うと頭がクラクラする。

直感的に思った。

コイツは許さん。

そして駅の入口でまた言った。

男A「ここから先はチケットが無いと入れない!早く手数料をよこせ!」

偽「お前さっき中にいたろ!黙って行け!!(激怒)」

さらに走っていくとまた言った。

男A「早くよこせ!10ルピー!?オレの手数料が10ルピー!?10ドルよこせ!」

偽「お前ッ!!しまいに殴ったろか!!」

さすがに怒鳴りつけられて怯んだのか、ヤツはしばらく黙って走っていく。

コチラも怒りのあまり無視して走っていくと、10ルピーで良いからくれと言うので、

クチャクチャに丸めて投げつけてやった。

このウソツキインディアンめ!!

急いで列車に乗り込もうとすると、乗車口に紙が貼ってあって、

ちゃんと我輩の名前が記されていた。

早くも疲れた。

早く座りたい・・・って、何で誰か座ってんだ?

偽「あの~、我輩の席だと思うんですが」

この後色々あって、感謝されながら、席を替わってあげた。

まぁ窓側なら文句はないのだ。

そして席についてすぐ、列車は動きだした。

ふぅぅぅ・・・。

これが、我輩がでくわした、詐欺の一連である。

というか、詐欺かどうか、本当にあの記入とフィーが必要だったのか明らかではないから、

詐欺と言いきれないのが微妙なところではあるが、

少なくとも、帰りの列車にも普通に乗れたし、

やはり詐欺だったというのが妥当なところだろう。

そもそも、チケットのどこに何が書いてあるか調べていなかったのが誤りだったのだ。

ちゃんと座席の書いてある場所が分かっていれば、

紙を見に行くことも無かったし、ヤツに付け込むスキを与えることも無かったハズだ。

やはり旅は下準備をしっかりせねばならん

と、つくづく思い知った、デリーの朝であった。

さて、シャタブティーエクスプレスは快適に走っていく。

インド一を誇るこの快速特急は、主要観光都市を短時間で結び、

デリーアーグラー間は、約2時間半である。

ちなみにエアコン付きの1等車に空席は無かったので、

快適に過ごしたい人は、早めの予約をオススメする。

ちなみに、ここのサイトなら、登録制(無料)ではあるが、一発で予約でき、

eチケットをプリントアウトすれば乗れてしまう。

・・・プリントアウトした紙に座席の記入が必要かどうかは謎のままだ。

で、車内では、水と食事が配られ、飛行機並のおもてなしがある。

冷房も効いていて、コイツが実に快適だ。

車窓を眺めながらの2時間半が過ぎ、列車は定時にアーグラーカント駅に到着。

暑い・・・。

むわっとくるぞ。

で、駅を出た途端に群がってくるリクシャー達。

まるで蜜に群がるアリンコのようだ。

朝っぱらから既に十分嫌な目に合っているわけで、こんな奴らを信じるハズもない。

タージマハルへ向けて歩きだす。

そんな中、一人のリクシャーがずっとついてきた。

他のオートリクシャー達やリクシャーは、

我輩が「行っちまえ行っちまえ」 と言うと去っていくのに、コイツはしぶとい。

さらに日本人が感謝のメッセージを書いた名刺を出し、乗れ乗れという。

タージマハルまでは9キロ。

ウーム、予定よりはあるな・・・。

・・・。

偽「いくら欲しいんだ?」

「いくらなら払う?」

偽「タージマハルとアーグラー城だけで良い」

「600」

偽「エキストラチャージは払わないぞ?600ぽっきりだからな?」

「イエスイエス、私はエキストラチャージは取らない」

偽「よし、じゃあ行こう」

こうして、我輩はリクシャーでアーグラーを回ることになった。

「オートリクシャーは、最初安い値段を言っておいて、後で値段を変えるんだ。
 チャリンコリクシャーはそんなことしない」

そんなこと言われたって、我輩には信じられない。

インディアンはウソつきだらけだからな!

面倒ごとになるのが心配な我輩は、デリーでリクシャーと喧嘩しただの何だのと、

とにかくオレはエキストラチャージは払わないんだというストーリーを展開したのだった。

そうこうしている内に、何やら公園の前に着いた。

「中に入って、右に曲がってチケットを買うんだ。私はここで待っているから」

偽「何のチケット?」

「タージマハル」

何だ、着いたのか?

体感として、9キロも無かったような気がするな。

イマイチよく分からない我輩は、公園に入って歩く。

そしてしばらく行くと、チケット売場に着いた。

750ルピー。

ちなみに、パスポートが無いと売ってもらえない。

前に並んでいた人は、パスポートが無いということで、チケットを売ってもらえなかった。

こんな目に合わないように、パスポートを忘れずに持参すること!

チケットを買い、既にタージマハルに着いているとは思わなかった我輩は、道を帰っていく。

しかしあの入口の人の並びよう・・・。

ここは何なの?と見渡してみると、塀の向こうに白いモスクがチラッと見えた。

ここですかー!

さっそく並ぶと、カバンを預けるように言われた。

預けなくても良いように、せっかく色々置いてきたんだが、まぁ仕方ない。

チケット類は取り出して、残りはロッカーへ。

再び並ぶと、ガイドはいらんかというヤツらが群がってくる。

何だこいつらは!!

うっとおし過ぎるぞインディアン!!

勧誘を全て振り払い、荷物検査の列に並んでいると、

真っ黄っ黄の服を着た青年が声をかけてきた。

インドのホニャララという町から来たんだそうな。

何だか良く分からないが、彼としばらく歩くことになり、

一緒に写真を撮って、ガシッと握手し、メールアドレスを交換。

e-mailを送り合うことを約束して別れた後、我輩はそのメアドを無くした。(T_T)

e-mailを送るというのは嘘じゃないんだプシャルディー!

いや、名前すら定かではないが、嘘じゃないんだ!!

我輩はケニアの現地係員とメールしたこともあるんだ!

英語の勉強にもなるしな。

君からのメールを待つ。

そして君からメールが来なければ、その場かぎりの仲だったということだ!

それで良いだろプシャルディ。

さて、立派な門をくぐり

お馴染みの景色であるが、タージマハルの真正面に立つ

ウーム・・・毎度のことながら、あまりに唐突に遭遇してしまうと、

感動というよりはむしろ実感が沸かんぜよ。

ではタージマハルについて軽く説明すると、

これは、シャージャハーンという王様が、嫁さんの墓として建てたもの。

宮殿ではないからね。

そして、その嫁さんの墓を中心に、

完璧なまでのシンメトリー(縦横斜め対称)で構築されているのだ。

ここまではよく知られている話。

しかし、その完璧なまでのシンメトリーを崩しているものが1つある。

それは、この墓を建てたシャージャハーンの墓だ。

晩年、息子によって幽閉されたシャージャハーンは、

嫁さんの横に埋葬されることを許され、嫁さんの墓の横には、彼の墓がある。

しかし彼は自分の墓はタージマハルの向い側に、

黒いタージマハルと同じ墓を建てるつもりだったので、

これは想定外の埋葬となってしまったわけだ。

確かに彼の棺だけは、対称となるものもなく、嫁さんの脇にあった。

皮肉な話ですなぁ。

ま、嫁さんの横に埋葬されるならやむなしといったところだろうか。

以上、雑学講座終了。

タージマハルの墓の手前からは、裸足か靴にシューズカバーをつけねばならない。

我輩は当然裸足で上がった。

ウーム、何たる熱さだ。

うっかり大理石を踏み外してレンガを踏もうもんなら、ジュッといいかねない熱さだ。

中は別に見るべきところはなく、墓があるだけだった。

その後、せっかく来たのだからという事で、四方八方から眺めまくった。

毎度のコトながら、昔の人の技術力には恐れ入る。

すごいよね。

現在、酸性雨による汚染が懸念されるタージマハル。

白いうちに、見に来ることをオススメしますぞよ。

去り際、階段のところにいた人に「ベストショットを案内してやろう」 と言われ、

写真を撮り撮り外に出た。

ちなみに何かくれと言われたが、金は友達が持っていると押し切った。

とにかく何かしてもらうと、それがいらぬ世話だろうとなかろうと金がかかるので、

めんどくさい時には「空気友達」に登場してもらった。

ちなみに、さっき靴を預けた時にも金を要求されたが無視して通した。

全く面倒な国である。

さて、これで今日の目的は達してしまったわけで、後はオマケだ。

続いて行くのはアーグラー城。

塀に囲まれた城の中を見学する。

こんな感じだ。


いやーしかし暑い!!

今一体何度なのか。

事前の予報では、今日の気温は43度となっていた。

確かにコイツぁ半端なく暑いぞ!

シャタブティーエクスプレスでもらってきたペットボトルの水が、

お湯のようになってしまった。

とにかく暑くて暑くてくたびれたので、少し休憩。

このオレ様に腰掛けさせるとは。

やるじゃないかインド。

ただ、日陰に座っているとはいっても、風が吹かないから、じわじわと暑い。

さらにいうなら、風が吹いたとしても、埃が舞い上がってきやがるので、

気持ち良いとは言い難い。

そんな事言うヤツはインドに来る資格がないだと?

おうおう結構結構。

そういう偉そうな事言うアンタはインドの何を知っているんだよぉ!!

と、仮想敵国と妄想バトルを繰り広げながら、腰掛け続けた。

喉が渇く~・・・。

しかしこの左手に持っている水を飲んでしまったら、

トイレに行きたくなる可能性がある。

そしてオレ様は立ち小便をする気は毛頭無い。

そうなると、便所を確保するまでは、水を飲みすぎることも許されない。

しかも、清潔なトイレをな!

何?

そんな事言うヤツはインドに来る資格がないだと?

そんな偉そうな事言うアンタはインドの何を知っているんだよぉ!!

あぁイカンイカン。

暑くて気が立って仕方ない。

心穏やかに観光しなければ。

しばらく休んでから、色々と建物を見物。

先ほど書いた、シャージャハーンが幽閉されていたのがこの塔。

ここからタージマハルをこんな感じに眺めたのだろう。

さて、見た目のデカさとは裏腹に、意外と見るところは少ない。

集中してまわれば、30分ぐらいで見れてしまうであろう。

ぐるっと見てまわり、外に出た。

「腹は減ってないか?良いレストランがあるんだ」

偽「ふーん」

そのレストランが、この運ちゃんの試金石だな。

変なトコに行かれたらその場で解雇だ。

帰り道をよく覚えながら着いたレストランは、小綺麗ではあるが、すごく小さな入口。

・・・。

オレはだな。

トイレにも行きたいんだ。

大丈夫なんだろうな。

ターバンの店員に案内されると、レストラン自体は地階にあって、綺麗な造りだ。

トイレもちゃんとある。

なかなかやるじゃないか、あの運ちゃん。

キミ合格。

というか、用心はしていたけど、

どっちかというと、あの運ちゃんは大丈夫という気はしてきていたのだがね。

席について、まずは冷えたコーラを一気飲み。

ぷはーっ  うめー!!

しかもトイレを気にしなくていいから、安心して飲める!

こんなに嬉しいことはない♪

出てきたメニューを見ても何も分からなかったので、適当にオーダー。

出てきたのは、長い米を使ったサフランライスみたいな御飯とヨーグルトを使ったスープ。

御飯は見た目以上に量があって、腹一杯になった。

スープはあまり舌に合わなかったので一口で残した。

そうでなくても、海外では乳製品は採らないことにしているんでね。

最後にもう1本コーラを一気飲みして、トイレに行ってから退散。

最初、このチャリンコリクシャーの運ちゃんに言っていた見学ポイントは、

タージマハルとアーグラー城で終わり。

これからどうするという話になった。

帰りの列車は20:30で、今はまだ12:00。

アーグラーから40キロぐらい離れたところに、

ファテープルスィークリーという有名な所があるらしく、

行くならタクシーにした方が良いぞと言われたが、正直そんなに興味はなかったし、

だったらアーグラーの町をフラフラ見てみたいという気がしていたので、

タージマハルの対岸とアーグラーの見学ポイントを2、3回ってもらうことにした。

偽「いくら欲しいんだ?」

「いくらなら払う?」

この運ちゃんは、我輩がこう聞くと、決まって照れてこう答えるのであった。

正直、もうこの運ちゃんに対する猜疑心は消えていた。

だから払うものはちゃんと払いたい。

しかし相場が分からない。

偽「900ぐらいか?」

「ウーン・・・タージマハルの対岸は遠くてとてもハードワークなんだ。・・・1400は?」

ふっかけてきたなぁと思ったが、ま、今から他のドライバーに替えるつもりもないし、

それで良いやと言うと、また運ちゃんは嬉しそうに笑った。

アーグラー城を見ながら川沿いに走っていくと、橋を渡り、

観光地とはまた違った、生活の場が見えてきた。

道端で織物をしている人、車座になって談笑したり博打をしている人、

ポスターを食う牛・・・。

↑おなか壊すぞー!

そんな中をゆっくりと走っていく。

チャリンコの良いところは、町の空気を感じられるところだね。

ま・・・運ちゃんはしんどいだろうけど。

午後一発目の観光ポイントはイティマド・ウッダウラー廟。

これまた大理石の綺麗なお墓である。

リクシャーを降りたところで、男に話し掛けられた。

どうやら運ちゃんとは知り合いらしい。

「この運ちゃんはとっても良いヤツなんだけど貧しいんだ。助けてやってくれ」

ふむ・・・。

土産屋に寄るなと言えば寄らないし、写真を撮るのに良い場所に着いたら停めてくれる。

そんな時に決まって言うのは

「キミがハッピーなら私もハッピー。キミがそうじゃないなら私の仕事に意味はない」

確かにこの運ちゃんは良いヤツじゃないかと思われてきた。

・・・ただ。

この信じやすい性格のために、かつて何度も何度も痛い目に合ってきた我輩だ。

多少疑り深いのはご容赦賜りたいぜ。

お墓の造りはやはりシンメトリーになっていて、どこから見ても同じだ。

中はやはりお墓しかないので、壁の装飾ぐらいしか見るものはないんだが、

外は一段と暑くなってきたので、少し涼むことにした。

暑い。

暑すぎる。

これまで体感したどんな暑さより暑い。

外にいると吹いてくる風で鼻の中まで暑くなる。

ふぬー。

過酷なりインド。

一度ならず二度までも我輩を休ませるとは。

かつてないことぞ。

まさかお墓で一休みすることになろうとは。

っていうか、最初はこんな暑い中を歩いて観光しようとしていたのだからな。

無理な話だ。

続いて向かうのは、タージマハルの対岸。

シャージャハーンが黒いタージマハルを建てる予定だった所だ。

「庭園に入って右に曲がるんだ。
 川原に行ったら子供が沢山寄ってくるけど、ノーと言うんだ」

ウーム、正直苦手なんだよね、そういう所。

庭園に入っていって、右に曲がると、タージマハルの真裏に出た。

おー。なるほどねー。

裏から見ても表から見ても全く同じというのが趣深い。

昔の人の測量技術と建築技術には恐れ入る。

河原では牛が放牧されていて・・・こっちにかけてくる子供が1人。

・・・。

「ちよこれいと?ちゆーんがむ?すくーるぺん?」

偽「ノー。持ってない」

どうせ英語は分からないんだろう。

とにかく写真を撮って帰ろう。

「ちよこれいと?ちゆーんがむ?すくーるぺん?」

・・・。

こら。

勝手にカバンをのぞくな!

若干怒れてきたので、無視して帰ることにした。

うーむむむ・・・。

この子に悪気が無いのは分かるんだが、正直強引な手法は気に入らん。

あっち行け!と言うのは可哀相だから、我輩があっちに行こう。

じゃあねボーイ。

リクシャーに戻ると運ちゃんが言った。

「みんなは1ヵ所2時間ぐらい見るのに、君は早いね(おかげで全く休めないよ)」

偽「暑いからね」

「確かに今はインドは観光シーズンではないな(笑)」

・・・おっしゃる通り。

ますます暑いし、たまにチャリのスピードが上がると、

鼻から喉へ熱風が抜けて、火傷しそうじゃい。

来た道を折り返し、アーグラーのバザールに入っていく。

雑多な中を、牛と一緒に進むリクシャー。

牛さんが歩いていると、全てが止まる。

ただでさえ混雑しているバザールは、さらに大混雑だ。

最後の見学ポイントは、バザールの中にあるジャマー・マスジット。

入ろうとすると、少年に呼び止められ、靴を脱ぐように言われた。

そしてその靴を預かってやると言っているようだ。

預けると、後々めんどくさいので、持って入る。

石床は想像以上に熱く、熱さ避けのための絨毯の上以外歩けないほどだ。

このモスクは改修中で、そうなると、我輩の観光意欲も激減。

ササッと見て退散することにした。

「これで観光ポイントはオシマイだ。駅に行くけど良いか?」

列車の時間にはまだまだ早く、駅で3時間近く待つことになりそうだ。

夕暮れのタージマハルを見てみたいとも思ったが、まぁ良いかということで、

アーグラー駅に向かってもらった。

何だか長かったアーグラー観光も、これで終わりか。

頑張ってチャリンコをこいでくれた運ちゃんに感謝もこめて、100ルピー足して支払った。

すると彼は、金を確かめることなくポケットに入れた。

アンタは本当に良い人だったんだな。

記念に写真を撮ってから、我輩は駅に入った。

ホームにはかなりの数の人が座ったり寝たりしていて、それはまだ良いとしてハエが多い。

それは何とも苦痛だったので、駅前をフラフラ歩いてコーラを飲んだり、

ベンチに座ってひたすら時間を潰し、

やっとニューデリー行きのシャタプディーエクスプレスが到着したのは20:20。

こんなに駅で待つぐらいなら、タージマハルでも何でも行ってもらえば良かったわい。

アーグラー駅を出てすぐに、晩飯が運ばれてきた。

カレー2種とご飯にナン。

カレーは美味しかったのだが、豆カレーは舌に合わず、ほとんど手付かずでお残しした。

ちなみにインドの人は食事の時には左手を使わない。

それは、カレーと、う○こが混ざらないようにということになるわけで、

それが実に上手に右手だけでナンをちぎるのである。

我輩にはとてもあんな芸当はできないので、左手を使ってナンをちぎると、

横の男は、ギョッという顔をしていた。

いや~、別に我輩は混ざらないからね~。

食い終わってから少し寝て、起きたらニューデリーだった。

・・・そういえば、あのオートリクシャーの運ちゃんは

迎えに・・・来てるハズがないわな。

まぁタクなんて探さなくても、駅前をフラフラしてれば、

蜜に群がるカブトムシのようにドライバーが集まってくることであろう。

「どこへ行くんだ?ホテル?よし、オレのに乗れ」

・・・ほらね。

偽「インド門の近所のブロードウェーホテルだ。分かる?」

「分からんが、インド門でいいのか?」

偽「おK」

変な方へ走られては困るので、

昨日空港から送ってもらった道を必死に思い出していると、

ここは左だろ!という角を右に曲がった。

夜で真っ暗だけど、あそこは左のハズだ。

偽「オイ運ちゃん、オレはインド門に・・・。ちゃうわ。
 私のホテルはデリー門の近くです。ごめんちゃい♪」

「デリー門?デリー門で良いのか?サー、ホントに場所分かってるよな?」

偽「分かっております・・・」

とはいえ、下手に出ながらも、ぼられないようにしっかり道は見ていかねばならん。

まぁすでに駅からは随分離れてしまったし、何にも分からないんだけどね。(T_T)

「サー、着いたぜ。デリー門だ。アンタのホテルはどこなんだ?」

偽「あ~・・・もう歩いていくから降ろしてくれ。」

料金は、当初150ルピーと言っていたが、120ルピーにしてくれた。

実は良いヤツだったのか運ちゃん。

何となく道は分かったので、己の信ずるままに、

寝転がる人々を避けながら歩いていると、ホントに着いた。

そして受付には、今朝ドライバーが来なかったことを知ってる人と、

そのドライバーを紹介した人が雁首揃えて立っていた。

テメェこの野郎!!

偽「Hey,sir!!ドライバーは朝来なかったし、さっきも駅にいなかったぞ!」

声を荒げると、ドライバーには理由を聞いておくと言って、

すんなり500ルピーを返してくれた。

何だか疲れたわ。

とりあえずもう寝ちまおう。

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