17 Feb-

2:00。

トランクス一丁だったので、さすがに寒くて目が覚めた。

NHKがやってて、長崎・五島列島の特集をしていた。

我輩が「行くべき日本」第三位に認定した五島列島である。

懐かしいなぁと思いつつ、寒すぎるのでシャワーを浴びることにした。

が、シャワー冷てぇよ!!

あまり浴びては風邪を引くと思い、さらっと浴びて二度寝。

さらに三度寝。

7:00起床。

ホテルの真ん前が昨日走った幹線道路の6号線なんだが、

クラクションうるさ過ぎ!!

予報通り、天気は曇りだ。

うーむ・・・。

朝飯はバイキング。

ホテルの客はほとんど日本人。

独りで来ているのは我輩だけだ。

しかし・・・。

生野菜に気を付けろ

水道水は絶対飲むなと言われては、

とてもモリモリ食う気など起きるハズがない。

しかも我輩という人間は、元々「食」に全く興味が無い。

その気になればメシも食わないで観光も出来る。

おまけに胃腸もさして強くないとなれば、朝飯は言わずもがな。

2、3口のピラフとベーコン1枚だけを食べ、朝飯終了。

しかし暑い・・・。

蒸し蒸しする。

ヤバいなコレは。

さて、部屋で準備を整える。

「遺跡巡りの際には、虫除けをお忘れなく!」と言われていたので、

日本から持ってきた虫除けスプレーをまんべんなく吹き付ける。

モン・サン・ミッシェルのような悲劇はもう御免こうむりたいからな。
※イタリア・フランス旅行記参照

8:30ロビーへ。

あ、いた。

ホニャララさん。

おや、名札を付けてきたのか。

Mr.ロットさんね。

偽「今日は天気大丈夫ですかね」

悪くなりそうなのは事前に確認済みだが、あえて聞いてみる。

すると、

「大丈夫と思います。朝日もキレイでしたYO!」

そうなのか?

なかなかドライバーが来ないので、ロットの携帯自慢が始まった。

写真・動画・辞書・カラオケ・MP3機能など。

チキショウッ

我輩も携帯を持ってきていれば、

400万画素写真機能でKOしてやるのに!

日カの熱い携帯機能対決は、次回持ち越しとなった。

ちなみに、カンボジアで一番売れてて高い携帯は、

Mr.ロットの持ってるNOKIAらしい。

それが一番の自慢か・・・。

8:35、ドライバーが到着。

午前中は、まずアンコールトムを見学する。

ホテルを出て、すぐにバイク事故に遭遇。

こちらでは、自分達で解決するらしい。

それより驚くべきは、走っている車。

もう見渡すかぎりのカムリなのだ。

新旧入り乱れてはいるものの、カムリだらけである。

日本でいうカローラ?

そんなもんじゃない。

走ってる車がみんなカムリなんだから。

まさにカムリ天国。

これには驚いた偽スナフキンであった。

かくいう我々もカムリに乗って、シェムリアップの市街地を走り抜けていく。

市街地とはいえ、一本奥に入ると、そこは途上国の町並みである。

ある角では紳士靴を売っていた。

革なのか合皮なのかといえばおそらく合皮なのだろうが、

見ている人にそんなことを気にする人はいないように思われた。

カムリはさらに屋台が立ち並ぶ街中をビュンビュン走り抜けていく。

速度計がマイル表示だからピンとこないが、

かなり速いんじゃないかコイツ。

っていうか、そんなに追い抜きしなくていいって!

そもそも車間狭すぎだぞ!!

怖ぇぇっ!!

バンパーがMC5(マジでチューする5秒前)だ!!

いや大げさじゃなく、自分で言うのもなんだが、

我輩が言うのだから、車間は相当狭いのである。

しかし車間は狭いくせに、ブレーキングは極めてスムース。

うーむ、アリエナイドライビングテクだ・・・。

コイツはオレのライバルとなりそうだな・・・。

怖がりながらも感心していると、Mr.ロットのガイドが始まった。

「左の建物は、子供専門の病院ですYO!

カンボジアでは12歳までは無料で診てもらえますNE」

ほぅ。

ここで、疑問をぶつけてみた。

偽「水道水は絶対飲むなと言われてるんだが、カンボジアの人は何を飲んでるの?」

「水道水はホテルだけですNE。

みんな井戸水を飲みますYO。

水が悪くて、蚊が多いから、カンボジアの12歳までの子供はよく病気しますNE」

なるほど、それで無料なのである。

しばらく走ると、ゲートがあって、

そこでアンコール遺跡群見学用のパスポートを発券してもらう。

日本で撮ってきた証明写真を渡してあったので、Mr.ロットがパスポートを取りに行った。

随分時間が掛かったので、ドライバーもカムリから出たり入ったりそわそわしていたが、

無事GETして戻ってきた。

写真すり替えの使い回しを防ぐため、ラミネートされている。

林道のような道をまたしばらく走っていくと、川のようなのが見えてきた。

「あれがアンコールワットです。

これはお堀ですNE」

あれですか!

何ともあっけない登場だアンコールワット!!

「アンコールワットは午後見ますNE」

カムリはアンコールワットの前を通り過ぎ、さらに林道のような道をいく。

するとゾウが見えた。

ゾウがいるゾウ。

背中に座席のような物を背負っているので、

明日乗る予定なのはあんなゾウなのかなぁと思っていたら、カムリが停まった。

「着きましたYO」

どこに?

「あのゾウに乗って下さい。

私たちはバイヨンの前で待ってますから」

明日じゃなかったのか!?

ぶぅぅーーん・・・
↑カムリ去る

あぁMr.ロット、行っちまうのか!?

心の準備もないまま、独りゾウに乗せられる我輩。

ゾウ使いはまだまだ若そうな少年。

背中には「Tips」 と縫い付けられたポケットが。

まぁ降りる時に入れてやるか。

南大門からアンコールトムに入り、ゾウはのっしのっし歩いていく。

意外に速い。

そしてその背に乗る我輩は、見せ物である。

バシバシ写真を撮ってやがる。

世界各国のご家庭に、

ゾウに乗る太陽王の写真が収蔵されることになろう。

崇めよ。

我輩を崇め奉れ!!

ぬははっ

15分ほどかかって、アンコールトムの中心、バイヨン寺院前に到着した。

ジャヤヴァルマン7世が建築した、

ヒンドゥー教のヴィシュヌ神を祀るこの寺は東向き。

神様は東からやってくるから、寺は東向きなんだそうな。

ちなみに墓であるアンコールワットは西向きだ。

そして、こちらの寺は山のような形をしている。

これは、神様は山の上にいると考えるからだそうだ。

壁面にはビッシリと彫刻が。

女神やチョンパー軍(今のベトナム)と戦うカンボジア軍の絵、人々の暮らしが中心だ。

ちなみにこれは狩りの場面。

「シカを狙ってますNE。

でも後ろには虎がいますYO。

残念でしたNE」

うーむ、ご愁傷さまである。

「志村ッ、後ろッ後ろ~の図」

と名付ける。

Mr.ロットに知ってるか聞いてみようかと思ったが、

知ってるわけがないので、胸に秘めてさらにガイドを聞く。

塔には顔があって、何だかそれが東南アジアっぽさを醸し出してるじゃないの。

お堂では占いをやっていた。

カンボジアでは結婚前に占いをするそうな。

占い結果が良くない結婚はうまくいかないんだと。

王様にもお抱えの占い師がいたというから、占いがいかに重要かは言うに及ばず。

最後に顔と一緒に写真を撮って、バイヨン寺院を後にした。

隣にあったバプーオンという寺は修繕中のため、

外から見ながら歩き、さらに隣の寺でひと休みとなった。

我輩は別に休みたくもなかったが、Mr.ロットが言うならやむなし。

観光とは関係ない雑談をした。

我輩がたくましいなぁとつぶやいたのがきっかけで、まずはカンボジアの子供の話。

義務教育は無く、授業料も無料だが、

貧しく子供も多いので、学校には行かないらしい。

我輩の周りに絵葉書やガイドブックを持って集まってくる子供を見ては、

自分はこの子達ぐらいの時って何をしてたかなぁと思った。

そしてカンボジア国土の話。

カンボジアにもゾウがいるらしいのだが、

大半は内戦時にタイなど周辺地域に逃げてしまって、

今では一部の山奥にだけ生息しているらしい。

話は内戦から、政治の話へ。

賄賂まみれなのは、どこの国も同じようだ。

日本からの寄付金も、人々には渡らないらしい。

悲しい現実である。

ひと通り喋ると、「さぁいきましょうか」ということになった。

ゾウのテラス、ライ王のテラスを見て回る。

ゾウのテラスは、かつて王が民に謁見した所と考えられている。

その横がライ王のテラスだ。

二重になっている壁の隙間を歩いて見学。

彫刻がキレイ。

テラスには、王さまの像があって、

らい病にかかっていた王様ともエンマ様とも言われているそうだ。

これで、ひと通り午前中の観光は終わり。

昼飯にはまだ早いらしく、土産屋で時間を潰してくれ、ということになった。

我輩にしてはかなりのんびり見て回ったつもりなんだがな・・・。

こんなことなら、もっとゆっくり見させてくれればよかったのに。

さて、土産屋。

随分キレイな建物だ。

肩に「30%ディスカウント」のシールを貼られて中に入る。

すると、一人の売り子が、ビタッと我輩をマンマーク。

何だこの展開は・・・。

前にも確か同じことが・・・。

微かなデジャヴーをたどると、そこは南稚内。

とある電気屋。

デジカメの電池を買いに入店した我輩を、やはりビタッとマークするふくよかな店員・・・。

あぁっあの場面かッ!!
↑お詫びメールが来たため、当時の記述は削除済

とりあえず知らんふりをして、店内を歩く。

会社の土産なんかを買っちゃおうかと思ったんだが、お菓子系の土産は何もないな。

仏像のオブジェやスカーフ、定番のキーホルダー。

このキーホルダー金千五百円也もしやがるじゃねーか!

「キラキラ光ってカワイイNE!

いちいち商品説明をする売り子。

悪いが、無駄金を落としていくつもりはないんでな。

シビアにいかせてもらうぜ。

しかし何もねーなーと思っていたら、

あまりに無反応な我輩にたまりかねてか、売り子が言った。

「一体何欲しい?」

偽「見てるだけ!!」

一蹴。

ウンザリしてきたので、入口で談笑していたMr.ロットの所へ。

「もういいですか?」

十分過ぎる。

レストランはやはり開放的。

屋根付オープンカフェというかなんというか。

ファンタオレンジをやはり缶のまま飲むと、料理が出てきたんだが・・・

生野菜がどうしても食べられなかった。

だって、今掘ってきました!
大丈夫、ちゃんと洗ってあります!

みたいなヤツやで。

みずみずしさも何もない人参や芯のようなキャベツ・・・。

無理です。

ラーメンみたいな食べ物はまぁまぁ美味かった。

・・・が、この生野菜を機に、我輩はほぼ断食の道を歩むこととなる。

ちなみにレストランの向かい。

我輩は動物園かと思ったのだが、ナイトクラブだそうだ。

青空ナイトクラブ・・・??

気になる施設であった。

14:30までホテルで昼休みするスケジュールになっていたので、

ホテルに送られ、ひと休み。

別に街中を歩いても良かったんだが、おとなしく休むことにした。

あーシャツが汗でビタビタ。

首からぶら下げていたパスポートもビタビタになってしまった。

とりあえず寝まきに着替えて、インドのチャンネルを観ながら休んだ。

Zzz・・・。

 

-目が覚めると、外が何だか暗い。

嫌な予感がしてカーテンを開けたら、おそるべき土砂降りだった。

雷もビッカビカ。

何なんだこれは・・・。

セントレアに置いてきた「環境に優しいビニール傘」の呪いじゃあるまいな。

再び虫除けスプレーをかけまくり、14:30、

ロビーに降りるとMr.ロットが待っていた。

偽「鍵預かってて」

「・・・」

やはりホテルの係員も何も言わない。

あれだけ降ってた雨はほとんど止んだ。

見たかMr.ロット、

これが太陽王の奇跡だ。

ちなみにMr.ロットの家は、スネまで浸水したらしい。

たった1時間降っただけなのに・・・。

午後は、待望のアンコールワット見学である。

またしてもカムリに乗り込む。

Mr.ロット、わざわざドアの開け閉めしてくれなくてもいいぞ。

道路は冠水してエライことになっていた。

まるで大洪水の後のようだ。

カムリは水しぶきを上げて走る。

雨季はさぞ大変だろう。

朝と同じ道を走り、チェックを受けてアンコールワットへ。

来たぞアンコールワーット!!

スールヤヴァルマン2世によって建てられましたYO!

ヴィシュヌ神を祀るヒンドゥー教のお寺にして、

スールヤヴァルマン2世の墓なのだ。

堀を渡っていく。

橋の半分が崩れているのは、地盤沈下のせいだ。

お、子供が水浴びをしているぞ。

「ここでは、水遊びや洗濯をしますYO」

・・・。

まぁ城のお堀で泳いでいるのを想像すれば、間違いはあるまい。

アンコールワットには5つの門があって、

正面が王の門、両隣が般ピー(一般ピープル)の門、さらにその両隣がゾウの門。

我々は般ピーの門その2から入った。

なぜ王の門から入らないんだと不満に思っていたら、

般ピーの門にはでっかいヴィシュヌ神の像があって、

裏側には女神像のレリーフがあった。

この女神像のレリーフは「テバター」といい、

アンコールワットには全部で約二千個あるらしいが、

歯を見せて笑っているのはこれだけらしい。

レア!!

なるほど、コレが見せたかったのか。

やるな、Mr.ロット。

おー、本堂っぽいのが見えてきたぞ!

「塔が3本見えますNE。

これがあっちから見ると5本になりますYO!」

何言ってんだMr.ロットと思っていたら、ホンマやんけ!

ぐっじょぶMr.ロット。

ぽつぽつと雨が降りだす中、第一回廊を見学。

壁には彫刻がビッシリだ。

ラーマーヤナや王の行軍、天国と地獄の図などなど。

ふーむ。

ちなみに日本人の感覚では当たり前だが、触ってはならない。

一部をご紹介。

天国と地獄の図より。

地獄に落ちた人が舌を抜かれるの図。

もう一度。

嘘をついた人間が舌を抜かれるの図。

One More Time.

嘘つきが舌を抜かれるの図。

我輩を欺いた心当たりのある者ども、反省せよ。

カンボジアで考えられている地獄とは、

日本より壮絶で、基本的には地獄には行かせないらしい。

これは、正面の裏にある有名な「乳海撹拌」

世界を表す亀の上に山があり、山に蛇を巻き付け、

この蛇を鬼と神様が引っ張りあう。

すると山がグリグリと回転して、

そこから魚やアプサラ(女神)など色んなモノが生まれてきたらしい。

そもそも何で引っ張りあうかっちゅうと、不死身になる薬をGETするためで、

最終的には神様がGETしたそうな。

オシマイ。

これは、王の門の真裏。

般ピーの門の真裏にはちゃんと階段があるのだけど、

ここにだけは階段が無い。

さて、ここでクエスチョン。

何で王の門の裏には階段が無いのでしょうか。

スーパーひとし君で挑戦してくれ。

第一回廊から第二回廊。

第二回廊には彫刻はなく、仏像が何体か置かれているのみ。

ちなみに、アンコールワットに限らず、カンボジアの仏像のほとんどは頭がない。

かつて宗教戦争が起きたときに、ヒンドゥー教徒によって切り落とされたそうだ。

「第三回廊に行きたければどうぞ。

私は下で待ってますYO。

ゆっくりどうぞ。

降りる時は手摺りのある階段を使って下さいNE」

何だよ来ないのかMr.ロット。

で、急な階段をせっせと登って第三回廊へ。

てっぺんだ。

朝見学したアンコールトムが見える。

とりあえずぐるっとひと回り。

本尊っぽい仏像にも、やはり頭はなかった。

第三回廊を堪能し、急角度の階段を降りて、第二回廊に戻る。

「次は夕日を見に行きます。

たぶん見れないけど。

まだ時間が早いので、少し休憩しましょう」

また休憩かMr.ロット。

我輩がいつもの強行軍スケジュールで見て回るもんだから、

どうやら時間が余りまくっているらしい。

また色んな話を聞いた。

中でも印象に残ったのが、カンボジアの歴史の話。

そもそも、一面のジャングルの中からアンコールワットを見つけだしたのは、フランス人。

以降アンコールワットの本が出ているが、ほとんどフランス人の書いたものらしい。

度重なる内戦と戦争で記録は失われ、

カンボジア人だけでは、自国の歴史が分からないんだそうだ。

「学校にも行かないですしNE」

何だか歴史なんかより、今の自分に精一杯!という感じがした。

温室純粋培養の自分とは違うのである。

「さぁ行きましょう」

次はプノンバケンという山に登って夕日を見る。

まぁこの天気だから、夕日なんて見れるわけがないのだが。

余談だが、ここでもゾウのタクシーがあって、歩かなくても登れる。

どうせならここで乗せてくれれば良かったのに・・・と思いながら、せっせと登ってまた休憩。

Mr.ロットも時間つぶしに四苦八苦している模様。

さぁどんどん行こうぜロット。

すると、脈絡もなくMr.ロットが言った。

「彼女はいませんNE。

私もいません。

さぁ行きましょう」

待てロット。

なぜ知っている。

カンボジアでそれを知っているのは、昨日現地妻に名乗りを上げた女の子だけのハズ。

全く脈絡ない上に断言しやがって。

許すまじロット。

怒りを静めつつ、後をついていく。

山の上には寺があって、これはアンコールトムやアンコールワットより古いものらしい。

なるほど、崩れっぷりもそれを物語っている。

その寺のてっぺんで、夕日を見ようという粋な企画である。

カンボジアではかなり有名な夕日スポットらしい。

・・・が、前述のとおり、今日は曇り。

結局夕日など見れるハズもなく、

アンコールワットの遠景や、広がるジャングルを見て終わった。

山を下りたら17:00。

晩飯は18:30かららしく、やはり時間が余ってしまった。

「オーロラマーケットに行きませんか?」

オーロラ?

おぉ行こうじゃないか。

「古い市場という意味です。

観光客は、みなココ行きますNE」

オールドマーケットか・・・。

しかし、太陽王として民の暮らしは見ておきたい。

行こう行こう。

カムリは市内をクリクリと走って、水浸しの道路で停まった。

「着きましたYO」

む。

足元はドロドロ、ひどいもんだ。

「18:30までNE。

あ、お金に気を付けて。

盗られないように」

確かに気を付けた方が良さそうだな・・・。

そう思って市場の方を向いたら、いきなり片腕の男が声をかけてきた。

いきなり動揺しながら、市場へ。

中は暗い。

「兄さぁん兄さぁん」と声をかけられるお土産コーナーを抜けると、

ほとんど真っ暗。

足元はやはりドロドロ。

中央部は市場。

野菜・果物・魚などが売っていた。

しかし臭い!

土と果物と、そして酸化したような酸っぱいニオイが充満している。

しかも暗い中に浮かび上がる人の顔が不気味すぎる。

すれ違うガキすら悪党に見える。

写真で見た、明るくて色とりどりの食物が売っている市場とは大違いだ。

ヤバイ。

これ以上息をしては吐く。

そう思った時、目の前の板のカウンターに、

肉がどちゃっどちゃっと無造作に置かれた。

ぐぇ・・・汚い・・・。

ぬかるむ道を引き返すことも考えたが、それもイヤだ。

意を決し、歩を進める。

ジモッティがバケツで買い物をしている。

よく食えるな・・・とも思うが、ここで買い物が出来るのは、まだ豊かな人なのであろう。

市場を突っ切り道路に出ると、水溜まりだらけ。

泥に足を取られながら、別の入口から入る。

この筋は土産屋がほとんど。

臭くもない。

「お兄さん、これ牛の革。

本物YO。

1ドルNE」

明らかに牛じゃないだろ。

犬とかじゃないのか。

イタリアの出店の方がよっぽどマシやな。

筋を通り抜けて、また違う入口から入り直した。

これをあと2回繰り返し、もういいだろうということで、Mr.ロットの所に戻った。

結局20分しか潰せなかったが、もう限界だ。

買い物をする気もないし、市場の周りは施しを求める人、多数。

もうここにはいたくない。

偽「もう十分ス」

「じゃあ少し早いですけどレストランに行きます」

レストランはすぐ近く。

アプサラダンスというショーを見ながら食事らしい。

ショーは19:30かららしいので、随分待つことになるな。

食事はバイキングだった。

だが、先程市場で食欲を失った我輩は、食べる前から戦意喪失。

Mr.ロットが美味しいと言っていた「焼きバナナ」も食ってみたが、

あれは無理ですYO!

半分残した。

ダメだ。

やはりクメールテイストは全く舌に合わない。

ファンタを飲みながらこれを書き、ショーが始まるのをひたすら待った。

19:30、ようやく始まった伝統舞踊は1時間ほど。

席が良かったので、ゆっくり見れた。

ビシッと動きが揃ってるわけではないのは、お国柄だろう。

ショーが終わると、さっそくMr.ロットが迎えにきた。

「踊り子と写真撮りたいですか?」

偽「いや、いい」

「じゃあ行きましょう。

恥ずかしいですか?」

黙れロット!!!!

そこに直れ!!

キェェェエエェェェェッ

またつまらんモノを斬ってしまった。

偽「明日の天気予報は分かる?」

「多分分からないと思います」

うーむ・・・。

明日は7:30にロビーに集合。

天気が良ければロモーで迎えにきますから、と言われ解散。

明日の夜は早くも帰国か・・・。

今夜中に少しは荷物をまとめねばならんな。

・・・とは思ったものの、やはりビタビタになったシャツを脱ぎ、シャワーを浴びたら爆睡であった。

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