16 Feb-
序章の通り、 かつての毒牙を取り戻した我輩が次に目指したのはアンコールワットである。 順調に休暇が取れたのも、日頃一生懸命仕事に励んだ我輩の・・・ いやいや、順調な休暇取得にご協力下さったお客様のおかげである。 お客様は神様です。 あぁありがたやありがたや。 今回の旅は、初めてセントレア発となる。 気合いを入れて行かねば! ・・・という気持ちとは裏腹に、我輩の体調は芳しくない。 というのも、先週は著しく風邪気味となり、今はお腹が下降傾向なのだ。 何かの旅行本で読んだのだが、 腹痛・下痢の類というのは、大半は神経からくるものらしい。 海外独り旅というプレッシャーなのか、昨日食ったクッパのせいなのか・・・。 いつものごとく、やはり前日は全く眠れず、 2:30にようやく寝て、6:30起床。 バタバタと支度をして、7:20に出発となった。 今日の名○屋は雨降り。 現地の天気予報も、我輩がいる間だけ曇り時々雨。 うーむ。 太陽王の出発には非常に相応しくない天気&天気予報である。 最近の名○屋は暖かく、今日も暖かい。 現地はかなり暑いらしく、コートを着ていかずに済むのは幸いである。 セントレアへは名鉄で。 電車は何故か激混みで、どうせ途中で降りるだろうと思ったら、 皆様セントレアまでご同行であった。 こんなことなら指定席を予約しておくのだった。 イライラしながら、8:15セントレア着。 まずはコンビニへ行って、パスポートのコピー。 そしてクリスタルガイザーとカロリーメイトを買った。 彼らが後に救世主となることを、我輩はまだ知る由もなかった。 ツアーカウンターで航空券を受け取ると、ツアー会社の人が言った。 「トランジットの航空券が無いので、チェックインの時に発券出来ないか確認して下さい」 は? 早くもトラブル発生か? 「普通は今お渡し出来るんですけどねぇ」 頼むから普通にしてくれ。 ホテルなんかのバウチャーも無かったので尋ねると、現地係員が持ってるとのこと。 目的地のカンボジア・シェムリアップ空港で、札を持って待っているらしい。 さて、さっそくチェックイン。 トランジットの航空券を発券出来ないか確認したところ、 バンコクでJAL→PG(バンコクエアウェイズ)の乗り継ぎとなるため、 現地での受け取りになるらしい。 「え~・・・それは具体的にどういう手続きになるんでしょうか」 「トランジットのカウンターがありますので、そこで発券を受けて下さい。 あ、荷物はシェムリアップでの受け取りになります」 「体だけ動けば良いんですね?」 「はい」 「体だけ動けば良いんですね?」 「はい」 2回確認をとった。 っていうか、どうやって受け取るのだ。 未だにチェックインに慣れない身としては、不安極まりない。 とりあえず保安検査を通って出国審査をパス。 セントレア到着からここまで約20分。 慣れたもんである。 しかし気合いを入れ直していくぞ! 便所で荷物チェックをし、いつものごとく、鍵は靴の中へ。 ん・・・環境に優しいビニール傘が邪魔だな。 これはウッカリ便所に忘れてしまうかもしれんな・・・。 準備を整えて、これまたいつものごとく、スタバへ。 このホットココアとチョコスコーンがリラックスをくれるのだ。 そういえば、奇しくも今日は愚弟もヨーロッパへ旅立つ日。 なんちゅう金も(←金持ちの略)な学生だ。 ヤツはもう飛んだな。 我輩も行くか。 あ・・・環境に優しいビニール傘を便所に忘れてきた。 惜しいがやむなし。 仕方なくあきらめるとしよう。 9:45、22番ゲートへ。 もう一度便所に行くか迷ったが、 ちょっと緊張して便意をもよおしているだけだと自分に言い聞かせ、搭乗を待つ。 異様に緊張してきた。 やはり海外独り旅のこの緊張感は良い! なんて悦に入っていたら、搭乗機はキャセイパシフィックじゃなく、 タイ国際航空であることが判明。 「キャセイパシフィックで行く・・・」じゃなかったのか? まぁだからどうしたということはないのだが、 こういう予期せぬ事態がより緊張感を増幅するのである。 搭乗機が本当にこれで良いのか確認するために バタバタと出国ロビーを走り回り、ようやく腹をくくった。 マイル登録をして、10:00搭乗。 後ろから2列目。 真ん中3席の通路側だ。 どうやら横は日本人。 UK以来、横の人間には過敏なのでな。 お・・・スッチーは皆、伝統服っぽいのを着ている。 まるで機内は三流キャバクラである。 行ったことないけど。 馬鹿なことを思っているうちに、JAL5115便は花道をゆっくり走っていく。 前のガルーダインドネシア航空が離陸していくのが見えた。 いよいよか。 いざ行かん三度目の海外へ! おーっ きたきた久しぶりのG!! アムロ行きまーすッ!! うをっ荷物棚が開いたぞ! 大丈夫かタイ国際航空!? こうして独り盛り上がる阿呆な旅人を乗せて、 JAL5115便は、10:46、大空へ飛び立ったのであった。 バンコクまでは、2701マイル。 約6時間だ。 離陸から20分、早くも和歌山の南、ホエールウォッチングの海の上。 すぐに飲み物が出てきた。 英語ではなく、片言の日本語で話し掛けてくるのだが、聞き取れない。 ワゴンを見渡して、目についたアップルジュースをもらう。 偽「アポー(Apple)」 「・・・」 何か言いなさいよ。 しばらくのんびりしていたが、トランジットの発券を思い出した。 ツアー会社にもらった案内を片っ端から読みまくると、 トランジットの説明書きを発見。 なるほど・・・ザ・ワールド・・・。 どうやら普通に出来そうだ。 が、しかし・・・。 間違いなく旅の難度はUPしているな。 安心したら眠くなってきた。 航路の案内があったが、今回の飛行機には個別のテレビがないため、MAPも見れない。 こうなると、通路側で景色も見れない我輩には、眠りの神様が遊びに来るのである。 JapaneseTeaをもらってウトウトしていたら、メシで起こされた。 「ポークカリー・・・ポークカリー・・・」 偽「ポーク」 「ポークカリー?」 ポークかカレーかと思ったら、ポークカリーしかないようだ。 トレーを見て呆然。 刮目すべきは、汁気の全く無い、味噌のようなカレーだ。 どっからどう見てもマズそうだぞ。 実際味は大したことはなく、もそもそと食った。 メシが終わると、映画が始まった。 「Cake」と「Walk The Line」らしい。 興味をそそられる程ではない。 しかし、さっきのカレーのせいで寝れない。 やむなく「Cake」を観た。 クサイ恋愛映画。 くっっさー。 カレーよりクサイわ!! 心の中で最大級の罵声を浴びせた後、少し伸びをしに散歩。 今回は景色も海ばかりで楽しくない。 とにかく暇なので、タイのオールドミュージックを聴きながら、 カンボジア入国手続きについて復習。 そういえば、目覚まし時計買ってくるの忘れたなぁと思っているうちに、ようやく眠れた。 ・・・と思ったのに、その安眠も長くは続かなかった。 お茶菓子が出てきたのだ。 あぁ眠い。 寝ようとすると何かある。 厳しいぜ神様。 お昼寝ぐらいさせてくれ。 そうこうしているうちに、到着まであと1時間半。 もう寝れない。 本でも読むか。 今回持参したのは、またしても椎名誠。 ハマってんじゃないかと? いやいや、旅行記みたいに何も考えずに読める本は、気が楽で良いのだ。 さて、高度が下がってきた。 いつものごとく、決死の耳抜き。 天気は良さそう。 気温は33度とのこと。 暑そうだな・・・。 女性客には花が配られ、16:53、ドン・ムアン国際空港(バンコク)に着陸。 飛行機を降りると、早くも暑い! 暑いぞこりゃ。 到着ゲートからずいーーっと歩いて、トランジットの発券カウンターへ向かう。 通路にはパキスタンっぽい人が寝たり、 インドっぽい人が歩き回ったり、サウジっぽい人がにこやかに話をしている。 今までの旅行とは明らかに違う光景だ。 さて、トランジットカウンター2。 「・・・」 やはり何も言わない係員。 さっきのスッチーといい、対日感情の良くない国なんだろうか。 黙々と作業をしている。 いや、我輩は日本人じゃなくて韓国人だと思われているかも・・・。 「荷物の札を見せて」と書いたプラカードを黙ってみせる係員。 何? SkyTourって札か!? あれは確か機内預かりの荷物に付けちまったぞ! 焦り始めた時、航空券と一緒に荷物預かり証みたいなシールをもらったのを思い出した。 あれかっ!? ゴソゴソとカバンをあさったら出てきました。 手荷物合符! 渡すと、また黙々と作業が再開された。 ヨシヨシ。 偽「Window Seat?(窓側空いてる?)」 「ペラペラペラペラペラリーノ」 ようやくしゃべったか。 何を言ってるかはサッパリだが、表情からして空いてなさそうだ。 ま、夜のフライトだから、どっちでもいいんだけどさ。 航空券と青い飛行機のシールを受け取った。 シールは肩に貼れ、とのこと。 さて・・・ブラブラと免税店街を歩く。 さすがはアジア、エスニックな香りがぷんぷんするぜ。 ブラブラブラブラブラリーノと歩き回ったが、 いつまで経っても電光掲示板に搭乗便が表示されないので、もう搭乗口に行くことにした。 相変わらず保安検査でひっかかりながら、77ゲートへ。 しかしこいつは失敗だった。 77ゲートは何もないただの待合室だった。 っていうか、バス乗り場だった。 あと1時間半もあるぞ。 暇過ぎるので、狭い待合室を歩き回っていたら、カンボジアのVISA申請書があった。 今日最大の難関は、VISA取得である。 地球の歩き方と睨めっこしながら、懸命に書いた。 コイツが一発で通ってくれることを祈る。 ツアー会社いわく、簡単とのことだったが、多少の英語力が必要であると思われた。 にしても暇だ。 待合室のテレビも、どっかの阿呆が電源を抜いて、 自分のPCに繋いでDVDを観てるもんだから、観るものもない。 何だってんだ一体。 徒然なるままに時間を潰しまくり、便所にも行って万全を期す。 そして定刻から20分遅れた19:45、バスで飛行機に送られることになった。 くそぅ、相当に時間を無駄にした。 しかもあんなに時間があったのに、また目覚まし時計を買い忘れた。 無念。 バスは空港内を走り回り、飛行機前に到着した。 ぃやっはっはっはっ やはりプロペラですかーっ! 与那国並だぞこりゃ! 乗り込んだ客の大半は日本人。 何故こんなにたくさんの日本人が・・・。 海外に来たら、あまり日本人には会いたくない。 よって我輩は、相当にガッカリした。 横の東京から来たというオバハンが言うには、 多くはライオンズクラブの人々で、カンボジアに寄付をしているらしく、 何かの建物の竣工式があるらしい。 何だか崇高な人々である。 お・・・プロペラが勢い良く回り始めたぞ! 行くのかプロペラ!! よし行けっ!!! ぶいーーーぃぃぃん・・・ いや~・・・飛んだ飛んだ・・・。 何だか感動的ですらある。 シェムリアップまでは55分。 外は雲で何も見えない。 さて、メシが出てきた。 しかしフライト時間は55分なわけで、 そのうち20分ぐらいは着陸に使うわけだから、のんびりする時間などほとんど無し。 メシはさっさと下げられて、プロペラ機は21:12、シェムリアップ国際空港に到着。 来よったでカンボディア! チョムリアップスオーッ!! まさかこの国に来ることになるとは思いもしなかったわいな。 で、シェムリアップ国際空港。 かなり小さい。 石垣空港並。 プロペラ機を降りてから、建物までは徒歩。 ぬをっ暑い! メガネが曇るぞ! まずはVISAの発券。 おそるおそる書類を渡す。 「How long stay?」 偽「3days.」 「3days ペラリーノ」 何だ? よく分からんが、隣のカウンターで渡されるらしい。 係員はきわめて無愛想。 黙ってパスポートの顔写真を見せ、金を受け取っている。 我輩が行くと、女の顔写真を見せられた。 偽「No.」 係員は黙ったまま、今度は我輩のパスポートを見せた。 20ドルを渡す。 噂された賄賂は要求されなかった。 続いて、入国審査。 前の阿呆な日本人ババア3人組の書類に不備があったらしく、なかなか進まない。 仕方なくカンボジア人用のゲートを開けてくれたが、こちらも無愛想。 さっき隣に座ってたオバハン2人組の片割れにも書類不備。 VISAナンバーの記入洩れなんだが、係員が一度しか教えないので、困り果てていた。 たまりかねて、「ここが書いてないスよ」と教えてあげた。 我輩の入国審査は無難にパス。 先程の片割れが心配そうにしていたので、 記入洩れの部分の書き方を教えて、空港を出た。 さて現地係員は・・・と。 お、「にせすなふきん」と平仮名で書いた紙を持った男発見。 「忘れ物ありませんか?財布持ってますか?」 偽「はい」 「じゃあいきましょう」 案内されたのは、相当昔の型のカムリ。 ドアがギシギシいう。 「・・・と言います。3日間ご案内します」 偽「偽スナフキンである。よろしく頼むぞ」 不覚にも名前を聞き逃してしまった。 しまったな・・・何と呼べば良いのだ。 「まずはレストランに行きます」 む・・・そうなのか。 機内食で腹は一杯だし、まずはホテルでも良いんだが・・・。 レストランに向かうため、カムリは主要幹線道路である6号線を走る。 モチロン外はすでに真っ暗。 道端には、暗い中、薄暗い明かりの灯る屋台でメシを食っている人々、 果物を売る人、バラックのような建物・・・。 正直かなり不気味である。 屋台はかなり多い。 屋台というか、日本でいうところのレストランであろうか。 良く言えばオープンカフェ。 そこには電球が吊るされ、その明かりの下で人々がメシを食っているようである。 道路にはチャリンコや原付があふれ、 カブに大人子供がサンドイッチ状態で3~5人乗りをしている。 ものすごい幼そうな子供も原付を運転している。 道路には中央線などなく、 ドライバーが反対車線にはみ出してガンガン追い抜きをかけるので、 我輩は対向車が迫る度に肝を冷やしたのであった。 そんな車窓を興味深く眺めていると、ガイドが色々と案内を始めた。 彼は日本語を2年ほど勉強したそうで、先生もカンボジアの人。 漢字は読めないと言っていたが、2年でこれだけ喋れれば十分であろう。 カンボジアは今は乾季で、だんだん暑くなってきているらしく、 一番暑いのは4月で、50度近くまで気温が上がるようだ。 そしてこのシェムリアップ空港のあたりは、3年前まで電気は通ってなかったんだそうだ。 確かに、明かりなんてのは先ほどの電球と街灯以外は見当たらない。 原付は3人乗りなんてのは普通のことで、携帯電話をいじってても、 メットをかぶらなくてもO.K. ちなみに、原付の免許なんてものは存在しない。 交通事情は前述の通り劣悪で、シェムリアップの街中だけでも 1日に10件以上の事故が起こっているらしい。 なるほど10件で済めば良い方であろう。 原付で多いのはカブ(ホンダ)とスズキ製、車はカムリだそうだ。 市街地までは15分ぐらいと思ったより近かったのであるが、 近づくにつれて大きな建物が目立つようになってきた。 今シェムリアップではホテルがどんどん造られているようで、 道の両側はホテルだらけだった。 こんなに宿泊客がいるのかとも思ったが、きっといるのだろうな。 市街地の中を走り、カムリはレストランに到着した。 車を降りるとやっぱり暑い。 メガネも曇る。 「私は外にいますので、食べたら外に出て下さい」 偽「あい分かった」 レストランといっても、多くの日本人が想像するようなガストみたいなのではない。 基本的にこちらのレストランは室内ではなく、オープンな造りとなっている。 なもんだから、さっそく左手の手首を虫に刺されてしまった。 先が思いやられる・・・。 まず注文したコーラが出てきた。 「水は飲めない。氷も避けること」 地球の歩き方の注意書きが頭をよぎった。 コップに氷はないが・・・このコップ、 一体いつからここに置いてあったのだろう。 気になり出すと、全ての危険性を排除したくなるのが我輩だ。 コーラを持ってきた女の子がコップに注ごうとしたので、 それを制して缶のまま飲むことにした。 出てきた料理はヤキソバ、ホイコーロー、ゴハン、チキンカレー、魚。 せっかくの豪勢な料理ではあるが、先ほど機内食を食べたばかり。 魚だけは食えなかった。 っていうか、SteamFishとは言っていたが、魚を食うのは怖いな。 偽「お終い。もう食えないよ」 幼いウェイトレスに言うと、皿を黙って持って行こうとした。 偽「何歳なの?」 「・・・」 どうやら英語は分からないようだ。 立ち上がると、もう1人のウェイトレスが寄ってきた。 こっちはもう少し年はとっているが、それでも15,6歳という感じ。 「ジュース代払った?」 偽「いや」 「1ドル。ところで、ガールフレンドいる??」 偽「NOだ。文句あるか」 「私がなるから、ペラペラペラペラペラリーノ」 まさかこんな直接的に現地妻の申し出があるとは・・・。 もう少し君が可愛かったら考えても良いのだが・・・ いやいや何を考えているのだ偽スナフキン。 そこに愛は無いぞ。 もうその手の話はご勘弁だ。 笑ってごまかした。 外に出ると、ガイドが駆け寄ってきた。 「おいしかったですか?」 偽「おいしかったけど、機内食を食い過ぎましたね」 「それは残念でしたね。ではホテルに行きます」 カムリは再び街中を走る。 にしても、車やバイクの行き来がスゲェ。 街には2つ信号機があるらしいのだが、守られてはいないらしい。 事故るんじゃないかとヒヤヒヤしながら、ホテルに到着。 ロビーで明日以降のスケジュールを確認。 明日は8:30にロビーで待ってるとのこと。 今夜はこれで解散となった。 これまた幼いポーターに荷物を運んでもらい、部屋に向かった。 何ともデカイ部屋だ。 1人用のベッドと、2人用のベッド。 風呂もかなりデカイ。 これは贅沢過ぎる・・・。 にしても暑い!! 結局この日は、このままクーラーをガンガンにかけて、 トランクス一丁で寝てしまったのであった。 |
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