-14 Out

さて。

リオ・デ・ジャネイロは、世界でも屈指の治安悪化都市。

コパカバーナビーチや新市街は、見た感じ人が沢山歩いているし、

事前調査では、北部のダウンタウンや、ファベーラ(後で説明する)に行かなければ、

さして危険ではなさそうである。

しかし、「実は危なくないよ」という話は、たまたまその人が安全だっただけで、

全ては己に委ねられているのだ。

一眼レフを下げてブラブラしたい我輩は、タクシーをチャーターすることにする。

時間もないしな。

流しのタクシーで寂しいところに連れていかれて危ない目に遭った情報を見たことがあるので、

ホテルでチャーターしようと思ったら、都合よくツアー会社のタクの運ちゃんがロビーにいた。

コルコバードの丘とポン・ジ・アスーカルに行きたい、と行き先を伝えると、半日で1万5千円。

まぁ許容範囲だ。

早速出発。

初老の運ちゃんは、実に丁寧な英語で色々と説明してくれる。

ありがたいことだ。

まずはコルコバードの丘へ。

リオ・デ・ジャネイロといえば!という丘で、腕を広げたキリスト像を見たことないかね。

あれが建ってるところだ。

車内からバチコンバチコン写真を撮っていたのを見て、

写真好きと理解してくれた運ちゃんは、コルコバードの丘へ行く前に、

と、丘への坂の途中にある、ドナ・マルタという展望台に連れていってくれた。

ドナ・マルタ展望台の裏側にはヘリポートがあり、コルコバードの丘が見える。

「コルコバードよりも街が近いから、良い写真が撮れるよ」

ほうほう。

「ところで君はいくつなんだ?31!?
 高校生かと思ったよ。ブラジルには何日いるんだ?3日!?
 リオは今日だけ!?オーマイ・・・
 とても見切れないけど、しっかり楽しんでいってくれ」

うむ、よろしく頼むよ。

展望台は、なるほど、良い景色だ!

↑正面のでっかい岩山がポン・ジ・アスーカル。

素晴らしいな。

丘と海と湖があり、実に風光明媚な眺めだ。

バチコンバチコンやって、ガイドから街の説明を受ける。

「足下を見てごらん。山に沿って村があって、良い眺めだろう」

偽「これがファベーラ?」

「そうだ。とっても沢山の人が、ノーグッドコンディションで暮らしているんだ」

さて。

ブラジルにはファベーラという集落が至る所にある。

誤解を承知でひとまとめに説明すると、ここでいうファベーラは、貧民街、だ。

中には、麻薬取引の温床となり、警察と銃撃戦があることもしばしば、なものもあるようだ。

ワールドニュースを観ている人がいたらご存知かもしれないが、

先月(2010年11月)の終わりから、警察がファベーラに踏み込み、

今現在も軍隊が駐留する事態となっている。

この足下に広がるファベーラがどうかは知らない。

少なくとも、展望台を近くに作るぐらいだから安全なファベーラだろう、という考えはNOである。

さらに坂を上って、タクシーからワゴンに乗り換えてコルコバードの丘に到着。
↑タクシーは頂上まで行けないので、別料金で行くことになる。

おー、キリスト様だ!

クーッ逆光じゃなければなぁ

ドナ・マルタ展望台よりかなり高いところにあり、雲がかかっていることが多いようだ。

ワゴンのチケット売場にも、「天気の責任はもてません」と書いてあった。

幸い、何とか視界はクリアだね。

 
↑マラカナンスタジアム                   ↑リオの市街地

とりあえず、雲がかかる前に写真を撮り、休憩・・・してたら雲がうっすらとかかってきた。

これはこれで味があるのかもね。

お腹が空いたらスニッカーズ!+ガラナジュースで昼飯を済ませ、タクシーのところへ戻る。

運ちゃんは、カナイマで食った、コーンのサンドイッチを食っていた。

「あ~・・・ヌケスキ・・・次はポン・ジ・アスーカルだね?君の名前は難しいな」

ヌケスキってオレの名前か!

どうやったらヌケスキになるんじゃい!!

一文字も合ってないぞ!!

日本人って外人の名前をちゃんと呼べるでしょ?

あれって実はなかなかなスキルなのかと思ったよ。(笑)

偽「ベネズエラでは、フェデリコと呼ばれていたよ」

「おぉ~フレデリコ!グッドネーム!」

サンドイッチ食ってからで良いよと言ったんだが、タクシーは再び走りだした。

「グッドビューだったかい?」

偽「うん。でも、ドナ・マルタの方が良かったよ」

「私もそう思うよ」

う~ん・・・頼むべきかどうするか・・・。

え~いここまで来てるんだから!

偽「ポン・ジ・アスーカルへ行く前に、カテドラル・メトロポリターナに行けるかな?」

「通り道だから大丈夫だよ」

偽「それから・・・ドナ・マルタから夜景が撮りたいから、
   19:00頃にまた行きたいんだけど、いくら追加したら行ってくれる?」

  ↑路線バスでも来れるようだが、怖すぎる。

「う~ん、よし、サービスしてあげるよ」

Really!?

やったね♪

外国では意思表示をしっかりした方が良いよ。


↑坂を下る途中、タクシーを停めて、撮りなって言われたファベーラ。

カテドラル・メトロポリターナは、コロニアルな旧市街の真ん中にある、ピラミッドのような教会。

4面がステンドグラスになっていて、素晴らしい美しさ。

クソーッ広角が足りない!(T_T)

24ミリでは、素晴らしさが十分に伝えられないのが残念だ。

「何十年もリオに住んでいるけど、ここには初めて入ったよ(笑)
 さぁフレデリコ、19:00にドナ・マルタだから、時間ないぞ!シュガーローフへ行こう」

シュガーローフというのは、ポン・ジ・アスーカルの英語読み。

直訳すると砂糖パン。

なるほど、フランスパンを突き刺したような形に見えるね。

ロープウェーを乗り継いで、奥のポン・ジ・アスーカルまで行く。

丁度夕暮れ。

良い景色が見えそうだ!

「フレデリコ、ここの写真も良いけど、ドナ・マルタの時間を覚えておいてくれよ!(笑)じゃあね!」

ロープウェーに乗って、まずは山の上に。

コルコバードの丘と、ボタフォゴ海岸が良い味を出して、良い景色だ。

よし、日が沈む前に、ポン・ジ・アスーカルに行こう。

・・・と思ったのに、ロープウェーが動かない。

ある程度人が集まらないと動かないようだ。

あーーー日が沈んじゃうよ!!

早く早くッ!

次の岩に着いて、みんなが写真を撮ってる中を、ポジション取りしている間に、

日が沈んでしまった。

クーッ!!かろうじて夕日をとらえたのはコレだけ!

無念だ!!(T_T)

さぁて、早く下りてドナ・マルタに行かないと!!

戻りながらもバチコンッ!

早く動いてくれロープウェー!

結局時間がかかり、かなり暗くなってきてしまった。

「よし、ドナ・マルタに行こう!シュガーローフはどうだった?
 子供の頃に連れていってもらって、景色の素晴らしさに感動したんだ。
 子供と行くのが夢なんだけど、16になる息子は、決して一緒に行こうとしないんだ。
 だから、それはまだ私の計画なんだよ」

あぁそうか・・・。

何となく、ふと思った。

ドナ・マルタへ最初に行こうとした道は渋滞で、

運ちゃんは、仕方なさそうに昼間走ったファベーラの坂を走った。

「大丈夫だよフレデリコ、19:00には着くから」

空は完全に暗くなっていた。

我輩は19:00が見込み違いで、良い写真が撮れないことは分かっていたが、

頑張ってタクシーを走らせる運ちゃんには、申し訳なくて、とても言えなかった。

タクシーは、19:00ピッタリに展望台に到着。

「何も武器はないけど、ガードマンで着いていくよ」

真っ暗な階段を、我輩のペンライトで照らしながら展望台へ。

街明かりがキラキラ光っている。

光がサラサラ鳴っているような夜景だ。

残念ながら、あまりに暗すぎて、ポン・ジ・アスーカルや、湾は真っ黒。

だけど、実に綺麗な夜景だ。

しばらく黙って夜景を見ていたら、振り向くと、運ちゃんがいない。

どこに行ったんだ?・・・と思いながらも、夜景を見ていたら、帰ってきた。

「フレデリコ、満足したかい?ヘリポートからコルコバードも見る?」

偽「いや、あっちは良いよ」

駐車場に戻ると、タクシーが展望台側に寄せてあった。

運ちゃんが移動させたようだ。

偽「ここに、この時間に来たのも初めてなの?」

「そうだよ。危ないと聞いていたからね」

他のツアー会社の客2人が夜景を見にここへ来て、

その後戻ってこなかった、ということがあったらしい。

「さっきボスから電話があったから聞いてみたら、
 21:00までは安全らしいよ。君は安全な旅人だね」

それで、道を慎重に選んだり、タクシーを寄せてくれたりしてくれたのか・・・。

我輩の見当違いなワガママで、運ちゃんに悪いことをした気分で、申し訳なくなってしまった。

ゆっくりとタクシーは海岸通りを走っていく。

何となく名残惜しそうに、ホテルの前を一旦通り過ぎて、

レーメ地区というところまで走ってからホテルに戻った。

多めに払って、チップだよ、と言うと、すごく喜んでくれた。

とんでもない、こちらこそありがとう、運ちゃん。

ハワイに行けると良いね。

部屋に5DMK2を置いて、しばし写真から解放されて、散歩に出る。

コンパクトデジカメだけは持って・・・だけど。(苦笑)

海岸通りには、オープンカフェのようなレストランがいくつかあり、

適当に座ってスパゲティとビールを頼んだ。

ライトに照らされたビーチでは、チビッ子がサッカーをしている。

ざざーん・・・という波の音にガキの声、チップをねだりに楽器を弾きまくっているバンドの音楽。

リオって何だか騒がしいサンバのイメージしかなかったけど、とても穏やかな夜だ。

ゆるい空気感がとても心地よい。

ディナーのあと、海岸通りを歩いていたら、色んなことが浮かんだ。

さっきの運ちゃんは、もう家に帰ったかな。

ベネズエラのフレンズは、今日も楽しかったかな。

課長は置いてきた仕事を怒りながら処理しているのかな。

またピアノマンが流れだした。

今夜はBilly Joelのピアノマン。

♪歌ってくれよピアノマン。今夜はオレたちのために。
   歌が聴きたい気分なんだ。君ならオレたちを良い気分にさせられるだろう?♪
 ↑この訳が合ってるかは知らん。洋楽は雰囲気で聴く人なんだオレ様は。

海岸通りから一本入ると、賑やかな酒場が並び、

何となく南米といえばこっちの方がイメージに合うかもしれないな、と思った。

サンバショーを見に行くより、有意義な夕べだったな。

さ、明日はまた早い。

眠るとしよう。

Zzz・・・

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第一話 前書き~サンフランシスコ  第二話 サンフランシスコ~ギアナ高地カナイマ

第三話 ギアナ高地カナイマ初日  第四話 ギアナ高地エンジェルフォールツアー

第五話 さらばギアナ高地  第六話 リオ・デ・ジャネイ

第七話 イグアス~帰国 旅行記選択ページへ  TOPへ