-12 Ocu

ふと目が覚めたら真っ暗だった。

まだ1:30。

そうか、夜は電源が落ちるんだったな。

雨は上がったらしく、リンリンと虫が鳴く声だけが聞こえる。

何だかケニアのアンボセリでの一夜を思い出すな・・・。

何て心地よい夜なんだ。

もう少し涼しければ。

ただ、聞いていたような、湿気がすごくて虫だらけなんてことはないな。

やっぱり来てみなきゃ分からんもんだ。

シーズンもあるのだろうが。

さて・・・もうひと寝入り・・・Zzz・・・。

4:30起床。

どうも昨日歩いた時に、木のトゲが刺さったみたいで、

指に3つぐらいの腫れがあったので、猪木に見てもらった。

注射の針で器用に傷口を削ってもらうと、トゲは刺さっていなかった。

ちょっとした針に触ってしまったのかもしれないな。

日が昇ってきつつある。

どうよこの眺め。

美しすぎて絶句したよ。

今日はボートでカラオ川を上り、エンジェルフォールの見える展望台へ行く。

プロペラ機だと往復50分だけど、一日がかりのツアーである。

今は雨季から乾季への移り目で、川の水量が少ない時は行けないと言われていたので、行けるだけでもありがたい。

しかし、雨季から乾季への移り目は、ベストシーズンでもあるのだ。

雨季の真っ只中では写真がうまく撮れないし、乾季では滝の水量が減ってしまう。

上手い時期に来れたものだ。

あとは今日も滝が見えてくれれば・・・。

今日も昨日のメンバー(ベネズエラ夫妻と本郷)で行く。

カラオ川の水面は、波一つなく鏡のよう。

写り込むテプイや木々が美しすぎる。

素晴らしい船旅だ。

・・・と思うんだけど、ボートがしぶきをあげて走るもんだから、写真がうまく撮れねぇッ!

前にも船頭がどっかり座ってるしな。

チィッ、今日も色々と難しい写真撮影になりそうだ。

ただ、昨日の狂ったような写真撮影っぷりから、

みんな、我輩が写真好きであることを理解してくれているのは心強い。

猪木も、「もう少ししたらグッドビューだから、カメラを構えろ」とか、教えてくれる。

あとは、我輩が、しぶきや周りの人を写さずにいかに上手く撮れるかだ!

少し進んだところから、一旦陸路で島を渡る。

少年の運転するトラックで。

この少年、実に画になるなぁ。

どれ・・・。

バチコンとやったら、写真の神が降りてきたね。

あんだけ揺れたトラックでよくブレずに撮れてくれた。

ちなみに、ポーズとってもらったわけじゃないのが、なお自然で良いよね。
(自画自賛 笑)

またボートに乗り換えて、川をさかのぼって行く。

「見ろ偽スナフキン、あれがエンジェルフォールのあるマウンテンズだ」

おぉっ。

どいてくれ。(T_T)

すごい景色だな、これは。

テプイには所々雲がかかっているが、雲がかかっている景色も、とても素晴らしい。

しばらく進んで朝飯。

今朝もチーズたっぷりサンドイッチ。

う~む・・・。( ̄~ ̄)ξ

しっかり食っておかされた。

猪木「偽スナフキンはレインコートを持ってきているな?
    水が跳ねるから着たほうが良いぞ」

さらにボートは川をさかのぼって行く。

静かだった川は、川幅が狭くなり、渓流のようになってきた。

川の中央には岩があるらしく、船頭のオッサンが右に左にと指示を出し、

ボートは蛇行するように進む。

我輩は、まぁとにかく写真を撮っていたね。




他の人は、さすがにテプイに飽きてきたのか、撮りもしていなかったけど。

朝飯の島からさらに40分ほど。

ラトンシート島の小屋に到着。

ラトンシートとは、ここの言葉で、「口」という意味らしい。

エンジェルフォールは正面にうーっすらと見えているだけで、

見ての通り、かなり雲がかかっている。

むむー。

ベネズエラ夫妻の妻はここまでのようで、ここからは歩き。

トレッキングで、エンジェルフォールを臨む展望台に向かう。

てくてくてくてくてくてくてくてく・・・。

途中、日本人の団体ツアーにすれ違った。

偽「あとどれくらいですか(ぜぇぜぇ)」

「いやぁそりゃもうまだまだあるよ!」

「何だ偽スナフキン、彼らは何と言ってるんだ?
 そいつはグッドジョークだな!」

わっはっはっみたいな感じで、和やかだ。

普段は仏頂面な我輩も、旅ではおおらかなのだよ。

にしても、日本人ツアー客は皆様ご高齢だな。

失礼ながら、年寄りでも問題なく来れてしまうのだから、もはや秘境という印象は捨てねばなるまい。

残念だ。

ふくよかな本郷が遅れだしたが、みんな写真を撮ったりしながら、のんびりである。

何回目かの休憩の時までは。

ふと我輩が空を見上げたら、エンジェルフォールがスカッと見えたのだ。

偽「おーすげーっ!」

我輩の声に、猪木が反応した。

「! 滝が見えているぞ!ディスイズアワーチャンス!

偽「ハリアップッ!!」

猪木が叫び、我輩も叫ぶ。

本郷を置いて、崖道を駆け上がる我々。

どぉぉをぉっこれかー!!

偽「来たぞーっ!!」

喜び勇んで写真を撮りまくっていたら、雲がかかってしまった。

ほんの5分ぐらいのチャンスをモノにできたのは、まさに我輩が太陽王だからであろう。

猪木「ここにいられるのは1時間だ。次のグループが来るからね」

なるほど、グループ毎に時間が決まっているのか。

まぁこんな狭い岩しかない展望台なんだから、

そうじゃなかったら大変だよな。

各自、岩に寝たり花を見たり写真を撮ったりしていると、
                   ↑言うまでもなくこれが我輩だ。

また雲が晴れてきた。

写真を撮・・・る前に、ちゃんと滝を見ることにした。

ファインダー越しじゃなく、ちゃんと見ておかないと!

この滝は、何百年、下手したら原始の頃から、

ああしてずっと水を滴れているのかと思うと、自然の凄さを感じる。

・・・。

こうして見ると、那智の滝とあんまり変わらないんじゃ・・・

いやいや、そんな事あるわけがないっ!!

でも帰ったら写真を見比べてみよう・・・。

コッソリと!

多少疑惑が生まれたところで猪木に呼ばれ、展望台を後にした。

ここで我輩が何の仕事をしているかという話になった。

日本人は休みが短いハズなのに、何で我輩の休みが長いのかということらしい。

ふむ、それは我輩が一生懸命仕事をしたからだよ諸君。

すると、どうやら本郷はエコノミックな仕事をしているらしく、

猪木と経済の話を始めた。(スペイン語で)

何だか本郷の話は熱を帯び、猪木はそうじゃない的な展開っぽい。

まぁどうでも良いじゃないか的に我輩は傍観していたが、

猪木と本郷は以降あまり雑談をしなくなってしまった。(苦笑)

山を下りる途中でも、日本人の老人ツアーに出会った。

日本人ツアー客(しかも高齢の)ばかりじゃないか。

失礼だが、ガッカリ過ぎる。

猪木「彼らにあとどれぐらいか聞かれたらすっげぇ遠いと言え(笑)」

偽「言われるまでもないさ(笑)」

「もう着きますか?」

偽「まだ3倍はありますね」

(一同爆笑)

打ち解けてくると、もはや言語の壁なんてない。

初めからなかったのに、自分で作っていたのかもしれない。

相変わらずエンジンのかかりが遅い人見知りを反省した。

小屋に戻ってランチ。

おお、ここからでもエンジェルフォールは見えるのか。

高さが分かって写真的には迫力がある。

こんな素晴らしい眺めの小屋でランチとは、なんと豪華な。

ベネズエラ夫「さぁさぁ、プロフェッショナルカメラマンはこの眺めが良い席に」

本郷「そうだね!」

いやいや私は末席で、って英語で何て言うの?(笑)

メニューはチキンの丸焼きとサラダなど。

ノドはカラカラでも、やはり腹が減っていない我輩は、

コーラとサラダで十分 なんてやっていたら、

偽スナフキンは全然食ってないじゃないか、もっと食えと言われて食わされた。

うーむ、コーラでお腹いっぱいってどうやって英語で伝えれば分かってもらえるのか。(笑)

ベネズエラ夫「飯を食ったらチンチョーロで休憩すると良いよ。
         チンチョーロ?あぁ君らはハマクと呼ぶのだったね。寝ると気持ち良いよ」

偽「ハマク?」

ベネズエラ夫「あれだよあれ」

偽「あぁハンモックね!(笑)」

ランチを食い終わって写真を撮っていたら、

ベネズエラ妻にハンモックで寝るように強く勧められ、寝ざるを得なくなった。

我輩は写真を撮りたいのだが。

しかも何だかノミとかダニとか大丈夫なのコレ・・・

なんてことは死んでも言えない。

「チンチョーロに沿って真っ直ぐ寝るんじゃなくて、斜めに寝るんだ」

へぇ~。

揺られてみると気持ち良いな。

一回寝てはみたかったんだ、ハンモックに。

コテージの庭にもあるんだけど、イグアナがいるからさ・・・。

こういう風に強引に連れてこられなければ、寝なかっただろう。

しかもここからでもエンジェルフォールが見えるとは。

何て欲張りな昼寝だ!

ハンモックにゆらゆら揺られながら、小屋に住んでる子供を冷やかす。

猪木「偽スナフキン、滝の写真を撮りたいならこっちにおいで」

少し歩くと、滝のあるテプイが見渡せる広場があった。

雲が青空を隠し、雨が降りそうだ。

猪木によると、朝は曇り、昼に少し晴れて、夕方は雨だそうだ。

ベストな時間帯に来れて良かったよ。

存分に満喫したところで帰る時間になったようだ。

再びボートに乗り込む我々。

で。

ベネズエラ夫が、我輩の名前が呼びにくいと言いだした。

みんなもいっせいに相づちを打つ。

朝からみんな適当に我輩の名字を呼ぶから、からかってんのかと思っていたのだが、

本当に呼べないようだ。
↑ちなみに、相当一般的な名前だ。

名字がダメなら名前・・・も無理だと。

本郷「フェデリコで良いんじゃね?」

一同「そうしとけ!」

というわけで、フェデリコ・偽スナフキンです。

偽スナフキンって呼びにくい時は、フェデリコでも良いよ。

アクセントはね。

フェデコォ、でヨロシク。

ボートは岸を離れ、カラオ川を下りだす。

遠ざかる滝を何度も振り返った我輩であった。

帰り道も気を抜くことなく写真を撮りまくる我輩。


みんなも我輩のオニ撮りっぷりに呆れることなく付き合ってくれ、

ビューポイントではボートを止めたり速度を緩めたりして、立って撮らせてくれた。

フェデリコという名前がついてから、親近感を持ってくれたのか、みんなが話し掛けてくれる。

名前は偉大だな。

我輩の頭の中には、ゴダイゴの名曲、ビューティフルネームのサビが何度も流れた。

最後にまた少年のトラック。

実に画になる少年だなぁ・・・。

畔道で揺れまくるが、これは狙うッ!

バチコンッ

をぉ・・・この少年には被写体の神がついているのか・・・。

この日の、いや、このカナイマでのベストショットだ。

ガッコンガッコン揺れるトラックで撮れたミラクルショット!(笑)

偽「見てくれ猪木、これがこの旅のベストショットだ」

この写真は、後日プリントアウトして、少年に届けられることになった。

喜んでくれると良いなぁ。

ロッジが見えてきた。

随分長旅になったな。

着ていたレインコートは、ロッジスタッフにプレゼントした。

コテージに荷物を置いて、少し休憩。

良い雰囲気でしょう?

ココホントにオススメですよ。

ベネズエラ夫に、我輩の写真をくれと言われていたので、

今日撮った分をみんなにコピーしてあげた。

きっとご満足いただける写真が何枚かあるハズだ。

400枚以上撮ったんだから!(笑)

この写真が良い、いやこっちだ、フェデリコ酒飲まないか私のおごりだ、

何だフェデリコは25度の酒も飲めないのか、という雑談ののち、ディナー。

今夜はサラダとベネズエラ料理。

コーンを使った、温かいカマボコのようなもの。

ふっ、食に興味がない我輩には、この表現が限界だ。

ちなみに、我輩の舌にはあまり合わなかった。

ベネズエラ夫「ところでフェデリコは結婚してんのか?」

む、ついにその話題か。

直近のおみくじでは「待ち人来ず」でしたって英語とスペイン語で何て言うの。
(
T_T)

でも「旅行運はよろし」も、ついでに教えて!

猪木「ここにはミスユニバースの5位がいるから、結婚して住めば良い」

一同「そうしなさい」

日本の普通の人にしていただけますか。

ミスユニバースのファイナリストとはすごいな。

レガ氏が「ベネズエラといえば美人の国だ」と言っていたのを思い出した。

でも、ミスユニバースのファイナリストでも、仕事は宿屋の看板娘なんだな。

もっと華やかな暮らしをしていると思ったよ。

猪木「そういえば、2年くらい前に日本のミスユニバースが来たよ。
    名前は忘れたけど、確かに可愛かったよ」

そちらの方をご紹介いただけますか猪木さん。

そんな雑談と明日の予定を聞いているうちに、昨日のようにピカピカと空が光りだした。

毎日こうして時計がなくても時間を感じられるのかな。

自然は偉大だ。

じゃあ、と三々五々にコテージへ戻り、我輩はまたバッテリーの充電。

明日から明後日の夜まで充電できないから、携帯電話が優先だ。

5DMK2のバッテリーは4つあるからね。(笑)

シャワーを浴びてベッドに横になると、虫の声に川の流れる音、風の音に・・・

時折香るフマキラー。

そしてもう少し涼しければ良い気温。

まるで昨日と同じ夜。

しばらく続けば良いのに。

と、ギアナ高地最後の夜は静かにふけていった。

Zzz・・・

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第一話 前書き~サンフランシスコ  第二話 サンフランシスコ~ギアナ高地カナイマ

第三話 ギアナ高地カナイマ初日  第四話 ギアナ高地エンジェルフォールツアー

第五話 さらばギアナ高地  第六話 リオ・デ・ジャネイ

第七話 イグアス~帰国 旅行記選択ページへ  TOPへ