日頃のストレスに耐えに耐え、ようやく夏休みがやってきた。

悠々夏休みをもらっていたのは遠い昔。

驕る平氏、久しからず。

今や、「お休みいただきます、スンマセン」的に成り下がってしまった我輩にとっては、

しこたま写真が撮れることよりも、

アホでクソな面子に会わなくて良いことが、

何よりも嬉しいのであった。

というわけで、夏休みである。

行き先はもうずーっと前から決めてあった。

もうもはや、行き先選抜大会を開催するほどの出場国が残されていないのだ。

クロアチアである。

そしてクロアチアといえば、ドゥブロヴニク。

GW明けには手付けを支払っていたので、

後は本当に休めるのかどうかというのみであったのだが、

とにかく出掛けまで仕事がバッタバタ。

さすがにこの時間なら普通に乗れるだろうと、

仕事終わりの木曜日23:45発をとっちゃったものだから、

これは本当に間に合うのか、

出発間際までイライラが募ったのであった。

何とか余裕をもって乗れたラピートの中で、

もう当面は仕事終わりの出国は止めとこうと心に誓いつつ、出発を迎えたのだった。

今回はとにかく寝ないで撮るぞ!的な旅。

撮影機材には念を入れて、完ッ璧に整えた。

ところが。

空港に行ってみると、手荷物の重量はマックス7キロだと言う。
↑リュックは10キロほどあった。

いやウソ、マジっスか。

預け荷物を含めた総重量には余裕があるので、預け荷物にリパックしてくれとのこと。

いや、持ってる荷物の大半はカメラ機材でして、

預けたら壊れそうなものばかりなんですけど。

「皆様一律でお願いしておりますので~」

・・・。

とりあえず充電器やタブレットなど、少しでも重そうなものを移し替える。

そして何とか減らした荷物でパス。

コレは困ったな。

何となくオーバーしてるのを見逃してもらってる感がある。

スーツケースは小さいのを持ってきたので、既にパンパンだ。

帰りも引っかかることを考えると、心配でならない。

そもそも、最近はレンズが大きく、重くなり続けているからな。

万全を期しすぎたか・・・。

帰りまでに服を何着か捨てねばならんかもな。

で、チェックインしてスタバで出陣式をやろうと思ったら、際どく閉店。

オゥノオォゥ。

リパックしてたせいだ。

やむなくゲート前のタリーズにて出陣式。

♪人間五十年~・・・。

いよいよ五十が近づいてきたやんけ。

そしてこれは前にも書いた気がするな。

当たり前だが、年々老いていくな。

さて、最後までドタバタしてたので、ディナーを食ったら爆睡。

ひあうぃごー!は夢の中でやらせていただいた。

で、目が覚めたらドバイ直前だった。

ここからはクロアチアの首都、ザクレブへ乗り継ぐ。

ドバイ→ザグレブ便は最近就航したばかりの新設空路。

幸い乗り継ぎ時間には余裕がある。

ただ、ドバイの空港には別段見るべきものも撮るべきものもないので、

スタバで出陣式を改めて執り行い、この旅の無事を祈念した。

ザクレブ行きからは、

ドバイの高層ビル街を何とか撮ってやろうと計画的に窓側を取ってもらったのに、

残念ながら逆向きの離陸。

町は遠ざかるばかりで、パームツリーなんて見えやしなかった。

チッ。

イラン、トルコ、ブルガリア、ルーマニアの上空を通過して、ザグレブに到着。

↑上空を飛んだのは初めてかもしれないイラン。イラクを回り込むようなフライトだった。

ここでまた乗り継いで、ドゥブロヴニクへ向かう。

乗り継ぎは、2時間半しかなく、14:45発。

しかもザグレブ→ドゥブロヴニクは国内線なので、入国審査と荷物のピックアップが必要。

この後のドゥブロヴニク行きフライトは、

なんと22:00のため、何とか乗り継ぎたい。

ただ、出発時、万が一にもドバイで遅れたりしたら・・・と思って22:00発の空き状況を見たら、

ビジネス1席しか空いてなかったので、

もし乗り継ぎに失敗したらザグレブで一泊という最悪な展開になってしまうことを危惧した我輩は、

やむなく22:00のフライトも予約してきたのだった。

とはいえ、絶対にうまく乗り継いで、今日からドゥブロヴニクを撮り始めたい。

なのに、なかなか飛行機を下ろしてくれないし、入国はクソ並んでるし、

荷物は出てこないし、かなりイライラしたが、

空港は思ってた以上に物凄くコンパクト。

正直日本の地方空港並みの小ささで、国内線も国際線も同ターミナル。

荷物をピックアップして2階に上がったらすぐチェックインできたので、

何とか14:45発に乗ることができた。

座った途端に眠気に襲われ爆睡。

ドゥブロヴニクに到着して目を覚ました。

よーし、今日から撮れるで!

空港からはバスが走っているが、バス停からホテルまで遠いのは調査済み。

タクシーで向かう。

空港からは30分ほどで、270クーナ(4,700円)ぐらい。

来てみて分かったが、旧市街からホテルがあるエリアまではかなり急坂で、

とてもじゃないが、スーツケースを引きずって来ようとは全く思えない程であった。

ホテルはスーパーブビューの名に相応しい眺めではあるのだが・・・、前の建物の屋根が厳しい。
↑誤字ではなく、スーパー「ブ」・ビューなのだ。

もうワンフロア上の階ならなぁ。

荷物を放り投げて、ソッコー旧市街・・・へ向かう前に、旧市街を上手く撮れる場所を探す。

ホテルのあるエリアは前述の通り急坂だから、見ようと思えばある程度は見える。

しかし、我輩が目指すのは、究極の見栄えである。

ウロウロした結果、あまり良い景色は見つけられず、旧市街に着いてしまった。

↑ピレ門

城壁に囲まれた旧市街は

かつてクロアチアがユーゴスラビアから独立の際に独立紛争によって危機遺産にも指定されたのだが、

住民を始めとする人々の奮闘により、美しさを取り戻して今日に至っている。

世界中では、民族紛争というのは珍しい歴史ではない。

日本から出てみると、自分たちの国籍が何であるか、ということの大切さに気付くことが多い。

まぁそんなことより暑すぎる。

まずは港でアイスクリーム。

場所的に相当ぼられそうなものなのに、非常に良心的なお値段だ。

一瞬で食ってしまってから歩く。

凄い人の数だ。

何だこれは。

大型客船が沖合に停泊してるから、その乗客もいるだろうが、それにしても多すぎる。

少し歩いただけで不愉快になってしまって、適当にブラブラしてお仕舞い。

そんなに見るべき所もないし、旧市街を取り囲む城壁は明日歩くことにしているのでね。

さて、ホテルに戻るわけで、戻るにはなかなかの階段を上らねばならない。

かなり上の方のホテルにしてしまったからな。

しかし、夜景だ何だと写真を撮る度に階段を上るのも骨が折れる。

やむなしか。

部屋に戻って夜景の撮れる場所を再び探すと、ホテルから少し下りたところに、良い場所を見つけた。

そこでしばらく撮っていると、さらに良い場所が見つかった。

ただ、そこは人ん家の渡り廊下みたいな所。
↑外の道路と家を繋いでいる。

うーむ、絶対にあそこがベストなのに・・・と、思ってたら、家の人が帰ってきた。

うおマジかラッキー!

偽「そこから撮って良いですか」

「イエスオフコース。むしろこっち来いよ、ベターだよ」

通してもらったベランダは、確かにもっと良い眺めだった。

しかし、ここだとずっと撮ってるわけにもイカン。

やはり渡り廊下から撮ることにした。

日が暮れ始め、やはり眺めはこっちがベストだ。

そりゃあさっきのベランダに比べれば少しは劣るけど十分だろ。

観光船のキャラックが入港して来るところを撮りながら、

これがベストになるんじゃないの?と思ったのだった。

日没までこれでもかと撮る。


↑沖に出ていくキャラック船が最高に良い雰囲気。帆を張ってくれればなお良かった。

十分に満足してから、心の中で渡り廊下の許可をくれた老夫婦に感謝し、旧市街へ。

ちょうどサンセットクルーズから帰ってきたキャラックを撮ろうと思ったのだが、

笑顔でビリーズブートキャンプをやってそうな集団が大量に下りてきて、撮るに撮れない。

ふぬぬー。

旧市街の狭い路地もそこまで画にならん。


結局またアイスクリームを買って、ホテルへ戻ってしまったのだった。

Zzz・・・











- 11 Aug

翌朝、寝坊して目が覚めたら6:40。

あー、夜明け前の真っ青なドゥブロヴニクを撮ろうと思ってたのに・・・。

最近この寝坊の多さがネックである。

とはいえ何か朝の景色も海が穏やかで良い感じなので、

昨日の渡り廊下へ行って少し撮影。

ふーむ、日の当たり方がイマイチだ。

さて、今日はホテルを移る。

階段を20段ほど下った所にあるホテルで、こちらも眺めを売りにしている。

もっとも、あの渡り廊下ほどではないけども。

↑まあ普通の人にはこれで十分すぎるであろう。宿泊費も安い。

とりあえず場所を調べに行ったら、荷物を持ってきても良いというので、

早速荷物を詰めて預け、日が照り始めたので再撮影。

これでゆっくり旧市街へ向かえる。

で、今回の旅をドゥブロヴニクスタートとしたのには訳がある。

それは、今日、世界最大の帆船「ロイヤルクリッパー」が入港予定だからだ。

当然港に入れるサイズではないので、沖合に停泊することになるのだろうが、

それでもロイヤルクリッパーとドゥブロヴニクをセットで撮れるチャンスなんて

我輩にはもうないだろうから、念には念を入れて、

運行会社のスタークリッパーズ社に入港時間までメールで確認してきたのだ。

それによると入港時間は14:00。

出帆は23:45だ。

それまでの間に旧市街の城壁を回ってしまうことにする。

昼ぐらいに終わらせて、渡り廊下で待機だ!

城壁は入口がいくつかあって、我輩は旧港の近くから上った。

どこから上がっても一周するわけだから、どうせ変わらないのだけども。

丁度日の当たり方が良い感じなので、旧市街を思う存分撮り撮り歩いていく。

ここが戦場になっていたなんて全く想像もつかない平和な1日だ。

ありがたいことやで。

んで、ブラブラ歩いていくと、裏側に回り始めたところで、沖合に白い船が見えた。

あれは・・・まさか・・・ロイヤルクリッパー!

来るの早いよ!!

もはやあの渡り廊下へ帰る時間は絶対ない。

仕方ない・・・。

旧市街の海に面した城壁から、優雅に走るロイヤルクリッパーを撮影。

しかし当然帆は張ってないし、バックは海しかないし、

これじゃダメーーー!!!

ドゥブロヴニクくんだりまで撮りに来てコレとは・・・。

相当にショックやで。

クッソー。

ロイヤルクリッパーは悠然と旧市街を回り込んで、沖合に投錨した。

旧市街と撮るならあのタイミングだったな・・・。

残念な思いで城壁を下りていくと、日本人夫婦がみやげを買う買わないで喧嘩をしていた。

夫「こんなとこで買わなくて良いんじゃないの」

嫁「ここで買わなくてどこで買うの!」

夫「土産屋寄るって言ってたじゃん」

嫁「それは全然違う所だもん」

夫「あっそう!」

あー・・・ウルサイ。

あんなに大きな声で喧嘩するなんてみっともないぜ。

興ざめだ。

どうせろくでもない土産ごときでこんな所まで来て喧嘩するんだから、

おそらく長くはもたないな・・・と思いながらテクテクとホテルへ戻る。

んで、レンズを望遠レンズに付け替えて、

ロイヤルクリッパーとドゥブロヴニクの旧市街を一緒に撮れる場所を探しに行く。

ホテルから30分ほど歩いて、ようやく何となくここかなぁという場所を発見。

クソー沖合過ぎる。

町の立体感ゼロじゃねーか。

帆を張ってくれないのは承知していたが、これは無念だ。

ヤレヤレ。

もはやこれ以上どうにもならないことはよく分かったので、トボトボ歩いていたら旧市街に着いた。

なるほど、ここに着くのか。

腹が減ったのでスニッカーズ2個入りとコーラを買ったら、

いきなりスニッカーズを1個落としてしまった。

何ですかこれは。

1個ではお腹が満たされないので、パンを買って一気食い。

さーて、どうするか。

今夜の夜景をどこから撮るかというのは結構重要な問題だ。

ロープウェーで山の上にも行けるそうなので、ロケハンしておくか。

乗り場は旧市街から少し登った所。

しかし、サンダーストームが来るとかで、2時間ほど止まってしまうらしい。

確かに頭の上は雲一つないが、北の方に大きな入道雲がある。

まー暑いしいったんホテルへ帰りますかと逃げ込んだら、

空が暗くなって、風がゴーゴーいいだした。

まさかの展開だ。

雨がガンガン降って、

雷がピカピカ言い出したら良いんじゃないかとカメラをセッティングするも、風だけ。

結局雨は降らないままにサンダーストームは去った。

んで、ロープウェーに乗ってスレジ山頂へ。

ロープウェーの山頂駅から見えるドゥブロヴニクの旧市街は平べったい小判のよう。

コレだとウーン、という感じなので、

どんどん歩いて山を下っていくと、良い感じに立体的に見えるところが見つかった。

夜はココか・・・?

もしくは渡り廊下か・・・?

昨日の渡り廊下の写真で、街の切り方が少し気に入らないところが見つかった。

もう少し広く撮っておけば良かったのに、と後悔していたわけで、

ならばもう一度撮っておいても良い。

同じような写真が大量に生まれてしまうのが、果たしてどうかってところだ。

どっちにしても三脚を持ってきていないので、一旦ロープウェーで下りなければならない。

サクッと下って、再び階段を上ってホテルへ戻る。

結局悩んだ結果、今日も渡り廊下に決めた。

山の上からだと空の色が出ないから、つまんないしな。

それに、思い残しは良くない。

今度はしっかり画角をよく決めてから撮った。

どう、昨日のと違い分かる?

分かんないよね。

こういうところってしっかりこだわっていきたいのよ。

空の色は昨日のが良いけど仕方ない。

それから何か所かロケハンをした場所を撮り歩いてから、

再びロープウェーに乗って山頂へ行き、

真っ暗な山道を歩いてのさっきの場所からも撮った。

これでもうドゥブロヴニクは十分だ。

満足してロープウェー乗り場のレストランでディナーを食う。

丁度良いぐらいの量のパスタ。

そしてデザートのフローズンダイキリを待っていると、

「ロープウェーがあと10分ほどで最終ですけど大丈夫ですか?」

とのこと。

いや、大丈夫じゃありません。

何で?

まだあと1時間は動くんじゃないのか?

しかしよく分からんが乗らねばならんのは違いない。

やむを得ずデザートを諦めてロープウェーに乗って麓に戻ったら、

事務所も全て消灯済み。

いやー、さっきの夜景の場所で調子に乗って撮りまくってたら、

歩いて山を下りることになるところだった。

正直スッと下りられるような山じゃないだけに、かなりホッとした。

もう疲れちゃったし、今から旧市街に行くのはもはやメンドクサイ。

夜になったからといって、そこまで被写体としてイイ感じの場所がないのは、

昨日判明済みだしな。

ホテルに戻って寝ることにする。

23:45、出帆していくロイヤルクリッパーを見ていたら雷がピカピカし始めたので、

何とか撮れんものかと頑張ったが無理だった。

体力を消耗したわ。

Zzz・・・

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第一話 アドリア海の真珠  第二話 クリッパーを追って

第三話 二度目のローマ  第四話 トスカーナ!

第五話 ヨーロッパで一番美しい村  第六話 本当に大好きヴェネツィア

第七話 63ヶ国目スロヴェニア

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